科学的証明が先か、安全重視か:低線量の放射線被曝・水俣や肝炎・薬害・津波・インフルエンザなどに予防原則・予防的な対策が適用されてきた/されてこなかったのか

●薬害・公害などは原因不明の被害が発生してから、原因が究明される場合が多い。 低線量の放射線内部被曝の場合、「被害の発生」が他の原因・既知の原因による、と考えられうる場合もあるため、「放射線被曝の被害」とされにくく、放射線による「被害の発生」が早期には明確化されにくい。 チェルノブイリにおいて、以上のような実例や知見がありながら、今回の福島原子炉災害で、政府・行政・公的学術機関の多くが、なぜ予防原則=安全が疑わしい場合には大事をとる、予想されるリスク・危険を回避する、に基づく対応がとれない、とられないのか。科学的に証明されていないことを、「ないこと」にする・しようとする専門家がいる。などについて: ●津波に対しては予防原則の適用が、日本では社会的に広く認められている。 続きを読む
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まとめ 危険性が証明されるまでは安全?!:原発など推進派の論理・信念と放射線被曝、水俣や肝炎・薬害などの被害の歴史(追加版) 原子力の平和利用のコンセプト、原発推進派などの持つ論理・信念はどのようなものか。 何を危険とし、何を安全と見るか。なぜ予防原則=安全が疑わしい場合には大事をとる、危険を回避することが軽視されるのか。今の科学でわからないことを「ないこと」にして切り捨てるのはなぜか。 放射線被曝、水俣や肝炎・薬害など、危険が証明されるまで対策が遅れたから被害が拡大した歴史。 などなどをめぐるやり取りのまとめ。 11/27ツイートを追加しました。 ●コメント欄のnemuribito 氏からコメントへの応答と、その続きを、 「科学的証明が先か、安全重視か:低線量の放射線被曝・水俣や肝炎・薬害・津波・インフルエンザなどに予防原則・予防的な対策が適用されてきた/されてこなかったのか 」http://togetter.com/li/22.. 2499 pv 14

↑上記トゥギャリ http://togetter.com/li/219095 に nemuribito 氏からコメントがあり、それへの応答を以下に再掲します。↓

ひじじきき @hijijikiki

トゥギャリ「危険性が証明されるまでは安全?!:原発など推進派の論理・信念と放射線被曝、水俣や肝炎・薬害などの被害の歴史(追加版)」にコメントがあったので、コメントと私の応答を連ツイします。 http://t.co/XyWKkw0a

2011-11-28 00:15:22
ひじじきき @hijijikiki

nemuribito氏のコメ「公害病、薬害、食中毒など:病状(被害者)発生→原因を探す。 原発事故:放射性物質検出→病状(被害者)を探す。 構図が逆。前者の場合、原因がないということはないが、後者の場合、病状がないということはあり得る。」 http://t.co/XyWKkw0a

2011-11-28 00:15:53
ひじじきき @hijijikiki

私の回答:ご指摘の「原発事故:放射性物質検出→病状(被害者)の場合、病状がないということはあり得る」はその通りでしょう。確かに公害・薬害など被害が先の場合とは異なりますが、同様な事例のチェルノブイリでの知見から被害が生ずる恐れは否定できないと考えられるのでは。(続く

2011-11-28 00:16:47
ひじじきき @hijijikiki

続1)そのような場合に、有効だと思われるのはトゥギャリでも紹介した予防原則、確定していない危険を避けることを重視する考え方です。例えば地震の後に大きな津波が来る可能性があり、過去にそのような事例・経験があるが、因果関係は立証されてないような場合。

2011-11-28 00:17:11
ひじじきき @hijijikiki

続2)即ち危険=大津波が確実に来るかは不確実である。しかし予防原則の立場では安全を重視し、大事をとって備えることを重視します。それはよく知られているように、大きな地震で津波の恐れがある場合には、できるだけ早く高台などへ避難することなどです。http://t.co/XyWKkw0a

2011-11-28 00:18:06
ひじじきき @hijijikiki

続3)以上のことはもはや常識になっていると思いますが、それと原発事故による放射性物質の拡散への対処としての避難とは似ているところがあると思います。ただし、危険・リスクは放射能や津波だけではなく、避難すること自体の危険・リスクもあります。http://t.co/XyWKkw0a

2011-11-28 00:18:50
ひじじきき @hijijikiki

続4)避難する事で得られる効用=安全とリスクとの兼ね合いは各個人で異なることがあります。そのため、場合によっては、避難したほうがよいかどうか、は各個人の有する事情いかんによって異なることもあると思います。http://t.co/XyWKkw0a

