道路工事のほとんどは「道路で工事」

どうして道路工事は何度も同じところを掘るのか についての、 @ohnuki_tsuyoshi さんによる説明 たんぶらで流れてきたので
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大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

また土木屋のウンチク話を一席。よく聞く公共事業批判、「どうして道路工事は何度も同じところを掘るのか」についての合理的説明。おおまかに言って3つの理由があるが、その前に1つ。「道路工事」のほとんどは「道路の工事」ではなく「道路で工事」。

2010-03-23 21:38:01
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

道路にはいろんな物が埋まっている。下水管、水道管、ガス管、都市部では電力線や電話線、ケーブルテレビや光ファイバー。道路工事の大半は、こういうものの新設・増設・補修、沿道建物との接続工事。現場の工事看板を見れば明らかなのだが、見ないんだろうな。

2010-03-23 21:40:03
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

で、道路工事で同じ場所を掘る理由その1道路を掘って管を埋めた場合、しっかり埋め戻しても僅かに沈下してしまう。そこで、舗装して1週間以上放置し、舗装をはがして少し広めに舗装し直すのがルール。家を新築したりすると、水道ガス下水とこれを繰り返す。

2010-03-23 21:43:27
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

道路工事で同じ場所を掘る理由その2幹線道路でよくあるパターン。小さな工事や補修を繰り返した道路はツギハギになり、車は走りづらく、継ぎ目で騒音は出るし、振動で路面の傷みも進みやすくなる。そこで、10年ぐらいの間隔で表面を5cmほど削り、全体をきれいに舗装し直す。

2010-03-23 21:46:36
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

で、この10年ごとの補修工事の後、数年間は掘削工事を禁止する。だって、せっかく直したのにもったいないから。そこで、補修工事の前に関係各所に「こんど、補修工事をしますから、掘削工事をしたい人は今のうちにやっちゃって下さい」と連絡する。

2010-03-23 21:49:28
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

すると下水、水道、電気、ガスなど各社が「じゃあ今のうちに補修しちゃおう」「早めに新設工事をしておこう」と、次から次へと工事が始まる。1年ぐらいかけて片っ端から工事をすると、最後に舗装の補修工事が行われて、きれいな道路になる。これが「同じところを繰り返し工事」に見える。

2010-03-23 21:51:34
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

道路工事で同じ場所を掘る理由その3。道路に埋まっている下水管が老朽化して、交換しなければならないとする。しかし道路を何週間も通行止めにするわけにはいかない。大抵は、深夜の数時間しか通行止めできないし、あるいは少し幅を狭める程度のことしかできない。

2010-03-23 21:53:50
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

そこで、日中は影響を最小にとどめておき、夜中にフェンスを並べて一気に作業帯を作る。そこに重機を搬入し、掘削して管を交換、埋め戻して舗装をし、全てを片付けて朝には交通を通す。心臓の手術のようなものだ。

2010-03-23 21:56:52
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

一晩でできるのは数m、ということもある。しかし、その前後数十mに渡って重機が並び、道路を狭めるフェンスはもっと延びるから、毎晩同じ場所で同じ工事をしているように見える。実際には数mずつずれているのだが。これが3つ目の理由。

2010-03-23 21:58:20
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

なので、現場を知っている者から見ると、一般の方が口々に言うような「無駄な工事」というのは、あまりないのです。いや、そもそも要らない工事だと言われればそこは難しいですが、同じ場所を何度も無駄に掘る工事というのはまずないです。

2010-03-23 21:59:39
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

大型機械を使う、工場製品を使って現場作業を減らす、リサイクル品を使う、といった工業共通の工夫は導入されていますね。 RT @J_kaliy: たとえばこの20年くらいの間に、道路の補修工事の労働生産性は技術の進歩によりどれくらい向上しているのでしょう?

2010-03-23 22:00:55
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

たとえば、道路にはマンホールの蓋があります。「舗装を5cm削り、アスファルトを敷き直す」といった工事をする場合、この蓋の処理に時間が掛かります。蓋を避けて削ったり、蓋を避けて舗装したりする必要があるので。

2010-03-23 22:02:34
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

そこで新しい技術ができました。まず、マンホールの蓋を撤去し、10cmほど下に鉄板を置いてアスファルトで埋めてしまいます。この工事は小規模なので、夜間に1つずつやれば大きな通行止めの必要がありません。

2010-03-23 22:04:16
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

一通り終わったら、夜間に1車線を通行止めにします。そして、巨大なガスバーナーで路面を加熱し、アスファルトを溶かします。溶けたアスファルトに新品アスファルトを少し加えながらその場で混ぜ、再度均して、ローラーで締め固めます。大型機械を使うので一晩で100mぐらい作業できます。

2010-03-23 22:06:25
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

また、削ったアスファルトの搬出や新品アスファルトの搬入がないので、ダンプカーの数が激減し、人件費も削減できます。この工事が終わったら、埋めてあったマンホールを掘り起こし、蓋を設置します。これも小規模なので、1つずつできます。

2010-03-23 22:07:57
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

道路工事に興味を持ってくださった皆さんにお願い。こんど工事現場を通ったら、看板を見てみてください。関東の国道を皮切りに、工事看板のスタイルを変えています。都内ではほとんどが新スタイルです。「古くなった下水管を取り替えています」など、わかりやすい表現で大書きしています。

2010-03-23 22:16:24