• 村上春樹『私たちは等しく非現実的な夢想家になる』

    日本人は、自らの手で過ちを犯し、自らの国土を汚し自らの生活を破壊しています。私たちが一貫して求めてきた平和で豊かな社会は、何によって損なわれ、歪められてしまったのか?・・・答えは簡単、「効率」です。

    原子力発電に危惧を抱く人々に対しては脅しが向けられ、原発に疑問を呈する人々には、「非現実的な夢想家」というレッテルが貼られていきました。電力会社は膨大な金を宣伝費としてばらまきメディアを買収し、原発はどこまでも安全だという幻想を国民に植えつけてきました。

    しかし原子力発電を推進する人々の主張した「現実を見なさい」という現実とは、じつは現実でもなんでもなく、ただの表面的な「便宜」に過ぎなかったのです。それを彼らは「現実」という言葉に置きかえ、論理をすり替えていたのです。

    私たちは技術力を総動員し、叡智を結集し、社会資本を注ぎ込み、原子力発電に代わる有効なエネルギー開発を、国家レベルで追求するべきなのです。夢を見ることを恐れてはなりません。理想を抱くことを恐れてもなりません。

    私たちは、力強い足取りで前に進んでいく「非現実的な夢想家」になるのです。

    ※2011年6月9日、スペインのバルセロナで行われた国際的な「カタルーニャ賞」授賞式のスピーチ。特に、東京電力の原発事故について触れている部分を抜粋しました。

    全文はここです http://j.mp/v9CBMc

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    by francisco_bot
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  • world420
    「ここで僕が語りたいのは、道路や建物とは違って、簡単には修復できない物事についてです。それは例えば倫理であり、規範です。それらは形を持つ物体ではありません。いったん損なわれてしまえば、簡単に元通りにはできません。…僕が語っているのは、具体的に言えば、福島の原子力発電所のことです」
  • world420
    「今回の福島の原子力発電所の事故は、われわれ日本人が歴史上体験する、二度目の大きな核の被害です。しかし今回は誰かに爆弾を落とされたわけではありません。私たち日本人自身がそのお膳立てをし、自らの手で過ちを犯し、自らの国土を汚し、自らの生活を破壊しているのです」村上春樹
  • world420
    どうしてそんなことになったのでしょう?戦後、長いあいだ日本人が抱き続けてきた核に対する拒否感は、いったいどこに消えてしまったのでしょう?私たちが一貫して求めてきた平和で豊かな社会は、何によって損なわれ、歪められてしまったのでしょう?・・・答えは簡単です、「効率」です(村上春樹)
  • world420
    「原子炉は効率の良い発電システムである、と電力会社は主張します。つまり利益が上がるシステムである訳です。また日本政府は、原子力発電を国の政策として推し進めてきた。電力会社は膨大な金を宣伝費としてばらまきメディアを買収し、原発はどこまでも安全だという幻想を国民に植えつけてきました」
  • world420
    まず既成事実がつくられました。原子力発電に危惧を抱く人々に対しては「じゃああなたは電気が足りなくなってもいいんですね。夏場にエアコンが使えなくてもいいんですね」という、脅しが向けられます。原発に疑問を呈する人々には、「非現実的な夢想家」というレッテルが貼られていきます(村上春樹)
  • world420
    原子力発電を推進する人々の主張した「現実を見なさい」という現実とは、じつは現実でもなんでもなく、ただの表面的な「便宜」に過ぎなかったのです。それを彼らは「現実」という言葉に置き換え、論理をすり替えていたのです。それは…私たち日本人の倫理と規範の敗北でもありました(村上春樹)
  • world420
    「私たちは技術力を総動員し、叡智を結集し、原子力発電に代わる有効なエネルギー開発を、国家レベルで追求するべきだったのです。それは広島と長崎の犠牲者に対する、私たちの集合的責任の取り方となったはずです。それはまた、われわれ日本人が世界に真に貢献できる、大きな機会となったはずです」
  • world420
    私たちが等しく「非現実的な夢想家」となることができたら、そしてこの世界に共通した新しい価値観を打ち立てていくことができたら、どんなにすばらしいだろうと思います。それこそが近年、様々な深刻な災害や、悲惨きわまりないテロを通過してきた我々の、人間性の再生への出発点になるのではないか…
  • world420
    私たちは、夢を見ることを恐れてはなりません。理想を抱くことを恐れてもなりません。そして私たちの足取りを、「便宜」や「効率」といった名前を持つ災厄の犬たちに追いつかせてはなりません。私たちは、力強い足取りで前に進んでいく、「非現実的な夢想家」になるのです(村上春樹)
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