鉢呂経産相辞表提出で考える日本の閣僚任命システムの問題点

鉢呂経産相が「死の町」発言と「放射能うつすぞ」発言で辞表を提出した。就任直後にその任を遂行する資質のなさを露呈した。こういう閣僚が任命されてしまう背景には、日本の閣僚任命システムの重大な問題点がある。すなわちその人間的資質及び政策上の精通さについてきちんとチェックするシステムがないのだ。「任命権者は首相」というお題目の下に首相一人の判断に丸投げされている。閣僚任命システムの改善を求める問題提起。
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fj197099 @fj197099

鉢呂経産相が辞任=不適切発言で引責(http://t.co/oaBEBBd)…閣僚辞任のスピードとしては記録的だろう。「死の町」も「放射能うつすぞ」もそれだけでは辞任材料とはならなかったかもしれないが、昨日の今日の話である。人格と資質に重大な疑問が生まれたのもやむを得ない。

2011-09-10 20:39:12
fj197099 @fj197099

野田政権にとっても大打撃だ。経産相は今後の景気とエネルギー政策の行く末の鍵を握る超重要ポスト。野田首相自身の任命責任は免れないし野党も国会で厳しく追及するだろう。ただでさえ国会会期を巡り与野党が緊張していた時期にわざわざトラブルの種を蒔いた。実に愚かしいし、政策以前の問題である。

2011-09-10 20:41:41
fj197099 @fj197099

派閥均衡の論理で資質無関係にポストを与えるからこうなる。日本は首相だけでなく、閣僚の選別に当たっても資質を事前に確認する制度的メカニズムがない。これは重大な問題だと思う。米国では閣僚及び政府の主要なポストは事前に議会が公聴会を開いて資質を確認する。所謂「身体検査」も行われる。

2011-09-10 20:43:02
fj197099 @fj197099

公聴会で聞かれるのはそのポストに関わるありとあらゆる政策事項への態度である。6月のパネッタ国防長官の承認を巡る公聴会では、事前に80ページ以上もの質問状に答えることが要求されていた。その上で生中継される公聴会での質疑に答えねばならない(事柄によっては非公開もあるが)。

2011-09-10 20:45:48
fj197099 @fj197099

これは相当に厳しいプロセスである。本当にそのポストに相応しい実績と資質を持つ人物なのかをあらゆる角度から精査される。時には承認に何ヶ月も掛かる場合もあるし行政府が指名した人物が結局議会から承認が得られないと見て指名が撤回される事もある。生半可なことでは通用しないのが米国の人事だ。

2011-09-10 20:49:05
fj197099 @fj197099

これだけ厳しいプロセスを経るからこそ、米国ではスキャンダルや資質不足による閣僚辞任ということは殆ど起こらない。大統領制という政治制度の違いはあるとしても、任期も安定して最低四年ほど勤めることができる。個人として名前が残せるし業績も残すことができ、「政治主導」が可能になる訳だ。

2011-09-10 20:50:31
fj197099 @fj197099

その点、日本の閣僚選びは情けないほどに安直である。「任命権者は首相」というお題目の下に全てが首相一人の主観のみで決定される。首相だって万能ではないから全ての閣僚の資質にチェックが行き届くはずがない。本来一人かつ短時間でできるはずもないことを無理に行わせているのが日本の実態だ。

2011-09-10 20:53:01
fj197099 @fj197099

首相の閣僚指名を制度上サポートするシステムが必要なのではないか。少なくとも閣僚は事前にその資質がチェックされるシステムを導入すべきだ。人間としての資質と、政策項目への精通振りが問われてしかるべきだろう。派閥均衡の論理での閣僚ポスト割り振りの悪習から脱却しないと日本の未来はない。

2011-09-10 20:56:08
fj197099 @fj197099

まあ米国は大統領制、日本は議院内閣制と政治制度が違う背景はあるので、米国のものをそのまま移植することはできません。制度の有り方についてはかなり専門的に議論する必要が出るとは思いますけどね。@DarkLuciferU 閣僚候補者に対する公開聴聞会を経た国会の同意が考えられますねRT

2011-09-10 21:06:22
fj197099 @fj197099

ちなみにもう一つ興味深い論点を挙げると閣僚の政策面での資質を問いだすとおそらくは候補者が国会内に殆どいなくなるということだと思う。実際、大規模な組織を動かすのは大規模な組織の動かし方に精通した人間に比較優位がある。すなわち地方首長経験者とか大企業経営者とかの国会議員以外の人々だ。

2011-09-10 21:08:52
fj197099 @fj197099

つまり資質を問う閣僚任命のスタイルというのは、必然的に民間人が多くを占める内閣を作ることを意味するのだろうと思う。実務者内閣、といってもいい。その点、憲法第68条が閣僚の過半数は国会議員から選ばねばならないとしているところとの衝突が発生する。「資質」の幅には一定の制約があるのだ。

2011-09-10 21:11:31
fj197099 @fj197099

憲法にどうしてこういう規定があるのか私は知らないが、おそらく閣僚は国民から選出された国会議員に過半数を担わせることで一定の説明責任を確保しようとしてのものだと思う。しかし選挙で選出されることと政策に詳しいことは必ずしも両立しない、というよりむしろ相反する可能性もある。

2011-09-10 21:13:23
fj197099 @fj197099

「専門家」は人気投票には通常勝てない。故にこの憲法上の規定は日本国の政治が閣僚に何を期待しているかをある程度暗示しているように思われる。すなわちそれは「政策通」であるというよりは「国民への説明責任を果たす」存在としての位置づけだ。政策は官僚に任せる。閣僚はそれを国民に説明する。

2011-09-10 21:16:09
fj197099 @fj197099

そういう役割分担でこの国は60数年間動いてきたのではないかと思う。ところが民主党は「政治主導」を訴え政治家が実際に政策を動かすシステムを導入した。そして試行してみて気がついた。実際には政治家にはその能力が全くないということを。それは制度上期待されている役割でもないということを。

2011-09-10 21:17:59
fj197099 @fj197099

日本政治における今後の閣僚選びはかなり難しいものになると思う。閣僚に政策上の資質を問うなら、一部の例外を除き国務大臣は国会議員から選ばれるべきではない。経験ある民間人を登用して実務者内閣にした方がいいからだ。その観点からは憲法上許される、過半数ぎりぎりまで民間人閣僚がいてもいい。

2011-09-10 21:21:39
fj197099 @fj197099

他方、説明責任重視ならこれまでどおり国会議員を閣僚にしてもいい。ただしその場合、閣僚は政策を安易に「主導」すべきでないと心得るべきだ。何しろ資質の上で最適な人事ではない。ある程度「官僚主導」を許容しないといけない。そして政策の説明役に徹する。不祥事が起こったら辞任で責任を採る。

2011-09-10 21:24:11
fj197099 @fj197099

世の中の趨勢を問えば、今後の日本ではますます前者のような政策をリードできる閣僚が必要とされている。日本の官僚システムも限界は多く出ている。しかし実際には閣僚は後者の発想で選択される。求められるものと答えられることに大きな違いがある。そこに日本の内閣の機能不全の理由があるのだろう。

2011-09-10 21:26:13