横浜のストロンチウム検出騒動を巡る議論・解説
できればこちらを先にお読みください
11月24日の文部科学省のプレスリリースより抜粋
- 福島第一原子力発電所の事故の影響を判断するために必要なストロンチウム89(半減期、50.53 日)が検出されなかったことから、放射性ストロンチウムについては、福島第一原子力発電所の事故に伴い、新たに沈着したとは言えない。なお、今回検出されたストロンチウム90の測定値は、いずれも、事故発生前(平成11 年度~21 年度)に全国で観測されたストロンチウム90 の測定値(検出下限値~30Bq/kg)の範囲内に入るレベルであった。
- 横浜市が採取した堆積物について、 横浜市の依頼を受けて(株)同位体研究所が核種分析を実施した結果、ストロンチウム89 とストロンチウム90 の合計値は最大で129(Bq/kg)検出されていたが、文部科学省が同試料について、文部科学省放射能測定法シリーズ「放射性ストロンチウム分析法」に則り、核種分析を実施した結果、ストロンチウム89 は不検出であり、ストロンチウム90 についても不検出もしくは、微量しか検出されなかった。
- 同研究所が堆積物に含まれるストロンチウムの定量にあたって使用した核種分析の手法は、同社のHP によれば、固相抽出法と想定されるが、これまでの(財)日本分析センターの実績や海外の文献によると、この手法ではラジウム、鉛などベータ線を放出する天然核種、あるいはベータ線を放出する子孫核種が抽出されることが示されている。
- このため、堆積物に含まれるストロンチウムの定量にあたって、同研究所が固相抽出法を使用しているようであれば、ストロンチウム89 及び90 のほか、ベータ線を放出する天然核種を含めて測定している可能性がある。
今回の報道を聞いて勘違いしている人が多い重要な点
横浜ストロンチウム、マンションマンションと騒いでる人がいてるが、1,屋上の試料は追試してない。市が測った「地上の」堆積物 2,追試で元の測定方法自体がSrを誤検知してると指摘がある 3,核実験の残滓って事故前も毎月降ってるもの の三つが完全に抜け落ちてる。三つもだよ。
2011-11-25 09:55:47(横浜のストロンチウム)TLに横浜のストロンチウムは屋上云々というのが時々見えるんだけど… 横浜市のリリース→ http://t.co/bfKBoEmF 及び昨日のMEXTのリリース→ http://t.co/4eP450vj どこにも屋上なんて書いてないです.
2011-11-25 09:28:59分析を行った「株式会社同位体研究所」とは
同位体研究所っていうのは安定同位体比分析から食品の生産地とか決めてる会社で、放射性物質の定量は3月以降なんだね。抽出とか微量元素分析とかは得意そうだから、Sr 抽出とかいうと気合いが入るのだろう。http://t.co/yH3BMADw
2011-11-25 06:48:36で、同位体分析というのは、産地ごとのデータベースが大事なので、無料検査しますというのもそんなに抵抗ないということだろう。http://t.co/yH3BMADw http://t.co/wgXuUvem
2011-11-25 06:51:20@chiba_donguri セシウムの値については分析センターと同じなんで、マシス級ってことにはさすがにならんとは思いたいですが…。それにこの方法、ラドン系が多い土ではダメでも、食べ物なら行けるって可能性もまだある.. http://t.co/lSWwPxio
2011-11-25 00:44:04株式会社同位体研究所会社概要より抜粋
株式会社同位体研究所は、国内最大規模の産地判別検査事業を基盤に、受託安定同位体比分析、産地証明事業、非破壊光学測定による農畜産物の品質評価事業を運営しています。
(中略)
また2011年3月の東日本大震災による福島原子力発電所事故に起因した大規模な放射性物質拡散は、農業生産、輸出を始め、人々の暮らしに大きな不安を与えました。 未だかつて無い大規模な放射能拡散に直面し、同位体研究所は、従来の安定同位体比分析による産地判別に加えて、農業・産業復興の為にも放射性同位体分析による各種放射能検査の提供を開始しました。 安定同位体比分析によって培った産地データ集積ノウハウを生かして、農地の放射能汚染からの復興に向けての農業支援、消費者の安全性と風評防止への的確な放射能検査の提供と、多岐にわたる検査の提供を行っています。 同位体研究所は、今後とも食品産業、農業そして人々の暮らしに貢献できる分析検査技術の提供に努めます。
同位体研究所の反論
今日の朝日新聞社会面。横浜のストロンチウムについて文科省は原発由来とは言えないと発表。同位体研究所代表は「米エネルギー省でも迅速測定でやっている方法。他の核種が出ても20〜30%くらい高めに出る程度とみていた」と反論。
2011-11-25 12:53:39株式会社同位体研究所HP
11月25日20時過ぎ掲載
http://www.radio-isotope.jp/_src/sc240/93AF88CA91CC8CA48B868F8A94AD955C111125.pdf
・・・と、思ったら20時20分頃に削除
20時30分ころに差し替え?
http://www.radio-isotope.jp/_src/sc242/Sr9091AA92E8_94AD955C111125.pdf
同位体研究所が11/25付けで固相抽出法による放射性ストロンチウムの分析に関する発表http://t.co/UV6cjb8T イオン半径がSrと近いカルシウム、鉛などは捕捉される可能性があることを認めています。吸着後のフィルターディスクをγ線測定して(続く)
2011-11-26 11:51:42(続き)γ線放出核種が検出されないことを確認後、ディスクに吸着された物質を抽出してICP-MS(質量分析法の一つ、「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」でウラン・プルトニウムの迅速分析法として紹介)で分析し、Srに加えて鉛とバリウムを検出。(続く)
2011-11-26 12:02:23固相抽出法の適用範囲について「(前略)固相抽出法による放射性ストロンチウムの回収におけるイオン半径の近い、鉛などの環境放射能の影響などは十分な検討が必要であると理解しています」
2011-11-26 12:15:18固相抽出法の適用範囲について(その2)「水、食品、木材、農産物、畜産物などの試料については、試料中に鉛の存在はほとんどない為、固相抽出法においても測定値に影響はなく、固相抽出法の測定妨害要因とはならないと考えます」(要は鉛の共存が多い土壌試料に適用したのが問題だった可能性大)
2011-11-26 12:17:34今後の対応として「土壌分析における放射性鉛(Pb-210,212,214)の影響の評価:ラドディスクに吸着される鉛の影響及び放射性ストロンチウムの測定における留意点について、ラドディスクに回収された元素の解析及び濃度測定に取り組みます」(当然考えられる、そしてやるべき対応)
2011-11-26 12:25:18同位体研究所の手法の向き・不向き
@miraiclel お返事遅くなってすみません。事態の推移を見極めるまでに時間がかかりました。私の考えを結論から申しますと、横浜の同位体研究所がとった土壌のストロンチウムの測定値は、試料の前処理法にかなり大きな問題があり、議論に使えるものではありません。
2011-11-26 16:32:02@miraiclel あの前処理方法はストロンチウム以外にもいろいろな物質を一緒に拾っており、その中の一つが鉛です。製造元の説明書にある前処理手順は鉛の少ない水、食品、木材のような試料には問題なく使えても(続く)
2011-11-26 16:36:41@miraiclel (続き)放射性鉛、特にストロンチウムと同じくβ線を出す鉛210が結構多量に存在する土壌に使うのは適当ではなかったと言えます。現在同位体研究所も問題の存在を認識し、検証と解決策探しに動き始めています(おそらく測定までに妨害物質を除く段階をさらに追加することに)
2011-11-26 16:40:19