自然科学とはなにか:谷村省吾教授(@tani6s)の考える物理と数学の違いについて
物理の話が一般の人に難しく感じられるのは、頭の良い人が時間を掛けて考えさえすればどんどん先に進んでいける分野だったから。物理が「簡単」だと僕が時々言うのはそういう意味。自然科学全体を見ても、人間の考える他の問題と比べれば「簡単」。
2012-03-23 08:20:05RT @inoueian: 物理の話が一般の人に難しく感じられるのは、頭の良い人が時間を掛けて考えさえすればどんどん先に進んでいける分野だったから。物理が「簡単」だと僕が時々言うのはそういう意味。自然科学全体を見ても、人間の考える他の問題と比べれば「簡単」。
2012-03-23 08:23:44記者にとって医学研究の方が物理学研究より内容を理解しやすいのは、医学が物理よりはるかに難しい対象を扱っているためだ。人間集団の振る舞いは粒子集団の振る舞いと違って理論から演繹することができず、現象論と統計でしか語れない。逆に現象論と統計がわかれば、医学の論文は理解できる。
2012-03-23 08:52:47医学取材の最大の壁は論文を理解するところじゃなくて、その結論を現実社会における実際の医療にどの程度あてはめられるのかを判断するところにある。判断の共通ルールは存在せず、専門家の間でも意見はしばしば異なり、議論はしばしばカオスになる。
2012-03-23 09:07:03物理は20世紀に入っても年表の項目だけ見て内容の見当がつくけれど、数学は19世紀の業績であっても項目を読んだだけでは部外者には内容の見当すらつかない、というのが我々の感想でした。
2012-03-23 15:53:33つまり、数学は「人間の概念と記号」だけの世界なので、頭の良い人ならどしどし研究が進むのです。物理学のように現実世界にすり合わせる必要がないのです。
2012-03-23 15:53:57医療技術的に可能なことでも倫理的に許されるか、ビジネスとしては撤退した方が得策だけど、やめてしまってよいのか、といったことが問題になるし、議論になる部分は普通の人間に理解可能なところに踏みとどまるのでしょう。
2012-03-23 15:55:42狭い意味での数学は、記号列の変換規則体系です。ある命題から別の命題を導くこと、命題の体系を整理すること。命題を述べる上で、まとまりのよい概念を形成すること。これらが狭い意味での数学です。
2012-03-23 15:56:34数学以外の分野から数学化しやすい概念を見つけてくること(微分方程式など)。よい問題を見つけること(ポアンカレ予想やリーマン予想など)。適用範囲が広くて、うまいまとまりのある概念を定義・命名すること(線形空間や群や多様体など)。精確な記述体系・計算体系を他の学問に提供すること。
2012-03-23 15:57:25しかし、数学それ自体は、そういう「自然科学的な営み」から離脱可能な、固有の価値を持った学問であり、離脱することによって独自の進化を遂げたと思います。それゆえに、部外者にわかりにくい学問になってしまいましたが。
2012-03-23 15:58:11Wignerはノーベル賞をもらった物理学者ですが、 「物理学は自然現象のすべてを説明しようとはせず、規則正しい現象だけを説明することにターゲットを絞ったから成功したのだ」 という意味のことをノーベル賞講演の冒頭で言っています。
2012-03-23 15:59:19It is clear that, in this sense, physics does not endeavor to explain nature.
2012-03-23 16:01:24In fact, the great success of physics is due to a restriction of its objectives:
2012-03-23 16:01:35it only endeavors to explain the regularities in the behavior of objects.
2012-03-23 16:01:48人間が発見する前から自然界に物理法則が備わっていて、それを人間が見つけたのか、それとも物理法則は人間が自然現象を説明・納得するためのコトバに過ぎないのか、という問題は古くから議論されているとは思いますが、
2012-03-23 16:02:55