アウェイクニング・イン・ジ・アビス #3

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

第二部「キョート殺伐都市」より:「アウェイクニング・イン・ジ・アビス」 #3

2012-01-30 14:10:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

降下するエレベーターがゴウンと音を立てて震動。停止した。「……」ニンジャスレイヤーとガンドーは顔を見合わせた。「故障かな」とガンドー。「……いや、わかってる。言ってみただけだ。言っただけさ。要するにアレだ」ガンドーの言葉はアラームに遮られた。ブガー!ブガー!「そう、ヤバイ」 1

2012-01-30 14:24:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「なんらかのインシデント重点!何かが重点な!」剣呑なマイコ音声が叫ぶ。「各自で対処し問題を起こしてはいけませんね!カラダニキヲツケテネ!」ブガー!ブガー!「そんなに派手にやってねェのによ。ショックだぜ」ガンドーは肩を竦めた。ニンジャスレイヤーはエレベーターの縁から見下ろす。 2

2012-01-30 14:33:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヤバイぜ。このままこんな中途でボンヤリ捕まるのを待つわけにも……なんだ、おい」ガンドーは後ずさった。「お前まさか」ニンジャスレイヤーは頷き、詰め寄る。「勘弁してくれよ!グワーッ!」ニンジャスレイヤーはガンドーの190センチの長身を米俵めいて抱え上げた。そして飛び降りる! 3

2012-01-30 14:41:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナムアミダブツ!ガンドーを担いだニンジャスレイヤーは停止したリフトエレベーターから躊躇なく飛び降りたのだ!彼のニンジャ視力は闇を見通し、底がさほど遠くはない事を読み取っていた。それゆえのダイブ!「イヤーッ!」 4

2012-01-30 14:49:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガンドーを抱えたまま、ニンジャスレイヤーは問題なく下の地面に着地!「オゴッ!」ガンドーが咳き込む!ニンジャスレイヤーはガンドーを降ろし、着地点の空洞を見渡す。岩壁に一箇所、PVC警戒色テープで養生された穴が口を開けている。そこからクローンヤクザが二人飛び出した!「アッコラー!」5

2012-01-30 14:50:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガンドーは両手の拳銃を突き出す。BLAM!BLAM!49口径マグナム弾が彼らの脳天を同時に吹き飛ばし即死!二者はそのまま穴へ突き進んだ。「ザッケンナコラー!」「イヤーッ!」「グワーッ!」隧道を曲がって現れたクローンヤクザをニンジャスレイヤーはスリケン殺! 6

2012-01-30 14:52:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

タタタタタ!タタタタタ!定期的なアサルトライフル射撃音が鳴り、壁や床に銃弾が跳ねる。隧道が開けたところに土嚢が築かれ、その陰からクローンヤクザ二人が銃撃してくるのだ!「ヤバイヤバイヤバイ」ガンドーは岩陰に身を隠す。「否」だがニンジャスレイヤーは突っ込んで行った!「イヤーッ!」 7

2012-01-30 14:56:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!」土嚢を回転ジャンプで飛び越え、空中から振り下ろされた踵がクローンヤクザの頭を砕いた。もう一人の土嚢ヤクザはニンジャスレイヤーに銃口を向ける。「スッゾコラ、グワーッ!?」それが命取りだ。BLAM!ガンドーが岩陰から顔を出しそれを射殺!8

2012-01-30 15:00:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「クリアか!?」ガンドーは再び岩陰に引っ込み叫んだ。「いや。まだだ」ニンジャスレイヤーが答える。「そこにおれ」開け放たれた門扉の陰からガシャガシャと音を立てて登場した逆関節ロボニンジャに向かってジュー・ジツを構えた。「ドーモ、モーターヤブ改善!モーターヤブ改善は賢く強い!」 9

2012-01-30 15:10:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ。ニンジャスレイヤーです」ニンジャスレイヤーは奥ゆかしくアイサツを返す。タタタ!タタタタ!ヤブの両肩ガトリングがアイサツの戻り際に火を吹く!いまだその人工知能は人間の思考に劣るとみえて、礼儀アルゴリズムも不完全なのだ!「イヤーッ!」だがニンジャスレイヤーは側転回避! 10

2012-01-30 15:16:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

側転しながら放たれた二枚のスリケンが両肩ガトリングを破壊!「ピガガーッ!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは地面を蹴って懐へ飛び込む!「改善イヤーッ!」モーターヤブがサスマタを突き出す!だがニンジャスレイヤーは跳躍して回避!空中回転!垂直カワラ割りパンチを脳天に叩き込む! 11

2012-01-30 15:22:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「ピガガガガーッ!」モーターヤブの頭部が撃ち抜かれ、爆発四散!「サヨナラ!」ニンジャスレイヤーは破壊されたロボニンジャから飛び離れ、しめやかに着地した。「……機械は機械のままか」「終わったかァー?」ガンドーの声が届く。「終わった」 12

