【ほうかご百物語】妖怪についてつらつらと(2、3巻)
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※※第2巻に関する話※※
※サガリについて
※文献を基にした概説メモ
参考文献は(1)「妖怪談義(妖怪名彙)」『定本 柳田國男集 第四巻』(柳田 國男著、筑摩書房、S.38)、(2)『妖怪事典』(村上 健司著、毎日新聞社、2000)、(3)「全国妖怪語辞典」『日本民俗文化資料集成 8 妖怪』(谷川 健一編纂、三一書房、1988)。
2012-04-16 19:18:18また、熊本県の南ノ関町大字下宇字迎町(現玉名郡南関町)では柿の木、玉名村大字玉名字岡(現玉名市)ではやはり榎で、この怪異が伝えられている(2)。
2012-04-16 19:18:38昨日紹介したサガリ、『旅と伝説』の該当記事を入手したので読んでみたら、なかなか興味深いことが書かれていた上に昨日参照したどの文献にも記述がなかったので紹介したい。
2012-04-17 19:52:42「北肥後霊木誌」(能田 太郎著)「旅と伝説 通巻五十三号」(『<完全復刻>旅と伝説 第九巻(通巻第四十九号~第五十四号)』(岩崎美術社、1978)所蔵)より、噛み砕いて紹介する。
2012-04-17 19:52:49その後方の榎から南手に稍々(筆者注:「やや」という意味だと思われる)下がったところに柿の大木があり、そこに馬の首が下がる、といった。
2012-04-17 19:53:06(2)同郡(玉名郡のことか?)玉名村大字玉名字岡の村の入り口に榎の大樹があったが、今(当時)から三十年ばかり前に馬の首が下がるという噂が立った。
2012-04-17 19:53:17個人的に気になったのは、(I)この記事の著者が気付いているように、どちらの場合も所謂村境にある木でサガリの怪異があったということ。
2012-04-17 19:53:56やはり怪異が起きるからには、特別な木であるのだろうな、ということを示唆してくれる。また、近くに「地蔵様」が祀られたり、木の代わりに「猿田彦神」を祀る祠堂を建てた、というようにどちらの場合も塞の神信仰と繋がる、つまり「境界」を強く想起させる神仏が関連しているのも面白い。
2012-04-17 19:54:07(II)柿の木のバリエーションでも、近くに榎があること。これより、確認できた事例では全て榎が関係していることに。 何か榎と馬の首には特別な繋がりがあったのか、あるいは元々は同じ伝承だったのが各地に伝播していったのか…とにかく何らかの関係性が疑われるので、この点も面白い。
2012-04-17 19:54:16(III)どちらも「昔にそういった噂話があった」という形で語られていること。後者は実際に見た人が出た、という騒ぎに発展していたけど、「サガリ」という名称が出てこないことと、「昔はそういう噂があったんだよ」という語り口で語られている点は注目しておきたいかな、と。
2012-04-17 19:58:13