2011-11-28 00:19:15
ひじじきき @hijijikiki

続5)問題は、放射能汚染に関してはチェルノブイリの知見から、避難することの効用を政府・行政はもっと真剣に考えるべきということで、避難を考えている人への支援をすることにより、避難することの持つリスク(失職・経済的困窮等)を少なくすることが重要かと。

2011-11-28 00:19:42

「新型インフルエンザと福島原発事故 政府は全く正反対の行動をとった」踊る小児科医のblog
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/eb00a7c306c11104e62b436313ff434e
から:

ひじじきき @hijijikiki

「新型インフルエンザで正しい行動:一つは、政府が法律に基づいた対策をとったこと。二つ目は、状況がわかるまで予防的に対策をとり、その後で緩めるという原則に基づいていた」新型インフルエンザと福島原発事故 政府は全く正反対の行動をとった http://t.co/z3Xy5WKU

2011-11-27 20:59:56
ひじじきき @hijijikiki

続き「SPEEDI知らせなかった、基準値を20mSvへ上げた、法律違反だけでなく、まず安全を確保して状況に応じて緩めるという予防原則に反し、国民の命をないがしろにする対策」新型インフルエンザと福島原発事故 政府は全く正反対の行動をとった http://t.co/z3Xy5WKU

2011-11-27 21:02:42

 

新型インフルエンザと福島原発事故 政府は全く正反対の行動をとった

踊る小児科医のblog:2011年08月17日
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/eb00a7c306c11104e62b436313ff434e
 それにしても、どうして3月15日に東京は大騒ぎにならず、2009年の新型インフルエンザのときには過剰とも言える反応を引き起こしたのか。何ヶ月も考えて続けていたのですが、答えは実に簡単なものでした。

 多くの国民が政府やマスコミの言うことを信じてしまったからです。正確な情報が伝えられなかったために、的確な対策や行動をとることができなかった。

 新型インフルエンザは最初の1週間の情報、特にアメリカの高校における流行と収束状況で、強毒性ではないことは明らかでした。しかし、日本だけが「新型」の法律を適用して過剰な対策を続け、医療者には過大な負担を強いて、国民には恐怖心を植え付けました。この時の対策は明らかに過剰でしたが、2つの点で正しい行動でした。一つは、政府が法律に基づいた対策をとったこと。二つ目は、状況がわかるまで予防的に対策をとり、その後で緩めるという原則に基づいていたことです。結果的に、世界でも最も死亡率が低く抑えられ、国民の命は守られました。

 そして、今回の福島原発事故では、この2つの点で政府は新型インフルエンザのときと全く正反対の行動をとりました。SPEEDIの情報を知らせなかったこと、基準値を20mSvへ一気に20倍も引き上げたことなど、法律違反であるだけでなく、まず安全を確保して状況に応じて緩めるという予防原則に反し、国民の命をないがしろにする対策でした。当然、責任者は法に基づいて裁かれるべきです。

 福島だけでなく全国の子どもたちは、この国が自分たちの命を最優先にしてくれていないことを実感しています。大人の一人として情けなく申し訳ない気持ちで一杯です。

 

以下に、鷲谷いづみ氏の記事:事故や避難に由来する精神的トラウマだけが問題とする推進派の主張は、野生動物にヒトの健康被害に酷似する影響が明瞭に認められることから妥当性を欠く。

島薗進 @Shimazono

1鷲谷いづみ氏(東大教授)「原子力災害が野生生物と生態系にもたらす影響と人々――チェルノブイリからの示唆」『科学』81(11)。崎山論文と同様、ヤブロコフらの報告(「帰結」と略す)に基づく。日本の放射線学者が根拠とするチェルノブイリ・フォーラムの報告(「遺産」と略す)と対照。

2011-11-03 09:09:53
島薗進 @Shimazono

2鷲谷氏「原子力災害が野生生物と生態系に…」『科学』81(11)。結論部分「…事故や避難に由来する精神的トラウマが人々を苦しめていることも想像に難くない。しかし、それらだけを健康被害や寿命短縮の主因とし、放射能の影響は小さいとする推進派陣営の主張が妥当性を欠くことは、」

2011-11-03 09:11:03
島薗進 @Shimazono

3鷲谷氏「原子力災害が野生生物と生態系に…」『科学』81(11)。「野生動物にヒトの健康被害に酷似する影響が明瞭に認められることから明かであろう。野生動物では精神的トラウマは問題にならない。喫煙も飲酒もせず、貧困問題からも免れている。それにもかかわらず、抗酸化物質が減少し、」

2011-11-03 09:11:30
島薗進 @Shimazono

4鷲谷氏「原子力災害が野生生物と生態系に…」『科学』11月。「免疫力、寿命、繁殖力のすべてが低下している。突然変異率の高まりも認められる。ヒトを含む生物全般への放射能そのものの影響は広範かつ深刻なものであると結論しなければならないだろう」。「帰結」に照らし「遺産」の危うさは露わ。