2012-01-30 15:24:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ここが入り口ってか」ガンドーは隧道から進み出、目の前の巨大門から奥を覗き込んだ。「門の奥にまた門……地図を調達する必要があるかもな。UNIXデッキがありゃいいが」「所詮は古代の建造物だ」ニンジャスレイヤーは言った。「迷わされる程ではあるまい」「本当にそう思うか」「判らぬ」 13

2012-01-30 15:39:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「とにかくだ!警戒を解かず、慎重にかつ大胆にってな」ガンドーは呟いた。「同感だ」ニンジャスレイヤーは頷いた。二者は進み出る……さらなる扉を開ける。中は巨大な玄室だ。敵はいない。奥にもまた扉がある。彼らはそれをも開けた。同様の玄室。敵は無し。さらに扉。それも開ける。 14

2012-01-30 15:49:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……「オイオイオイ、こりゃあ……」ガンドーは絶句した。門扉を開けた二者を出迎えたのは、スモウ・アリーナ程もある巨大な円形ホールであった。壁沿いに十数体、背丈6メートル弱の石像が立ち並び、手に手にブッダ武器を構えている。どれも首から上が欠落していたり、顔が削り取られている。 15

2012-01-30 15:54:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「これが……ザイバツの連中が無茶苦茶やってまで手中にしようとした遺跡」ガンドーは呻いた。広間の床には青いPVCコーティングが施された配電ケーブルが蛇のごとく這い、奥の大扉へ続いている。「ザイバツの連中の涙ぐましい下準備だよな。ついていくか?」とガンドー。「そうだな」 16

2012-01-30 16:15:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

実際、LEDボンボリで照らされた円形の広間は、七つの大扉に繋がっているのだ。「古代人の稚拙な遺跡が何だって?」前方を警戒しながら、ガンドーがやや嬉しそうに言った。「やはり地図が要るな」ニンジャスレイヤーは呟いた。ガンドーは剥がれたページを取り出し「このメモしか無いからな」 17

2012-01-30 16:30:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ウミノ=サンから渡されたのか?」「まあ、盗んだというか」ガンドーは答えた「咄嗟だったんでな。地図ならよかったんだが。こんな暗号めいたものじゃなく」彼は歩きながらメモを音読する。「入るは一人、出るは二人。ゴリラの背を鳴らし、しかるのち、災厄のニンジャを正しき順序で唱えよ」 18

2012-01-30 16:51:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「災厄のニンジャ?」「おかしな文言よな。古事記かね?」ガンドーは肩を竦めた。「あいにくと、そのへんの話はサッパリだぜ」「私もだ」二人はおそらくザイバツ関係者の手で「第四な」とショドーされた張り紙が突き立てられた門を押し開く……。 19

2012-01-30 16:59:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ドォン……腹の底に響く太鼓の音が微かに聴こえた。だが二人の注意を引きつけたのは音ではなく、断崖である。門をくぐるとそこは竪穴。足場はタタミ七枚分程度の広さしかないバルコニーであった。ガンドーは淵から下を見る。深淵が闇に溶け込んでいる。「オイオイ行き止まりか」 20

2012-01-30 17:12:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「いや」ニンジャスレイヤーは否定した。配電ケーブルは壁伝いに固定され、深淵へ落ち込んでいる。彼はバルコニーの端に、海賊船の舵めいた装置を見出した。「……」彼は舵に手を掛け、力を込めて回す。「ヌウッ……!」歯車の作動音と石が擦れる唸りが聴こえ、バルコニー自体が下降し始める! 21

2012-01-30 17:19:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ビンゴだ!……けどよ」ガンドーはニンジャスレイヤーを見る。「ヌウーッ!」彼は己のニンジャ膂力を最大限に引き出し、キアイとともに舵を回していた。その背中と肩に縄のような筋肉が浮かび上がる!「替わってやれそうもねえな、それ……」ナムサン、ニンジャ以外の者を拒む物理装置なのだ! 22

2012-01-30 17:23:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゴゴゴ、ゴゴ……バルコニーはリフトエレベーターめいて、ゆっくりと下降を続ける。回せば回しただけ降りるのだ。ガンドーはやや手持ち無沙汰げに2丁拳銃を構えて周囲を警戒した。「すまんなニンジャスレイヤー=サン。ラクしちまって」「気が……散る!」彼はキアイで舵を回し続ける。 23

2012-01-30 17:29:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゴゴ、ゴゴ……10分程の降下時間であったが、ニンジャスレイヤーにとっては十倍にも感じられた苦役では無かったろうか?壁面には天から降りる不吉な長虫ドラゴンの果てしなく長い胴体が描かれていた。胴体には模様めいて無数の眼球があり、侮蔑的に侵入者を眺めているのだ。やがて床が見えた! 24

2012-01-30 17:40:50