2011・8.・25の朝日新聞朝刊菅原琢氏の論壇時評を読みながら考えたこと
- ishikawakz
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本日の朝日新聞の高橋源一郎氏の論壇時評「柔らかさの秘密」は大変鋭く久々に高橋氏の批評の力が炸裂しているように思った。ジブリの熱風の表紙と神奈川大学評論の中東詩とをつなぐもの。これからを指し示すものの戦い。最後の藤原帰一の中国高速鉄道事故へのコメントへの眼差しもよい。
2011-08-25 20:12:33朝日新聞、高橋源一郎氏の隣の菅原琢「あすを探る―復興に潜む戦後政治の呪縛」も、私自身喉元にある復興言説への名状しがたい違和感を言葉にしていただいた感じがしとても素晴らしいと思いました。引用します↑
2011-08-25 20:23:36「地域を強調した兵庫の類は、無意識にせよ、かなり政治的であることに気づく。地域を設定して内と外に分け、暗に内に残ることを前提として復興を訴える。踏み込んでいえば、土地を離れた途端、その人が被災者である根拠がなくなるかのようである」続く↑菅原琢2011825朝日新聞
2011-08-25 20:29:16(承前)「しかしもっと苛酷なのは、その土地に残るほうかもしれない。他地域から分配された資源を用い、もとより厳しい土地で「復興」を強いられる。」↑続く菅原琢2011825朝日新聞
2011-08-25 20:29:44「国会議員という公職に就いている政治家の多くは、土地への執着の頂点にいる存在である。国全体ではなく選挙区という仕切られた地域を代表し、代弁することが当然のように求められてきた。選挙運動の担い手は、地域から出ていかない、出ていけない人が中心となる」菅原琢2011825朝日新聞↑続く
2011-08-25 20:33:18「だが被災の実態は、戦後政治的処方箋だけでは通用しないことを示している。徹底的に破壊されたインフラ、原発災害、そして被災の記憶が、多くの人に移住を促している。そしてこれは、土地や地域に拘泥する政治の帰結でもある。」菅原琢2011825朝日新聞↑続く
2011-08-25 20:35:26「今われわれは、人口維持力の乏しい地域を政治によって支えることの限界を目の当たりにし、体感しているのである。/だからもし「災後政治」が生まれるなら、復興も含め地域ではなく個人を重視したものとなろう。だが今の政治は「戦後」から逃れられそうにない」菅原琢2011825朝日新聞↑続く
2011-08-25 20:38:11「だとすれば、一票の選択により我々自身の手で変えていく必要がある。もっとも、そのためには選択肢が必要だが。」菅原琢2011825朝日新聞。引用終わり。
2011-08-25 20:39:27連続で、朝日新聞2011825の菅原琢氏の論説を引用させていただきました。引用は、私の注目した部分を引用したもので全文ではありません。なぜ菅原氏の論説を引用したか次に述べます。
2011-08-25 20:41:20私はツイッターでいくつか被災自治体にお住いの方々のアカウントをフォローさせていただいています。それらのいくつかの声に私なりに接する中で、この広域災害は、単なる戦後公共事業的な復興では不可能かと思ったのです。原発災害でも農業やお子さんのいる方の危機意識は深刻であります。
2011-08-25 20:43:02原発災害はそのリスクについて様々な議論がございますが、とりあえず一番大事なのは皆さん健康被害がどの程度かということで、これはわからない。しかし被害が出るというデータはゼロではない。山下俊一氏ですら甲状腺被ばくによる障害の可能性は認めておられるようです。
2011-08-25 20:44:33ならば、地域という単位だけではなく、原発震災の避難も津波被災地のことも、個々人あるいは小集団あるいは町や村の単位でどう生き延びるかという、そういう一人一人の選択とそれを新しく結合させるつながりが生まれる必要があり、既存地域の権益を守ることではありません。
2011-08-25 20:50:41むろんとどまる方々の意志や気持ちを壊すのではないのです。ただ今までのように元通りにするという復興や目新しい箱モノを立てるより、原発を見てもわかるとおり一瞬でひとりひとりのかけがえのない財が人災によって収奪されない復興が必要です。
2011-08-25 20:51:58資本主義の化石燃料や、食料の高騰、通貨危機などを見ますと、資本主義下の生活の根底にある資源や媒体といったものが壊れて言っています。原発震災もそうです。資本主義が少しずつマシになるとしても今の危機と震災が合体して日本は大変な状況です皆さんご存じのとおりです。
2011-08-25 20:55:59チェルノブイリ原発事故の場合は農業地で古くから、ベラルーシやウクライナといった歴史に翻弄された方々がその場所に住んでいました。故郷への思いは強かったはずです。無論被災自治体にお住いの方々にも山河、ふるさとを愛してやまない方々がおられるでしょう。
2011-08-25 20:46:10ただ今回の広域災害は菅原さんの言うように自治体の境界をやすやすと跨ぎ、三陸海岸は断続的に寸断されて、コミュニティごと波にさらわれたところもあります。また福島の原発事故は収束していません。したがって、テレビや役場がいくら地域復興といってもそのスキームに限界があるだろう。
2011-08-25 20:49:00そしてこういう個々人のつながりの回復から復興を目指すモデルは、私のような精神障がい者にとっても無縁でもありません。なぜなら、精神障がい者はつながりの苦悩や困難に直面するのですから。ひきこもりや失業者の方々も同じです。上山さんや熊谷・綾谷さんの本からも示唆されてそう思うのです。
2011-08-25 20:53:49でも、集合化された国や集団のアイデンティティで己の実存の空隙を埋めるのではなく、私自身の欠落や苦悩に向き合う中で必要なつながりやニーズにであう必要があるのです。この側面で菅原さんの個人からの復興には大変共鳴しました。
2011-08-25 20:57:26今回の災害で地域の声に耳を傾けよという悲痛なメッセージを受け止める一方で地域の再構成、それは自分がどういう場所で安全に暮らしたいかそして地球規模の災害にどう心構えを持つか。この課題は原発のみならず今後の私たちの社会システム形成に必須の視点だと思いました。
2011-08-25 20:59:09今日は菅原琢さんと高橋源一郎さんの論説を読めてとてもよかったです。新聞も時にはやってくれるじゃないかそう思った次第です。今後のおふたりの論説の展開にも注目です。ではひとまずこれで。
2011-08-25 21:00:10