3.11被害の状況と性質、そしてその構造的な問題(標葉隆馬先生)

標葉隆馬先生のブログ http://d.hatena.ne.jp/r_shineha/ 続・被災地から(標葉隆馬先生) http://togetter.com/li/281262 被災地から(標葉隆馬先生) http://togetter.com/li/215844 震災と格差(標葉隆馬先生) http://togetter.com/li/232845
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しねはさん@がんばらない @r_shineha

東北三県被害状況概要アップデート(1月12日データ版)  http://t.co/qWcQUK7d

2012-01-18 00:28:09
しねはさん@がんばらない @r_shineha

今から、ただ今執筆中の原稿のためのメモもかねて、震災・原発事故等について連投をします(またその内容は同時並行的にブログにまとめていきます)。連続ツイートになるので、悪しからず。。。(続く)

2012-01-18 00:46:22
しねはさん@がんばらない @r_shineha

(承前) 尚、今からの内容は、早稲田の田中幹人さん(@J_Steman)さんのグループとの議論や共同でやっている調査を背景にしております。ということで、以下、連投

2012-01-18 00:47:32
しねはさん@がんばらない @r_shineha

今回の3.11複合的災害は、地震・津波・原発事故という異なる性格を持った被害とリスクが入り混じっている。しかし、一つ必要な作業としては、被害の状況と性質、そしてその構造的問題を把握すること。それは今後の復興を考える上でも一助となると考えている。議論の足しになれば幸いである(続く)

2012-01-18 00:49:53
しねはさん@がんばらない @r_shineha

まず主な被災地である東北3県の人的被害・建物被害の状況を確認しておく(2012年1月12日までに自治体が公表したデータに依拠)。東北三県だけで16000人を超える方が亡くなられ、数多くの建物被害、また経済面への被害がでている  http://t.co/FEX2KxA5

2012-01-18 00:52:03
しねはさん@がんばらない @r_shineha

これらの甚大な被害、まだまだ続いているという認識が全ての議論のスタート地点になる。(例えば写真は2011年11月時点での野蒜の瓦礫集積所)。  http://t.co/3dRVePWx

2012-01-18 00:57:11
しねはさん@がんばらない @r_shineha

瓦礫の山や丘は津波被災地の各所で見られ、まだまだ進んでいない。また破壊されたままになっている場所も数多い。(例えば写真は11月時点での宮城の野蒜駅)  http://t.co/5gzae24E

2012-01-18 00:59:10
しねはさん@がんばらない @r_shineha

地震と津波の甚大な被害に加えて、原発事故が事態をいろんな面で厄介にしている。先ほどあげた東北三県被害概況でも分かるように、多くの避難者がいる状況。図は福島県における県内・県外避難者数の推移(推定)   http://t.co/x4Ul0zpq

2012-01-18 01:02:13
しねはさん@がんばらない @r_shineha

o0(但し、避難の問題については、仮設住宅の問題などは忘れてはならない。。)

2012-01-18 01:03:45
しねはさん@がんばらない @r_shineha

繰り返しになるが、今回の複合的災害は、被害範囲と被害の種類が広範囲に渡ることが特徴だが、場所によってその性質は全然異なること、またいずれにせよまだまだ多くの問題や課題が残っていること、現在進行形の問題であることは忘れてはならない。

2012-01-18 01:05:22
しねはさん@がんばらない @r_shineha

さて、ここで被害の状況とそれを巡る背景にもう少しだけ立ち入ることにする。その際の私の最初の問いは、特に大きな被害に見舞われた地域は一体どのような場所だったのか?ということ。そこで、ひとまず雑な調査だけれど、特に津波の被害に注目して各自治体の経済状況と人的・建物被害の割合を調べた

2012-01-18 01:07:36
しねはさん@がんばらない @r_shineha

ここには、リスク社会論で言われるような階層や階級に応じたリスク分配の不平等構造の話が念頭にある。阪神大震災の時に、生活保護受給者の死亡率が兵庫県平均の5倍にもなったという話も嫌な話だが想起せざるを得ない。

