@f_zebra さんによる福島第一4号炉燃料貯蔵プールの状況解説

今回の原発事故で最も大きな危険をはらんでいたのは、4号炉プールだったともいわれています。実際のところ、4号炉プールはどうだったかについて @f_zebraさんと @buvery さんのやりとりから@f_zebra さんの部分をまとめました。
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Flying Zebra @f_zebra

@buvery 使用済燃料ピットを心配されているようですが、発熱量を定量的に考慮してのことでしょうか。尚、加圧されていないというのは冷却が止まっても、外部から注水して水位を保つだけで健全性が保てるということです。原子炉より随分ラクです。

2012-01-18 13:01:32
Flying Zebra @f_zebra

使用済燃料ピットには(SFP)には1サイクル分以上の使用済燃料が保存されていますが、古いものはその分熱量も小さくなります。とは言え、1年以上も経つと減衰はかなりゆっくりしたものになります。@buvery

2012-01-18 14:43:17
Flying Zebra @f_zebra

福島第一では、4号機のSFPが貯蔵されている燃料集合体の数が一番多く、そのため熱量も大きいようです。事故時点で約4MWだそうです。1~3号機のSFPは1~2MW程度でした。ここまでが熱量のお話。@buvery

2012-01-18 14:43:32
Flying Zebra @f_zebra

SFPは、圧力隔壁もなければ気密もされていません。貯蔵されている燃料は検査で健全性を確認している、つまり被覆管が健全で、燃料や核分裂生成物の漏えいがないので、線量は高くてもピットの水は汚染されていないからです。@buvery

2012-01-18 14:43:48
Flying Zebra @f_zebra

そろそろまとめます。SFPでメルトダウンが起こり得るか否かといえば、当然起こり得ます。ただし、可能性は原子炉に比べて遙かに低く、防ぐための対処もずっとラクなので、優先順位はずっと下で問題ありません。@buvery

2012-01-18 14:44:25
Flying Zebra @f_zebra

1Fの4号機でSFPに大きな問題が起きなかったのはラッキーでしたが、何かが起きるためにはこの幸運の女神の100倍くらいパワフルな悪魔が必要になるというのが私の感覚です。(数値は根拠レス)@buvery

2012-01-18 14:44:35
Flying Zebra @f_zebra

最後に、私は現在の原子炉システムには問題が少なくないと考えていますし、今回の事故を矮小化する意図もありません。@buvery

2012-01-18 14:44:54
Flying Zebra @f_zebra

翻って日本では「万が一」はあってはならないと切り捨て、その対策のための議論すら忌避する傾向があります。政府や事業者だけでなく、国民もリスクと対峙することを避けてきました。原子力に限らず、国防などについても然り。

2012-01-18 16:00:15
Flying Zebra @f_zebra

アメリカは「戦争」が歴史ではなく、特に911以降はテロのリスクも顕在化し、そもそも市民の間でゼロリスク幻想のようなものが少なく、リスクの話が冷静に受け入れられやすいという事情もあります。

2012-01-18 16:00:01
Flying Zebra @f_zebra

個人的には、日本の原子力の問題はハードよりも規制、安全文化といったソフト面に多いと考えています。確率論的リスク評価を活用しているアメリカに比べ、過酷事故への備えはあからさまに手薄でした。

2012-01-18 15:59:41
Flying Zebra @f_zebra

言い忘れましたが、冷却水が汚染されていないというのは蒸気をバンバン放出しても問題ないということで、除熱に水の気化熱を利用できると言うことです。循環冷却しかできない原子炉に対する大きなアドバンテージです。@buvery

2012-01-18 15:59:13
Flying Zebra @f_zebra

注水が途絶えると水位が下がります。燃料の一部が露出すると表面温度が上がり、その状態が続けば被覆管の溶融、燃料の損傷は起こり得ます。ただし、時間的な余裕は原子炉より遙かに長くなりますし、飛散も限定的です。@buvery

2012-01-18 14:44:16
Flying Zebra @f_zebra

原子炉容器と異なり、SFPは常圧で上部がオープンですから、消化水系などを用いて原子炉建屋に入ることなく外から注水することが容易です。沸騰が続いても、水位が保たれている限り燃料が損傷することはありません。@buvery

2012-01-18 14:44:07
Flying Zebra @f_zebra

SFPの冷却が停止した場合、水温はどんどん上昇し、熱量が大きければ1日程度で沸騰を始めるでしょう。このとき、被覆管表面の温度は100℃、燃料中心では数百℃になりますが、燃料の健全性は保たれています。@buvery

2012-01-18 14:43:58
Flying Zebra @f_zebra

制御棒を入れて未臨界になると、その瞬間に核分裂による発熱はなくなり、熱量は一気に1割未満になります。1日たてば、運転時の1%未満まで下がります。燃料を使用済ピットに移動する頃には熱量は10MWくらいまで下がっています。@buvery

2012-01-18 14:43:03
Flying Zebra @f_zebra

定量的と言いながら手元に資料がないのであまり具体的な話はできませんが、大ざっぱな感覚で説明を試みます。最新の1000MWクラスの原子炉だと、熱出力は3000MW程度になります。これが運転中の熱量になります。@buvery

2012-01-18 14:42:52
Flying Zebra @f_zebra

ちなみにPWRでは同じ理屈により、非常時には蒸気発生器から発電用タービンに行く2次系の蒸気をそのまま放出し、代わりに水を補給してやることで気化熱を利用した効率的な原子炉の除熱が可能です。@buvery

2012-01-18 15:59:29