「政治的成熟」について

平川克美 @hirakawamaru

敵対者を発見し、現状の停滞はすべてこの敵対者に原因するというロジックは、一見わかり易く、それゆえ政治的にしばしば採用される。

平川克美 @hirakawamaru

このロジックの欠点は、最初は外敵を打破するという手法で集められた同質集団が、次にはその集団内部に敵を発見しなくてはならなくなるということです。そうやって同質集団は縮小していく。歴史上の同一党派に起きた粛清はそのことを示しています。

平川克美 @hirakawamaru

このようにして、最期はごく少数の独裁的な権力と多数の面従腹背者しか残らなくなる。 これを避けるためには、最初のロジックを見直す必要がある。それは、敵対者のなかに、自分との同質性を発見するということ。

平川克美 @hirakawamaru

政治的成熟とは、敵対者のなかに、自分と同じものを見出して、なんだ同じじゃないかというかたちで協同するところに始まります。そうすることによって、はじめて違いが何であったのかということが冷静に判断することができる

平川克美 @hirakawamaru

同じものなど何一つないという方もおられるかもしれませんが、それこそ幼児的な観念の特徴だろうと思います。人間は同じところから出発して、成長するに従ってそれぞれ個性的にばらけていく。成長期とは異質性を発見していくプロセスだからです。

平川克美 @hirakawamaru

しかし、成熟をむかえ、老いに向かって、最期は皆同じようになって、誰にでも平等な死に至る。ばらけていたものが、再び同質性へ向かって移行してゆく。そのばらける力と、まとまる力が激しく拮抗することをわたしは「移行期的混乱」と呼びました。

平川克美 @hirakawamaru

人口が減少し、超高齢化して成熟国家となった日本にもとめられているのは、個々の違いを際立たせる政治ではなく、同じものを発見しネットワークしてゆくような成熟した政治だろうと思います。地域共同体こそ、そのネットワークの基盤だとわたしは考えています。