死ぬのがこわくなくなる話 第2話

Twitter上で連載中の渡辺浩弐さんの長編小説をまとめました。
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渡辺浩弐 @kozysan

「死ぬのがこわくなくなる話」の続き(毎日一歩一歩進めていきます)。あなたは言う。もちろん死はこわい、と。それは苦しい、痛い、寂しいものだろうと。しかし、それこそがつまり「 自 分 だ け は 死 な な い 」と思いこんでいる証拠だ。

2011-08-14 03:06:27
渡辺浩弐 @kozysan

あなたは自分の死んだ時のことを想像する。あなたの呼吸が止まっているイメージ。心臓が止まっているイメージ。そしてものすごく息苦しくなる。あなたの体はやがて腐っていく。映画やゲームで見たゾンビのように。それは汚らしい。おぞましい。それが自分だと思うと、とても耐え難い。

2011-08-14 03:07:08
渡辺浩弐 @kozysan

ところでその死体をおぞましいと思っているのは誰か。あなただ。その想像の中で死体を見ているのはあなたなのだ。つまり、そこで死んでなどいないということになる。

2011-08-14 03:07:45
渡辺浩弐 @kozysan

苦しいとか汚いというのは、死んでいないからこそ、生きているからこそ、感じ取れることだから。知覚は、あなたの神経そして脳細胞の科学的電子的な活動によって生み出されているのだから。

2011-08-14 03:08:59
渡辺浩弐 @kozysan

死んでしまったら、感覚自体が存在しなくなる。どんなに体が崩れようが腐ろうがそこには苦痛も感慨も何もないはずだ。あなたはそこに、存在しないのだ。

2011-08-14 03:09:35
渡辺浩弐 @kozysan

「存在しない」……思考はそこでまた立ち止まる。自分が存在しないというのは、この自分自身が影も形もなくなるというのは、どういうことなのだろう。

2011-08-14 03:11:03
渡辺浩弐 @kozysan

自分は自分なのだ。何よりも確かに存在しているものが自分なのだ。自分なのに、ここにいるのに、なぜ存在しなくなるのか。

2011-08-14 03:11:22
渡辺浩弐 @kozysan

古今東西、同じように思い悩んだ人はとても多い。そして、むりやり考えを先に進めるためにでっちあげられたのが、死後の世界、天国や地獄だ。いわく、死んだ人達はあの世で楽しく過ごしている。いわく、一部の悪い人は地獄へ落ち苦しむ。あるいは幽霊になってさまよう。

2011-08-14 03:11:55
渡辺浩弐 @kozysan

天国住民も地獄住民も幽霊も、生きているイメージから脱していない。つまり、このでっちあげは、「死んだ後」という前提をそもそも無視した世界観である。

2011-08-14 03:12:10
渡辺浩弐 @kozysan

ここではっきりさせておきたい。それらは嘘だ。天国地獄霊魂来世、 全 て 、 嘘 だ 。というか、あえて言うまでもなく、実は信じてなんかないのでしょう? 本当にそんなことを信じているとしたら、馬鹿だ。

2011-08-14 03:13:54
渡辺浩弐 @kozysan

意識も感情も記憶も、全ては物質世界の分子や原子のふるまいによる物理的現象だ。物質としての人間が死に、その全ての細胞が腐りもしくは焼かれ完全に崩壊したら、そこには意識も感情も記憶も、あるはずはない。

2011-08-14 03:14:29
渡辺浩弐 @kozysan

死後の世界など、ない。天国も地獄も存在しない。幽霊などいない。死後なお何かを考えている人はいない。死後さらに何かを見続けている人はいない。死後、別の人間にコンタクトをとれる人がいるはずもない。

