物書きから見た「AppleがSonyになれた本当の理由」

マンガ原作者・喜多野土竜(@mogura2001)氏のツイート
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本田雅一 @rokuzouhonda

そういえば、昔、元ソニー土井さんに「ソニーは役に立たない(けど楽しい)ものを作ってるからいいんだよ。何に使うの?という質問は商品の本質を見てない」と言われたのを思いだしたRT @dankogai 「AppleがSonyになれた本当の理由」 http://t.co/2jEyMHdT

2012-03-12 11:07:13
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

非常に重要な指摘。他の分野でも当てはまる。物書きも、一番最初の読者としての編集を突破しないと作品が世に出ないけれど、その編集が読者を見ていない事がままあるのだ。 RT @dankogai 「AppleがSonyになれた本当の理由」 http://t.co/cMkpeMuo

2012-03-12 14:38:31
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)もちろん、作家は読者の全体像など意識している人は一握りで、自分が好きな物を書いている。それが大衆に届くかどうか、博打みたいなものである。サラリーマン化した編集は、確実に買ってくれそうなオタク層向けの作品作りにばかり走る。これは読者を見てるようで見ていないのだ。

2012-03-12 14:44:53
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)読者を喜びそうな要素を入れればホイホイ買うカモとして見なしているだけで、本当に見ているのは自分の立場であったり、上司の顔色であったり、会社の意向であったり、いずれにしろ読者ではない。企業を相手にしたメーカーが、ユーザーではなく担当者をいかに丸め込むかに腐心しているように。

2012-03-12 14:53:13
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)テレビというメディアも、その収益構造ゆえに常にスポンサーの顔色を伺い、抗議する側もスポンサーへの抗議が有効と味をしめ、広告代理店や所属事務所の意向で存在しないはずの人気が出現したり消え去ったり。そういう虚構は昔からだったけれど、ネットの出現で、一般にも可視化されてきた。

2012-03-12 15:00:31
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)有料メルマガでそこそこ以上に食えたり、Podcastで手作りの番組が受けたり、『中国嫁日記』がヒットしている状況を見ると、客から直接投げ銭をもらう商売へのシフトが、コレから重要になるような気がする。でもそれは、Appleが10年以上前から取り組んだ事でもある。

2012-03-12 15:04:43
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)Appleが直営店を始めた時、成功事例がほとんどないと、専門家は危惧した。しかし当時のAppleは運転資金不足に苦しみ、販売代理店に支払うマージンさえ惜しかった。いわば苦肉の策だった訳で。しかし、そこで利益第一のコンクリート打ちっぱなしの店内に、商品みっちりにはしなかった。

2012-03-12 15:08:39
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)店内は空間を贅沢に使ってゆったりリラックスできる雰囲気で、ガラスの階段に象徴されるエレガントな調度品。そして情報発信基地、文化的サロンとしての付加価値を持たせた。結果的に、販売代理店ではなくユーザー個人と向き合うことで、Appleは日銭を得ることに成功した訳で。

2012-03-12 15:13:34
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)Appleのこのような日銭を得る商売は、江戸の昔から利は薄くても硬い商売として認識されている。落語でも『搗き屋幸兵衛』などでそういう台詞が出てくる。運転資金がある強み。では、アメリカでは。実は現金商売で世界大恐慌という金融恐慌を乗り切った組織が存在した。マフィアである。

2012-03-12 15:18:05
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)マフィアはその性格上、銀行など金融機関を相手にせず、禁酒法の時代に現金商売で取引していたため、不況に強かった。日本でも三越の前身となる越後屋が大発展したのは、現金掛け値なしで顧客のニーズに向き合った商売であったからで。大衆消費社会以前は、幕府相手の政商が儲けたのとは逆。

2012-03-12 15:24:39
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)本来は、現金商売は確実だが利が薄い商売であったが、iTunesStoreのような億単位の人間を相手にする商売だと、1ドルの商品でも塵も積もれば山となるどころではない。面白いのは、中間マージンに苦しんで直営店を始めたAppleが、中間マージンを取る側に回ったことか。

