カース・オブ・エンシェント・カンジ、オア・ザ・シークレット・オブ・ダークニンジャ・ソウル #3

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

第2部「キョート殺伐都市」より 「カース・オブ・エンシェント・カンジ、オア・ザ・シークレット・オブ・ダークニンジャ・ソウル」#3

2011-12-10 17:23:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ネオサイタマの雑居ビルにオフィスを構える冒険カンパニー、マレニミル社。豊富な考古学知識とタフネスをバックボーンに、盗掘、UMA捕獲、オーパーツ転売など、ほとんど違法行為のビジネスを請け負う。彼らは今キョート•リパブリック経由で日本列島を離れ、地球の裏側にあたるエジプトにいた。 1

2011-12-10 17:48:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

おそるべきニンジャピラミッド内の回廊を先頭に立って進むのは、砂色のサファリ服を着たホソダ社長。小柄だが逞しくエネルギッシュで、その髪型とも合間って服を着たイノシシを連想させる。ころころと表情を変え、即断即決で素早く行動を起こすが、しばしばその判断基準はギャンブルめいている。 2

2011-12-10 18:00:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

その後ろには、黒いヤクザスーツにサングラス、オールバックの男が続く。これまでにも数度、マレニミル社とビジネスを行ってきたフリーランスヤクザのデグチだ。オートマチック•ヤクザガン2丁を左右のホルスターに吊り、即座に抜き放てるようドスダガーが斜めにズボンの腹前に差し込まれている。 3

2011-12-10 18:13:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

最後尾は、砂色のズボンに白いワイシャツを着たフジオ•カタクラ。まだ二十代の青年だが、世界各地の冒険で鍛えられた肉体は必要最低限のしなやかな機能美を備え、また古文書などの解読に天才的能力を発揮する。孤児院から奨学金を得て高校、大学へと進学し、卒業前にマレニミル社に引き抜かれた。 4

2011-12-10 18:26:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「おお……なんと恐ろしい光景だ…!」ホソダ社長は、大回廊の天井に描かれた絵をマグライトで照らす。そこにはファラオの奴隷である人間たちが無数に並んでいるのだが、その最後尾……ファラオやエジプトの神々の背後には……ナムアミダブツ!カタナを構え玉座に座る、ニンジャの姿があったのだ! 5

2011-12-10 18:41:16
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「恐ろしい……ニンジャたちはやはり、世界各地の古代文明に忍び込み、それを背後から操っていたのか……。2人とも、大丈夫かね?正気を保っているか?」ホソダは後続の精神を気遣いながら進む。「俺は大丈夫だぜ」デグチは壁面に痰を吐く。「…問題ありません」フジオも不気味なほど無表情に答える。

2011-12-10 18:49:34
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「そうか。…フジオ君、これを見てくれ」ホソダは壁に埋め込まれた大きな黒曜石の一枚岩を照らす。それはロゼッタストーンのように、数種類の文字が刻まれていた。下からギリシャ文字、民間文字、神官文字……おお、これは何だ!?最上段にはエンシェント・カンジが入り混じった禍々しい文字列が! 7

2011-12-10 18:55:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「一部が欠損していますね……」フジオは縁無しの眼鏡を胸から取り出し、指先で漢字やカタカナの列に触れ、それを読み解こうとする。広範な知識や経験ではホソダが上だが、古文書解読にかけてフジオの右に出る者は無い。「ゆえに我……ここに……封印するものなり……鍵、大いなる黄金立方体の…」 8

2011-12-10 19:04:16
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「黄金立方体!ビンゴだ!」ホソダ社長の顔が紅潮する「やはりこの地下に、古代ニンジャ文明が遺した巨大な黄金ピラミッドが眠っているに違いないぞ!時価数十億、いや、数十兆!」「……ヤマイヌ・ニンジャと……ファルコン・オメーンのホンダ・ニンジャと……これを託し……浄化を試みるも……」 9

2011-12-10 19:18:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……お2人さん、お楽しみのところ邪魔して悪いねえ」デグチが静かに拳銃を抜いた「あまり良くねえ音が、上から響いて来てンのさ」……ドンコドンコドンドン、ドンコドンコドンドン……サイバネ手術で強化されたヤクザの聴覚は、邪悪な太鼓のリズムを確かに捉えていたのだ。加えて数名の足音! 10

