ビヨンド・ザ・フスマ・オブ・サイレンス #2

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

第二部「キョート殺伐都市」より:「ビヨンド・ザ・フスマ・オブ・サイレンス」#2   1

2011-10-27 20:44:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(前回あらすじ:ガイオン地表で鍼灸院を営むカタオキは謎の症状に悩まされるようになった。目を閉じると暗黒宇宙イメージの只中に投げ込まれてしまうのだ。暗黒宇宙には赤黒い憎しみの塊がおり、「ニンジャ殺すべし」と繰り返す。カタオキは恐怖した。) 2

2011-10-27 20:48:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(この現象はカタオキの持つ能力と関係があるようだった。他者の心に潜入する能力……彼のこの力は4年前に憑依されたニンジャソウル由来のものであったが、憑依時のニンジャソウルの説明不足により、彼自身それを知らずに来た。彼の鍼灸院が繁盛するのもこの力を治療に応用していた為だ) 3

2011-10-27 20:51:35
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(意を決し、己に訪れた変化の正体を探ろうとした時。彼の元に蠱惑的女性が現れる。誘惑催眠の力におののくカタオキ。女の目的は何だ?しかもそのマスクの下には怪物的正体が潜んでいた。カタオキに貞操と命の危機が迫った時、彼は己がニンジャである事を自覚!覚醒し危機に立ち向かう!) 4

2011-10-27 20:59:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「シルバーキー!?」パープルタコが触手を蠢かせる。「急にニンジャらしくなっちゃって。アカチャン」そしてコロコロと笑う。「あんたの身のこなしを見てるとようくわかるよ。カラテのできない子がザイバツ・シテンノ相手にどこまでやれるのかね」「そりゃお前……」シルバーキーは身構えた。 5

2011-10-27 21:07:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャ覚醒した彼にはわかる。この女もニンジャだ。装束ではなくレザーボンデージ姿であるが、この女は間違いなくニンジャだ。そして、ザイバツ?シテンノ?得体の知れぬ単語である。パープルタコは小首を傾げた。嘲るように手招きする。「ほら。おいでよ。ファック再開しようじゃない」 6

2011-10-27 21:22:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「だいたい俺に何の用だよ?エッ?」シルバーキーはパープルタコを指さす。「わざわざこの俺とファックしに来たのか?お断…」「なワケないだろ」パープルタコは即座に否定した。「あンたのジツ。ギルドにとって使い途が色々あるって事よ。アタシもたった今、身をもって理解した」 7

2011-10-27 21:26:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(ジツ。俺の)シルバーキーのニューロンが加速した。この力、隠して来たのに何故バレた?という思い。同時に、いつかはこうなると思っていた、という諦念とが彼の心を乱す。それが伝わったか、パープルタコはニヤニヤと笑って言った。「キョートでギルドの目を欺き続ける事などできはしない」 8

2011-10-27 21:31:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

何処でバレたのだろう?いや……どこかのゲイシャバーで泥酔して自慢話をしたかも……あるいは患者にニンジャが偶然いたらどうだ?ギルドとやらがナチのSSみたいな連中だとしたら、それだけで……。理由は幾らでも有りうるのだ。これもインガオホーか、とシルバーキーは苦々しく考えた。 9

2011-10-27 21:36:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(この4年間、上手く行き過ぎていたんだ。いくらなんでも。いつかこういう落とし穴が来るさ。そりゃそうだな)「オーケイ、オーケイ。それじゃあ、お互いアイサツも済んだんだ」シルバーキーは頷き、素早く踵を返した。「俺はこれでオサラバアイエエエエ!?」走りだそうとして、たたらを踏む! 10

2011-10-27 21:38:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

いつの間にか彼の背後にはもう一人ニンジャが立っていた!水色のニンジャ装束を着た、男のニンジャだ。両手を上げ、顔の横でゴム手袋めいたグローブをはめた手の甲を見せるようにしている。ニンジャはオジギした。「ドーモ。シルバーキー=サン。サージョンです」「アイエエエ!」 11

2011-10-27 21:40:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「パープルタコ=サン!なんで私の到着時にターゲットがのうのうとアイサツなんぞしている?」驚愕するシルバーキーの肩越しに、サージョンはパープルタコを叱責した。「拘束を済ませている手筈だろう?遊んでいたな?」「遊んでたのよ」パープルタコが笑った。「当たり前じゃない」「ビッチめ」 12