2011-08-14 03:14:53
渡辺浩弐 @kozysan

外部に残したデータ、例えば文書や映像や写真などの他には、死んだ人間の存在は別の人間に伝わったりは、しない。

2011-08-14 03:15:31
渡辺浩弐 @kozysan

今日の僕の話は、ここまでです。

2011-08-14 03:15:52
渡辺浩弐 @kozysan

天国とか地獄とか神様という設定が機能していた時代は幸福だったと思います。それがどうしても難しくなってきたのはごく最近なのですね。 RT @kakkon10: @kozysan そもそも人間が安心してして死ねるように作られたのが天国やら地獄という死後も人間には居場所があるという物語

2011-08-14 03:33:42
渡辺浩弐 @kozysan

天国や地獄といった物語が機能しなくなってからも、人間はこのことをきちんと議論したことがなかったわけです。世界が社会があまりにも強く依存していた物語だったので、崩壊していることを見て見ぬふりしているしかなかった。けれど、それも、もう限界です。

2011-08-14 03:36:42
渡辺浩弐 @kozysan

その時、あなたの心の中で二つの存在が対話もしくは戦闘しているように思いませんか。それをDNAとミームと仮定することもできますね(この話、あらためて)。 RT @my_yuki_: @kozysan 私が怖いのは、自分が死ぬと確信したときに「死にたくない」と思ってしまうこと。思って

2011-08-14 03:40:07
渡辺浩弐 @kozysan

連載について、ご要望やご質問や、皆さんの考えておられることを取り込みつつ、けれど自分の考えを必死で形にしつつ、そして勉強しつつ進めています。やはり、書きだめに意味なかった。そういう企画でした。

2011-08-14 03:42:21
渡辺浩弐 @kozysan

社会から距離をとって自分一人の時間を長く過ごすと、孤独の先に死を冷静に考えることができるような気がしています。そういう人が今とても多いのではと。 RT @sunay_n: @kozysan 端的に言って人の恐れる「死」とは、他者との関係性の途絶なのだと思います。ですから死(への直

2011-08-14 03:45:44
渡辺浩弐 @kozysan

死にたいと考える僕らを引きとめている力は社会ではなく内側にあるような気が。いずれにせよ死のうと考えている方も、その前にとりあえずこの連載、つきあってください。 RT @zoomincharmin: @kozysan 私は逆にいつも死にたいと考えてるのでなんか同意、、ですかね

2011-08-14 03:50:23
渡辺浩弐 @kozysan

『死後の世界はある』じゃなくて『あってほしい、だってこわいから』と言うべきなんですよね、本当は。 RT @meme_chans: @kozysan 死後の世界はないと思ってます。あると思ってる人に、見えるようにしてもらいたいです。科学者が、目に見えないものを見えるようにしてきた様

2011-08-14 03:54:20
渡辺浩弐 @kozysan

死はタブーです。みんなではっきりと、かつ猛烈に議論することのできる場所は今までありませんでした。ネットに感謝です。 RT @wolfsburg29: @kozysan どうも世間は死をタブー視しすぎてる気がしています。いつか死んで、全てが無くなる。逆に自分はそれを甘受しすぎている

2011-08-14 03:57:43
渡辺浩弐 @kozysan

たとえば、「死」という文字があふれるツイート列を見てフォローを外された方がたくさんおられるようです。そういう方々が抱えているタブーは、社会から受け取ったものでしょうか。それだけではないですよね。

2011-08-14 03:59:39
渡辺浩弐 @kozysan

死のことや宇宙のことを考えようとする怖くさせるその働きの正体について考えています。 RT @ech_idna: @kozysan 小学生の頃、死に続いて世界(宇宙)の広さがどうしようもなく怖くなり。宇宙より原子のほうが大きいという結論でやり過ごした記憶があります。把握できないもの

2011-08-14 04:03:18
渡辺浩弐 @kozysan

DNAの戦略について、やはり早めにきちんと書きますね。 RT @ech_idna: @kozysan もしかして死後の世界は本当にあって、「死=何も無くなる」という考えが、人生を実りあるものにするために仕組まれた宗教みたいなもの、あるいは繁殖のために仕組まれたDNAかもしれないと

2011-08-14 04:04:49