漫画家、今井哲也さんが語る。「響の成長物語としての『戦姫絶唱シンフォギア』」

流しておくにはもったいない、今井さんのアニメ感想ポスト。
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今井哲也 @imaitetsuya

シンフォギア7話みた。おもしろかった。

2012-02-18 15:24:31
今井哲也 @imaitetsuya

こちらはシンフォギア最新話を観ては面白かったってつぶやくBOTのアカウントになります

2012-02-18 15:26:13
今井哲也 @imaitetsuya

未来ちゃんの心情の変化とかだいぶ端折った感はある あと翼さんの回復超早いですね・・・

2012-02-18 15:33:25
今井哲也 @imaitetsuya

シンフォギアの展開って、基本的にすごくまっとうな手順を踏んでるのがすごくいいと思う。主人公の女の子が力を手に入れて戦う、っていうことを、それがどういうことなのか、一つ一つ順を追って正面から描いてるところが

2012-02-18 15:44:53
今井哲也 @imaitetsuya

響は奏や翼が死ぬような思いをして自分のものにしたシンフォギアの力を、持って生まれた素質みたいなもので一足飛びに何の苦労もなく手に入れてしまうんだけど、それを身にまとって戦うことに対して無邪気や無頓着なままではいない。実はこのへんの描き方はちゃんと地に足がついてる

2012-02-18 15:50:16
今井哲也 @imaitetsuya

彼女は「人助けが趣味」「基本的に前向きでバカ」っていうイカニモな正義の味方ヒロインとして設定されているんだけど、同時に「それだけの理由でなんとなく正義の味方として戦うことはムリだし説得力がない」っていうことを、シナリオがきちんと外的な状況としてつねに用意しているんですよ。

2012-02-18 15:55:29
今井哲也 @imaitetsuya

まず、そもそも響が手に入れたシンフォギアの力は、奏が自分の生命と引き換えにして彼女に遺したもの。それは別に響自身が望んだことではなかったにしても、結果的に、響は自分が命を永らえるたに奏を犠牲にしてしまい、加えて彼女が皆のために使っていた力を自分のものとして手に入れてしまった。

2012-02-18 15:59:52
今井哲也 @imaitetsuya

なので響は、単に「誰かを助けたい」とかそういう自分の性格とか好みとは別な次元で、奏や翼や、もっといえば世界に対して負い目をもつことになってしまった。その上で、響には普通の人としてそのまま生活を続けるっていう選択肢も用意されていたんだけど、そこで今度は目の前で子供がノイズに襲われる

2012-02-18 16:05:42
今井哲也 @imaitetsuya

ここまで来ると響にはもう、「変身して戦う」以外の選択肢がない。ここまでが第一話のなかで描かれる。これかなりしっかりしてると思うんですよ。フリット君とか星空みゆきちゃんの無邪気さと比べるとどうですこれ

2012-02-18 16:08:45
今井哲也 @imaitetsuya

で、響はシンフォギアの力で皆のために戦います! と持ち前の前向きさとバカさも手伝って高らかに宣言するんだけど、次に来るのが「とは言ったものの響はすごく未熟である」っていう話。これが執拗に続く。

2012-02-18 16:11:58
橡の花 @totinohana

@imaitetsuya 本作は巧妙に、既に3つの「終わりの画」を見せてしまっていますよね。ひとつは対話の理想形である「ステージ」、もう一つはシンフォギアとノイズの「終わりの戦い」―ここまでが響。そして上の二つを見なかった者、未来の「語らえなかった結果の風景」。

2012-02-18 16:19:57
橡の花 @totinohana

つまり響を駆り立てるのが「上演されたふたつの対話の極地(正確には三つだが)」であるのに対して、未来はそれをここまでほぼ見ていない―という顛末としての7話ラストなのね。

2012-02-18 16:24:07
今井哲也 @imaitetsuya

「響はその気になっているが、べつに積極的な理由で奏者に選ばれたわけではない」「たまたま力は手に入れたし素質もなくはないが、素人が勢いだけで勝てるわけがない」「生半可な覚悟ではまわりに迷惑がかかる」っていう話が2話以降しばらくつづく。この都合よくいかない感じ。これが響を鍛えていく。

2012-02-18 16:14:35
今井哲也 @imaitetsuya

最終的に響は、自分の弱さと認識の甘さが原因で翼に瀕死の重傷を負わせてしまう。しかも丁寧なことに、それはそのままかつて自分を守るために奏が死んだっていうその状況の再現。で、現実の甘くないことと自分の至らない点をきっちり認識した響が次に何をしたか。そうです、修業をするんですね!!!!