2011-11-03 09:12:29
ひじじきき @hijijikiki

鷲谷いづみ氏「国際機関の論文においては予防的な姿勢が見られず、小児の甲状腺がんは明確であるが、その他、厳密な医学的証明のない健康被害は、放射線の影響としないという方針が貫かれている。(続く」http://t.co/zm0zubfa

2011-11-22 16:28:05
ひじじきき @hijijikiki

続き)鷲谷いづみ氏「この見解と、現地で被害者の近くで研究を行っている研究者の見解との間には、非常に大きな齟齬がある。このことは、被害者の救済上にも大きな問題を提起しているのではないか。日本においては今後様々な問題が出てくるであろう(続く」 http://t.co/zm0zubfa

2011-11-22 16:30:25
ひじじきき @hijijikiki

続き)鷲谷いづみ氏「日本においては今後様々な問題が出てくるであろう。その場合、予防的アプローチを重視しないと、多くの不幸な人が出てきてしまうのではないか」http://t.co/zm0zubfa

2011-11-22 16:31:35

↓鷲谷いづみ氏の発言:第2回環境省政策評価委員会 議事録要旨から抜粋

 

第2回環境省政策評価委員会 議事録要旨

http://www.env.go.jp/guide/seisaku/commi/h23_2nd.html
【鷲谷委員】
...
 生態系と健康への放射線の影響としては、チェルノブイリ原子力発電所事故の経験があるためロシア語の論文が多い。英語で入手可能な文献としては、国際原子力機関(IAEA)のパンフレットのほか、ニューヨーク科学アカデミーの年報がある。これは、ロシア語の論文のデータを総合した論文である。健康被害については意見の相違が大きく、被爆以外の影響もあるため、複合的な結果として影響が出ることは当たり前である。また、発ガンについては発症までの遅延時間がある。このような場合、被爆との関係を直接的な実験室で使うモデルで把握することは難しい。この点、自分のような環境に関わる者は、予防的アプローチで望むべきであると考えている。しかし、この国際機関の論文においては予防的な姿勢が見られず、小児の甲状腺がんは明確であるが、その他、厳密な医学的証明のない健康被害は、放射線の影響としないという方針が貫かれている。この見解と、現地で被害者の近くで研究を行っている研究者の見解との間には、非常に大きな齟齬がある。このことは、被害者の救済上にも大きな問題を提起しているのではないか。日本においては今後様々な問題が出てくるであろう。その場合、予防的アプローチを重視しないと、多くの不幸な人が出てきてしまうのではないか。
 また、放射線の影響に関する動植物へのモニタリングが手薄である。チェルノブイリの原発事故においては、例えば実験固体群の確立などが2ヶ月後に実施されており、様々なモニタリングが早い段階から実施されていたようである。しかし、日本ではそのような動きが随分遅れている。動物の観察は、人間の健康被害を考える上で有益な知見をもたらす。様々な病気になった場合、人間の場合は被害のストレスからくるトラウマや、飲酒などの生活習慣による影響もあるが、野生生物は人間と異なり、これらの影響は受けないために自然科学的に研究が可能である。鳥類について調査をしてみると、放射性セシウムの被爆を受ける土壌の虫を食べる鳥類などが最も影響を受けるようである。国際誌に掲載されているいくつもの論文を人のモデルとして考え、予防的に解釈をし、人の健康を守っていくことに活用することは重要であるし、動植物の繁殖力や寿命、病気などについてもモニタリングをする必要があるのではないか。人以外の病気であれば、環境の問題であるので、やはり環境省の仕事になるのではないか。

 

まとめ リスクが不明瞭な段階でより厳密に予防原則を取る場合のメリットとデメリットに関するツイート 福島の子供達が疎開を訴えて政府と交渉したというニュースを出発点に、大阪大学教員 @hirakawah さんが、リスク管理における予防原則についてツイートしています。これは第三者が取り得る態度として模範的なものだと思います。また、このツイートに様々な立場から応答がなされており興味深い対話になっています。 以下、自分なりにサマリーしてみました。 @hirakawah さんは、福島の健康リスクはチェルノブイリよりかなり小さいという前提で、リスク管理の観点から次のような原則を述べられています。 [平川さんの立論] 1.真のリスクが不明瞭な段階では、いくら確率が低くとも、被曝リスクを避けるための行動を非合理であると断定できない。避難を望む人々に「怖がり過ぎ、留まるべき」と強引に説得することは自己決定権の侵害に.. 4394 pv 48 19 users 1