生誕百年・探偵小説作家「大阪圭吉」の戦後未刊行作品紹介

2012年3月20日は、戦前に活躍した探偵小説作家・大阪圭吉の生誕百年の誕生日に当ります。 生誕百年を記念し、大阪圭吉の戦後未刊行の作品を紹介したツイートと、生誕百年関連の「私の」ツイートを、ログとして纏めました。
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小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

今日は探偵小説作家・大阪圭吉の誕生日です。大阪圭吉は明治45年(1912年)3月20日愛知県新城町(新城市)に生まれました。今年は生誕99年、来年が生誕百年です。今は大震災で大変ですが、来年は明るく生誕百年を迎えられる事を祈ります。 #keikichi #shinshiro

2011-03-20 14:30:41
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

『銀座幽霊』2009年2月北京・新星出版社発行。中国本土で発行された簡字版の作品集。収録作は創元推理文庫2冊に収録の全作品+三の字旅行会+香水紳士。圭吉の本格作品をほぼ網羅した完全版。日本では戦後の著書には未収録の「香水紳士」ま http://twitpic.com/4r8e1o

2011-04-30 11:47:55
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小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続)巻頭には「奇跡的作家・純粋的推理」とした解説、巻末には年譜もあり、収録は作品の発表順。編者はかなり圭吉を愛している事が想像できる作品集です。帯には江戸川乱歩、横溝正史、島田荘司推薦とも書かれて、この3人が中国でも評価されているのも解ります。 #keikichi

2011-04-30 11:49:48
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(以下余談)香水紳士が収録されていることから、底本は青空文庫かもしれません?表紙絵が創元推理文庫と似ているのが中国らしい?海外の書籍には帯は珍しい帯が有るのも特徴ですが、中国では帯は普通なのでしょうか? #keikichi

2011-04-30 11:50:53
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

ツイッターを始めたのは、大阪圭吉の生誕百年に向けて、圭吉の事をつぶやいて行きたいと思ったから。GWに入り時間の余裕もできたので、1年かけて少しずつ大阪圭吉の著書や作品を紹介して行きたいと思っています。 #keikichi

2011-04-30 11:52:31
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉1:「ちくてん奇談」(「にっぽん」昭和17年1月)「弓太郎捕物帳」第7話。舞台は江戸末期。元旦、京橋五郎兵衛横丁では7人の大の男が、着物も寝巻きも履物も残して、忽然と消えてしまった。(続く) #keikichi

2011-05-01 14:06:49
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続1)同じころ、江戸の各所で同じような消失事件が発生していた。三河町の岡っ引き銀次は、香月弓太郎に注進、知恵を拝借に行くが…。(続く) #keikichi

2011-05-01 14:07:13
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続2)南町奉行所筆頭与力の息子ながら勤皇思想のため勘当された香月弓太郎、岡っ引きの銀次、下宿先の娘お花が活躍する、由緒正しい「季の文学」としての捕物帳です。「ちくてん」とは逐電の事。(続く) #keikichi

2011-05-01 14:07:29
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続3)江戸から多数の人間が消失すると言う大胆な設定。捕物帳なので論理的に解決する訳ではないが、謎は過不足なく解消する。ある現象に知識があれば、この140字の粗筋から真相を看破する事も可能。捕物帳だからこそ生かせる大胆なトリックの佳作です。 #keikichi

2011-05-01 14:07:45
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

『海底諜報局』昭和16年12月熊谷書房。南シナ海で沈没した貨物船を引き上げていた潜水夫は、沈没船の中に生きている美女を見た。恐怖で異常を来たした潜水夫を横浜に連れ戻し入院させようとした矢先、彼は迎えの車と共に消えてしまった。#k http://twitpic.com/4uffpk

2011-05-07 14:59:03
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小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続1)依頼を受けた青年探偵・横川禎介は、秘書の渋谷嬢、所員の明石君と共に、横浜を疾走する。大阪圭吉唯一の書下ろし長編ミステリー。魅力的な発端の謎が、現代の私達にも納得のいく論理で説明される、リーダビリティーの高い作品です。 #keikichi

2011-05-07 15:02:15
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続2)生硬で物語性に欠けると批判された大阪圭吉が、大きく変わっていた事を実感できる作品。論創社『大阪圭吉探偵小説選』に収録され、現在は簡単に読むことができます。熊谷書房は雑誌「ぷろふいる」を発行していた出版社。 #keikichi