2012-02-18 16:19:10
今井哲也 @imaitetsuya

これ本編中ではギャグとして描かれてましたけど、冷静に考えるとすごいまっとうなことをやってるんですよ。思いの強さがどうこうとかそういう根性論だけで、なんとなく強くはならない。足りないところを自覚して、問題点を洗い出して、それを克服するためにすごく形而下的な[訓練」をするっていう。

2012-02-18 16:23:13
今井哲也 @imaitetsuya

@totinohana 最終的に、1話で奏と翼が立っていたステージに響と翼の2人が立つことになるんだろう、っていうすごいワクワクする予感がありますね。響はそのために一つ一つ課題をクリアして積み上げていき、翼は自分の中いる奏との対話から響の方を向いて気を練っていくっていう

2012-02-18 16:26:34
今井哲也 @imaitetsuya

同じように、奏がギアの力を手に入れるために血ヘドを吐く努力をしたことも回想の中で描かれる。クリスちゃんもそう。まだ謎が多いラスボスと、ストーリー上のミステリーである響の隠された素質の部分を除けば、ただ現状に対して漫然と何となく強いやつがいない。これってすごく大事なことだと思う。

2012-02-18 16:38:26
今井哲也 @imaitetsuya

これはたとえば、まどマギのほむらがループを繰り返す中で少しずつ自分のスタイルに合った戦い方や武器の扱い方に熟練していったところと似てる。失敗があり、そこで失ったものがあり、その克服がある。それらが全部具体的に描かれているので説得力がある。

2012-02-18 16:31:51
橡の花 @totinohana

@imaitetsuya 現在の対話ではなく、「超常現象的幻視幻聴によってようやく成立する対話」が、歌であり(ノイズを調律する)戦いであり喪の行為であり―といったモチーフの複層的は見事です。/私は、翼と立つのは残された者同志の未来じゃないかと思うのですが、どうなりますかねぇ。

2012-02-18 16:38:11
今井哲也 @imaitetsuya

なので、修行の次の回で響が実際に強くなっていたところを見て僕は「おおっ」ってなったんですけど、響が強くなるためのステップはそこでもまだ終わらない。これがさらにすごいところ。訓練によって体術は会得したけど、それでもまだ、響はシンフォギアの力に飲まれてコントロールを失うことがある。

2012-02-18 16:43:54
今井哲也 @imaitetsuya

そこで今度は「何のために力を使いたいのか」「何のために戦うのか」という覚悟が必要になる。響は翼との会話でそのことにあらためて向き合う。これが第6話。なんとなく状況に流されて戦うのではなく、自分の目的や意志がどこにあるのかはっきりさせること。翼は響にそれを口に出して言わせる。

2012-02-18 16:47:13
今井哲也 @imaitetsuya

翼はなんかずっと抽象的なガンダム台詞ばかり語っているヘンな人、みたいな印象があるけど、さきの響の修行や奏のシンフォギア獲得の回想を踏まえてみると、奏の横で並んで走ってきた翼の背後にも、「戦士」であるために膨大な努力と試行錯誤がはっきり積み重なっていることは分かるんですよね。

2012-02-18 16:48:36
今井哲也 @imaitetsuya

その上で、そうやって自分のものにした力を「何のために使うか」について、翼はつねに自問自答を繰り返して気持ちを研ぎ澄ませている。そして同じ作業を響にもさせることで、先輩として響をもう一段上のステージにひっぱり上げる、という。

2012-02-18 16:52:05
今井哲也 @imaitetsuya

ここまで来てようやく響は翼に対等と認められるわけですよ。で、第7話ではいよいよ翼と響が共闘する。響の成長ストーリーとしてシンフォギアが踏んでいる各話の段階はまことにまっとうなのだ

2012-02-18 16:53:19
今井哲也 @imaitetsuya

で、シンフォギアの物語はいよいよ、戦闘美少女ものとして更に難しい問題に足を突っ込んでいきます。つまりその、そうやって「みんなのために戦う強い存在になる」ことと、「普通の女の子としての日常の幸せ」は両立できるのかという。まどマギがまどかとさやかを通じて「無理」と切り捨てた部分だ!!

2012-02-18 17:00:09