2012-03-12 15:30:02
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)さて、ではAppleの次の一手は? これも歴史を見ればわかる。越後屋は創業十年で両替商に進出した。江戸は金本位、大坂は銀本位の時代、両替商というのは為替、つまり金融。戦前の財閥が銀行を核に連帯したように、メインバンクの存在は不可欠。ソニーも楽天も銀行業に進出した。

2012-03-12 15:33:47
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)逆に、新興財閥であった鈴木商店が倒産したのは、取り付け騒ぎの余波による、運転資金の枯渇。実際、アメリカではApple・Google・Facebook・Amazonが金融業に進出するという予想はとっくに出ている。歴史は、厳密には繰り返さないが、大枠では似た進展を見せる。

2012-03-12 15:37:09
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)では、最初に戻って、出版社は出版不況の時代をどう生きるのか? 功名心にはやった編集長に博打を打たせても、ほぼ失敗する。優秀な編集者でも、生涯打率は2割そこそこ。エロやマイナー誌で売れた作家を引き抜くのも、ソロソロ限界。同人誌からのスカウトなんて30年前からやってるし。

2012-03-12 15:44:13
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)業界4位や5位の出版社が電子書籍に進出するのも、もう編集の慧眼に期待せず、とにかく新人の作品をばら撒いて、その中から自然発生的に受ける作家をピックアップしようという戦法か。でもそれって、秋元康氏の手法なんだよね。一時的には盛り上がっても永続はしないのは、歴史が証明。

2012-03-12 15:49:52
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

さっきの連続つぶやきの補足として。政商として財をなした紀伊国屋文左衛門は、零落伝説があるが実態がよくわからない。他の豪商のエピソードが流用されているし。ただし、ライバルで負け役の奈良屋は、幕末まで家名を存続させている。両者の差は何か? 奈良屋は子供に遺言を残している。

2012-03-12 16:30:12
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)自分の後は投機的な商売はせず、不動産(長屋など)の賃貸収入で堅実に暮らせ、例え番頭が絶対に儲かるからと話を持ってきても、絶対に乗るなと。奈良屋の豪遊はパフォーマンスであり、自分のような才覚のある子孫は出ない事を、見抜いていたのだろう。実際、紀伊國屋は消え奈良屋は残った。

2012-03-12 16:33:43
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)で、Appleは銀行業に進出するとEdyのような決済での手数料でも儲かるので、まさに一石二鳥。奈良屋が賃貸収入で堅実に暮らしたように、iTunesStoreという店舗の賃貸収入と手数料で堅実に暮らせる。ここら辺は、楽天の手法も近いか。

2012-03-12 16:37:46
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)で、ゲイツ会長が去った後のMicrosoftも、Exchangeなどの事業で奈良屋のようになるのかな、と思っている。バルマーCEOには紀伊國屋臭がたっぷりするけれど(笑)。では、カリスマ亡き後も、継続的に発展するには? やっぱり越後屋の手法が参考になるかも。

2012-03-12 16:41:14
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)時代劇ではお代官様と癒着している役が多いが、越後屋は家訓として大名とは距離を置くようにしていた。江戸時代最大の財閥であった鴻池の維新後の伸び悩みをみれば、これは賢明な方針。で、越後屋は、血縁に優秀な人間は滅多に出ないので、結構早い段階で番頭型の経営にシフト。

2012-03-12 16:47:14
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)現代で言えば、経営と資本の分離、という事になる。老舗はだいたいが、外部から優秀な人材を招き入れる事で続いているわけで、日本は思うほど血縁社会ではない。家が存続できれば、養子でも構わない。大名家クラスでもそう。権威と権力の二重構造は、天皇と将軍のごとく日本人には親和性あり。

2012-03-12 16:50:55