2012-01-18 01:10:25
しねはさん@がんばらない @r_shineha

具体的なデータに移る。この図は、東北三県沿岸部37自治体の人的被害の割合(人口に対する死者の割合)と一人当たり市町村民所得(自治体の総所得を人口で割ったもの:事業所所得も入るので、あくまで自治体全体としての所得の指標)。  http://t.co/6fsjHKXz

2012-01-18 01:13:04
しねはさん@がんばらない @r_shineha

次は、各自治体の人的被害率と建物被害率をプロットしたもの(自治体名の下は一人当たり市町村民所得(千円))。当然というと嫌な気分になるが、高い相関関係にある。では、特に被害の大きかった地域はどのような地域背景をもっていたのか?  http://t.co/u5bUQBAH

2012-01-18 01:15:09
しねはさん@がんばらない @r_shineha

先にアップしたデータでは、一部の比較的財政に恵まれた自治体(残念ながら福島の原発立地自治体であるが、これらを巡る構造的問題はひとまず置いておく)がデータを見にくくしているので発電所というインフラの無い東北沿岸部の自治体に絞ったデータを今から二つほどアップする。

2012-01-18 01:17:11
しねはさん@がんばらない @r_shineha

(非原発立地地域における)人的被害割合と一人当たり市町村民所得  http://t.co/LGEA4mZ2

2012-01-18 01:18:13
しねはさん@がんばらない @r_shineha

(非原発立地地域における)住宅被害割合(半壊+全壊)と一人当たり市町村民所得   http://t.co/gbeS1faG

2012-01-18 01:21:49
しねはさん@がんばらない @r_shineha

なお、これらの二つのデータの傾向は別の財政指標(自治体の財政指数)で取っても同じ傾向になる。勿論、また津波の高さなどの影響もあると考えられるが、(観測地点によって異なるものの)分かる範囲での津波の高さや浸水面積割合といったデータでは被害と明確な相関は見出しにくい所もある(続く)

2012-01-18 01:24:03
しねはさん@がんばらない @r_shineha

(承前)しかし、津波の浸水範囲概況にかかる人口割合と死亡率の間には高い相関が認められる(自治体名の下は、一人当たり市町村民所得(千円))  http://t.co/npCHnKM4

2012-01-18 01:25:05
しねはさん@がんばらない @r_shineha

これらの結果から、少なくとも、被害の大きかった自治体は相対的により経済的に脆弱な地域であったということが分かる。経済的な脆弱性がそのまま被害の原因に直結するとは限らないが、一つの重要な背景にあったとも考えられる。

2012-01-18 01:27:34
しねはさん@がんばらない @r_shineha

シンプルにまとめすぎではあるが、災害の被害/リスクの大きさはハザードの大きさと被災地域の社会的脆弱性による(e.g. Wisner 2004)。災害の被害を考える際には、社会構造上の問題、地域が抱えてしまっている脆弱性に目を向ける必要がある。

2012-01-18 01:29:24
しねはさん@がんばらない @r_shineha

また被害の大きかった地域では、浸水地域の面積における人口密集度が大きいことも、被害のあった地域の状況の一面を表している。

2012-01-18 01:30:43
しねはさん@がんばらない @r_shineha

被害の大きさと自治体の産業構造・年齢構造には、次の傾向にあることが分かる(相関が高い)。「第一次産業従事者が多い自治体ほど被害が大きく、高齢者が多い自治体ほど被害が大きく、第一次産業/高齢者が多い自治体ほど財政的に貧困である」 

2012-01-18 01:32:37
しねはさん@がんばらない @r_shineha

今回の被害の裏には、被災地域(第一次産業地域)における高齢化と貧困の問題があると言える。また実際に、今回の東日本大震災で亡くなられた方のおよそ65%が、60歳以上の方であった(内閣府2011防災白書) http://t.co/GYoM4IHd

2012-01-18 01:37:15