「酢豚つくりもりもり食ったブス」の伝説

今は散逸して久しい「酢豚つくりもりもり食ったブス」の伝説について
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ふくろう @0wl_man

今でこそ回文としてのみ名をとどめる「酢豚つくりもりもり食ったブス」ですが、じつはもともと彼女は双子だったことをご存じでしょうか。そう、これは19世紀末の香港と日本をまたぎ、激動の時代に翻弄された、不運な一族の末裔についての物語なのです……

2012-02-24 09:26:41

双子の前に立ちはだかるパイナップルの壁

箱[いぬ いぬ]🏳️‍⚧️(倉田タカシ) @deadpop

@0wl_man もう、ひとりは香港、ひとりは日本と、ふたつの国に引き裂かれる姉妹の悲劇の物語が脳裏に……あと、酢豚に関しては、一人はパイナップルを入れる派、もう一人はパイナップル断固拒否で、その確執から生まれるドラマがたいへんだと思いました

2012-02-24 09:33:53
ふくろう @0wl_man

@deadpop 文化と国境をまたいで別れざるをえなかったふたりが邂逅するまでの物語は、さながら『悪童日記』三部作のような趣でした。パイナップルの確執は根深い問題でしたね。あの香港名物の台風が、まさかあんなシーンで出てくるとは……

2012-02-24 10:00:09

物語のシンメトリ構造についての考察

箱[いぬ いぬ]🏳️‍⚧️(倉田タカシ) @deadpop

@0wl_man プロットを袈裟がけに切るような台風の横断には度肝を抜かれましたね。そして、小さなテーブルに向かいあって酢豚を食べる姉妹が完全なシンメトリーをなす、あの結びの一幕。その皿にパイナップルはあったのか、なかったのか。忘れられない物語です。

2012-02-24 10:09:49
箱[いぬ いぬ]🏳️‍⚧️(倉田タカシ) @deadpop

@0wl_man 双子のひとりが左利きなので、向かい合うと鏡像対称になるし、それが「あなたは私の模倣者でしかない」と一方が相手に言い放つ痛切な場面につながり、そこからパイナップルについての確執も生まれるという構図でしたね

2012-02-29 22:27:15
箱[いぬ いぬ]🏳️‍⚧️(倉田タカシ) @deadpop

@0wl_man 二つの国の文化的コードの差異のはざまにちょうど収まるような顔立ちであったために、同じ顔でありながらひとりは美人、ひとりは不美人としてそれぞれの国で扱われるという設定は、ちょっと無理があるような気もするけど、物語にさらなる深みを与えていたとおもいます

2012-02-29 22:28:40

無粋なイギリス人とワニについて

ふくろう @0wl_man

@deadpop パイナップルの好き嫌いだけが偏執的なまでに語られていたのは、揺らぐアイデンティティを守ろうとする少女の切なる思いだったのですね。しかし結果的には土地と文化という大枠で彼女たちは分かたれた。それでもなお彼女たちを同一視する周囲の人間たち。そこにも溝があると思います

2012-03-01 10:56:59
ふくろう @0wl_man

@deadpop 無粋なイギリス紳士は数ページしか登場しませんが、今思えば重要な観測ポジションでした。ねめつける視線が彼女らを記号として認識し、強制的にイコールで結びつける……西欧にとってアジアの差異など微々たるものだと言わんばかりに。あそこでワニが出てこなければどうなることかと

2012-03-01 11:01:41
ふくろう @0wl_man

@deadpop シェイクスピアの双子喜劇『間違いの喜劇』とクライマックスの解放感が似ているのは、英国の影響を受けた文化だからというのは考えすぎでしょうか……。ううむ、もろもろ出てきますねもろもろ(楽しさが沸き上がる効果音)

2012-03-01 11:07:34

双子の同化と異化というテーマ

箱[いぬ いぬ]🏳️‍⚧️(倉田タカシ) @deadpop

@0wl_man 双子には、幼いころの完全な合一の記憶というものがあり(それは実は大部分が幻想なわけですが)、そこへ戻りたいという願望と、個としてのアイデンティティを確立したいという気持ちとにつねに引き裂かれているんですよね。

2012-03-01 12:57:06
箱[いぬ いぬ]🏳️‍⚧️(倉田タカシ) @deadpop

@0wl_man 周囲の人間が二人を同一視したり取り違えるのはそのどちらの方向でもないわけで、後半、互いに反目しあいながらもそういう人々に復讐するときだけはぴったり二人の息が合うのがおかしかったです。

2012-03-01 12:57:39
箱[いぬ いぬ]🏳️‍⚧️(倉田タカシ) @deadpop

@0wl_man 物語の随所にシンメトリカルな構図が現れるけれど、ワニや義足のマレー人が登場するところのように、ちょっと不自然な形でシンメトリーの完成が阻まれる場面もあちこちに配置されていて、そこの意味を深読みしていくのが楽しいですね。…いやー偽書遊び楽しいですねー…

2012-03-01 12:59:35