2011-10-27 21:45:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ、サージョン=サン。シルバーキーです。オ……」シルバーキーはオジギし、頭を戻す勢いで回転ジャンプ!サージョンを飛び越しにかかる!目指すは玄関ショウジ戸!「オタッシャデー!グワーッ!」ナムサン!当然のごとくサージョンは垂直ジャンプしこれを阻止!飛び蹴りインターラプト! 13

2011-10-27 21:59:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「これはお前さんの仕事だろう!こういう肉体労働は!」サージョンはシルバーキーの背中を踏みしめながら不服げに言う。パープルタコは肩をすくめた。「でも、上手いもんじゃない」「ビッチめ」「グワーッ!」シルバーキーは背中を踏まれ悶えながら、震える手でサージョンの軸足の足首を掴んだ。 14

2011-10-27 22:10:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何を……アバババッ!?アバババババッ!?」足首を掴まれたサージョンが突然痙攣を始める!シルバーキーはサージョンの身体に触れ、マインド潜行を試みたのだ!「アババババ!」「アッハハハハハ!」パープルタコはそれを見て身をのけぞらせ笑う! 15

2011-10-27 22:14:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ひとしきり笑った後、ツカツカと歩み寄ったパープルタコはシルバーキーの脇腹を力任せに蹴る!「イヤーッ!」「グワーッ!」痙攣していたサージョンは我に返りバックステップして警戒。シルバーキーは床を転がって悶絶する!「言い忘れてたけど、こいつ案外油断ならないのよ。アッハハハ!」 16

2011-10-27 22:19:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ビッチめ!」サージョンは激昂した。「許される冗談とそうでないのがあるぞ」「そうね!」「グワーッ!」床を転がって身悶えするシルバーキー!「じゃ、どうぞ、お好きにどうぞ。あたしが見張ってるから安心していいわよ?アッハハハ!」「……」サージョンはシルバーキーの傍らに屈み込んだ。 17

2011-10-27 22:22:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

サージョンの手にはいつの間にか小さな注射器が握られている。コワイ!彼は悶えるシルバーキーを片手で保定すると、鮮やかな手つきで首筋に注射した。「グワ……」即効性の麻酔である。シルバーキーは瞬時に脱力し、ぐんなりと床に横たわった。「さあ。こいつをベッドかタタミに」「あたしが?」 18

2011-10-27 22:28:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヤメロー!ヤメロー!」シルバーキーは虚しく叫んだ。眼下には施術ベッドに横たえられた一人のニンジャと、その両脇に立つ二人のニンジャの姿がある。彼は幽体離脱めいて己を見下ろしているのだ。「ヤメロー!ヤメロー!」叫び声が届く事はない。 20

2011-10-27 22:35:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

幽体離脱…‥こんな現象もこの四年間で経験したことが無い。思えば昨晩の入れ子状の不安な夢を見て以来、彼の身にはおかしな事ばかり起こっている。不条理の大群が突然に押し寄せ、彼の日常を押し流してしまった。(いや、いい。気持ちを切り替えるんだ)シルバーキーは自分に言い聞かせた。 21

2011-10-27 22:38:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼が無力に見守る中、サージョンはアタッシェケースを開き大量の電気メスを吟味していた。(畜生、俺の身体に何しやがる気だよ……)シルバーキーは歯噛みする。「「ねえ、ついでにこの子のアレもいじってよ」」パープルタコが笑う。サージョンは無視している。 22

2011-10-27 22:42:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(ナムサン)彼は泣きたい思いだった。だが眺めていても意味が無い。彼は浮上する。ベッドが、鍼灸院が、あっという間に遥か下に遠ざかり、ガイオンは役所のジオラマ模型めく。さらに浮上し頭上の緑色の格子模様をも突き抜けると、そこは昨晩から何十回も訪れている例の暗黒宇宙だ。(やはりな) 23

2011-10-27 22:48:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

これは言わば、さっき呼び鈴で中断された探索行の再開だ。わかっている事は何も無い。憶測を元に動くしかない……彼は遥か遠くで明滅する赤黒い輝きに意識を振り向ける。気が進まない事だし、現実において意味があるかもわからぬ。だが、今の彼に出来るあがきはこれだけだ。時間の猶予も無い。 24

2011-10-27 22:59:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

あの輝きがいる場所は、ガイオンのどこなのだろう? それともガイオンの外? ずいぶん遠い……地上なのか、地下なのか……彼は滑るように暗黒空間を飛翔する。肉体の檻を離れている彼にとって、その飛翔は一瞬よりも短く済んだ。彼は先程とは違い、気づかれること承知で赤黒い輝きに接近する。 25

2011-10-27 23:03:51