2011-05-07 15:02:35
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉2:「水族館異変」(「モダン日本」昭和12年6月)真夏、海水浴場にある水族館では「南海美人鮑取りの実況」が公演されていた。海女のお鯉とお春、香具師の伊太郎の間にはある葛藤が有ったが、水族館で起きた掏摸事件を機に悲劇的結末へ…。 #keikichi

2011-05-07 15:06:20
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続1)犯罪と推理・解決ではなく、登場人物の心理に主眼をおいた、当時で言えば変格・怪奇小説、現代ではモダンホラーにあたる、大阪圭吉の異色作品です。連続短編直後の最盛期の作品。茂田井武の挿絵が秀逸。 #keikichi

2011-05-07 15:06:27
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(余談)傑作の予感のある作品ですが、掲載誌に伏字が多いのが難点。当時の「モダン日本」には伏字が多かったようです。エロティックな部分が伏字になっているらしいが、それほどの事が書かれているとは思えません。再録無なので伏字を復元できません。 #keikichi

2011-05-07 15:06:41
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉3:「沙漠の伏魔殿」(「奇譚」昭和14年4月)蒙古徳王府に程近い大草原。祭り見物に来た3人の娘は、奇怪なラマ僧に誘拐されゴビ砂漠のラマ廟へ拉致された。太陽の子と呼ばれる隊長と蒙古軍が、救出に向かうが…。 #keikichi

2011-05-07 20:05:56
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続1)渡辺啓助や小栗虫太郎の作品群に通じる、異境・秘境ものの1編。大阪圭吉は昭和十年代後半に幾つかの異境物を執筆しているが、その先駆けの作品。 #keikichi

2011-05-07 20:06:13
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉4:「人外神秘境」(「奇譚」昭和15年6月)台湾東南部の奥地、急峻な山岳地帯。樺山博士の娘美智子は、1年前に行方不明になった博士を探しに、鉱山技師の川島、博士の知人天岡と共に、鈍く光り「光り岩」と呼ばれる恐れられる絶壁に向かうが…。 #keikichi

2011-05-07 20:06:58
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続1)探索のため絶壁に向かう中で直面する幾多の障害、そして「光り岩」の正体は・・・。これも、異境・秘境ものの1編。佳作。 #keikichi

2011-05-07 20:07:25
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉『三狂人』2003年10月台北市・今天出版社。中華民国で発行された、おそらく圭吉最初の海外出版。編者は傳博(島崎博)。「不折不扣的解謎派健将大阪圭吉」と題した島崎博の解説も付いている。 #keikichi http://twitpic.com/4xtn8p

2011-05-15 12:59:05
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小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続)島崎博のセレクトにより、大阪圭吉の本格作品の中でも代表作が集められています。収録作は、デパートの絞刑吏、気狂い機関車、とむらい機関車、坑鬼、三狂人、銀座幽霊、幽霊妻、燈台鬼。 #keikichi

2011-05-15 13:02:32
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(余談)『三狂人』の解説「不折不扣的解謎派健将大阪圭吉」(正真正銘の本格派の猛将)は、台湾で発行された島崎博の評論集『謎詭.偵探.推理』に再録されています。 #keikichi http://twitpic.com/4xtqx8

2011-05-15 13:05:38
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小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉5:「誓ひの魚雷」(「新国民」昭和17年12月号)敵艦隊を迎え撃つ潜水艦内。目指す好敵には巡り合えない。緊張が張り詰める艦内に、なんとも快い香水の匂いが仄かに漂っていた。「香水兵曹」渾名された見張員の二等兵曹だ…。 #keikichi

2011-05-15 14:05:12
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続1)「大東亜戦争小説集」として掲載された作品。「潜水艦乗組員の苦闘と銃後産業戦士の決意との美しき結合を描ける物語」(「新刊弘報」紹介)で、探偵趣味は殆ど無く「今日読むに耐えない」戦意高揚小説、時局小説と分類されても仕方のない作品。 #keikichi

2011-05-15 14:05:27
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続2)しかし、戦場で敵艦と対峙する艦内に香水の匂い、特異なシチュエーションから語られる物語は、単純に戦意高揚と切り捨てるべきではなく、不思議に後味が良い。この作品を表題作とした作品集が刊行された可能性があるが未確認。 #keikichi

2011-05-15 14:05:55
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