2011-12-10 19:37:46
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「クソッタレ!連中が増援を寄越したな!」ホソダは壁のコケシ類似絵画を叩きながら、激昂した。世界各地にはごく少数、古代ニンジャ文明の秘密を守る人間のカルト教団が現存している。その大半は、自分たちが何を守っているのかすらも忘れ、ただ侵入者を排除する殺人集団に成り果てているのだ。 11

2011-12-10 19:50:06
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「先を急ぐぞ、フジオ君」ホソダ社長はロゼッタストーンを読み耽る助手の肩を叩いた。「あ……了解です!」フジオは一瞬だけ、ぞっとするほど冷たく空虚な目を社長に向け、それからすぐに、相手の欲求を読み解き期待に100%応えるベテランオイランのような、あの乾いた作り笑いの目に戻った。 12

2011-12-10 20:16:15
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フジオは、ホソダ社長やウミノ教授を信頼し、尊敬してもいた。彼らにだけはある程度心を開いた。だが彼は……信じていた両親に裏切られ、棄てられ、ネオカブキチョの非合法商業施設に売られたあの夜以来、完全に心を開いたり、自然な笑みをかわし合うことが、二度とできなくなってしまったのだ。 13

2011-12-10 20:31:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ドンコドンコドンドン……ドンコドンコドンドン、ドンコドンコドンドン……ドンコドンコドンドン!ドンコドンコドンドン!威圧的な太鼓の轟きが、マレニミル社の通過した階段を駆け下る。「ハッハッウッハッハッハッウッハッハッニンジャ、ハッハッウッ……」教団員らの不気味なチャントが響く! 15

2011-12-10 20:46:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

邪教徒らの体はアラブ黒装束とローブに包まれ、強いニンジャ関連性を感じさせる。目元だけが露になっており、血走った両眼はワータヌキめいて異常に見開かれ、殺意だけをたぎらせていた。ホソダの学説によれば、人間にハッシシを教えたのはニンジャであり、そこからアサシンという言葉が生まれた。16

2011-12-10 21:00:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハッハッウッハッハッハッウッハッハッニンジャ、ハッハッウッ…」教団員らは一糸乱れぬ動きでトラップまみれの回廊を駆け抜ける。カチリ!先頭を走っていた一人が、トラップ床を踏んだ!ナムサン!回廊の右手に描かれていたコブラの絵の頭部がフスマめいて左右に開き、スリケンが射出される! 17

2011-12-10 23:35:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「グワーッ!」」後続2名の頭部にスリケンが命中!インガオホー!だが、邪教徒らは前進を止めようとはしない!スリケントラップの餌食となった2人も、血を流しながら平然と駆け続ける。コワイ!ハッシシはズバリめいた無痛興奮状態を引き起こすのだ!「……ハッハッウッハッハッハッ!……」 18

2011-12-10 23:42:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

殺人教団はマレニミル社が30分前に通過した地点を駆け抜ける。2名がニンジャピットに落下し今度こそ行動不能となったが、それでも彼らの勢いは止まらない。トラップの有無や正しい通路を確認しながら進まねばならないマレニミル社にとって、それはあまりにも僅かで頼りない猶予時間であった… 19

2011-12-10 23:50:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「…次、トリイの前で左です」追っ手の接近を知ったマレニミル社は、隊列を入れ替えていた。先頭を早足で歩むのは、フジオ・カタクラ。ノートUNIXに繋いだアミュレットが指し示す光と、遺跡内予測地図データをもとに、まるで何かに導かれるように迷い無くピラミッド地下迷宮内を進んでいく。 21

2011-12-10 23:58:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

デグチは後方を抜かりなく警戒しており、敵の姿が見えればすぐにヤクザガンが火を噴くだろう。少し先には銃を構えたホソダ社長。デグチの存在は頼もしかったが、殺人ボーナスは極力抑えたいと彼は考えていた。マレニミル社の経済状況は悪く、今回の遠征は多大な借金を重ねた上での大博打なのだ。 22

2011-12-11 00:09:49
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