丸山天寿先生の「私が観たコケた大作映画」

丸山天寿 @tenjumaruyama

さて日曜日のお遊び。ディズニー映画「ジョン・カーター」が２億ドルの大赤字になるそうな。これまでの赤字記録保持映画「カットスロートアイランド」を大きく超える。だが、ハリウッドの歴史はコケた映画の上に成り立っている。本日のお題は「私が観たコケた大作映画」全ての異論、追加を認めます→

丸山天寿 @tenjumaruyama

怪しい映画大好きの私は「ラズベリー賞映画」も喜んで観る。第二回にエントリーされた「天国の門」は凄かった。１９世紀のロシア移民の悲劇を描いたものだが、チミノ監督はモンタナ砂漠の真ん中に当時の街を丸ごと作ったそうだ。数十秒のシーンのために当時の機関車を大金かけて捜したとも言われる→

丸山天寿 @tenjumaruyama

時代考証は完璧で(当時のリアルさを出すために出演者の衣装は大金をかけてボロを着せたという)映像も美しく、ストーリーも結構面白かったのに「天国の門」は大赤字を出した。何故か。主人公のキャラに魅力がなかった。感情移入しにくい人物達の物語を見るのはつらい。これがコケたのは良く分かる→

丸山天寿 @tenjumaruyama

主人公のキャラが立っているのにコケた映画、「クレオパトラ」。有名で魅力的な女王を演じたのはエリザベス・テーラー。素敵な女優さん。金も時間もかけて念入りに作られた。撮影場所を何度も変え(その度にセットを作り直す)、脚本を書き直し、主人公以外の俳優を変え長い年月をかけて出来上がった→

丸山天寿 @tenjumaruyama

クレオパトラの映像は凄かった。「凱旋門(時代考証は無視)」をくぐって凱旋するシーンは実に豪華で印象に残る。だが、コケた。はっきり言って物語が面白くなかった。監督は人間ドラマを描きたかったらしいが私の観たかったのは、派手な海戦。そしてクレオパトラがミルク風呂に入るシーンだったのに→

丸山天寿 @tenjumaruyama

主人公が魅力的で戦闘シーンがふんだんにあり、物語としても面白いのにコケたのは、英雄ジンギスカンを描いた「征服者」。ヒューズ監督は１９５６年当時６００万ドルを投じ、ユタ州の砂漠でロケを敢行する。砂塵を巻き上げて行われた戦闘シーンの迫力は凄かった。だが、この映画には大きな間違いが→

丸山天寿 @tenjumaruyama

それは演じる役者の人選。何とジンギスカンをジョン・ウェインがやったのだ。セリフは彼独特の南部なまりで、ハリウッド調の貴族言葉を気取って喋る。ヒロインもスーザン・ヘイワード。二人ともどう見ても、モンゴルの遊牧民には見えない。二人とも好きな役者なのに使う映画を間違えている。残念→

丸山天寿 @tenjumaruyama

１９８６年ラズベリー賞の「ハワード・ザ・ダック・暗黒魔王の陰謀」も酷かった。ジョージ・ルーカス氏がドナルドダックのパロディーコミックを原作に３５億の金をかけて製作。原作は葉巻を咥えたアヒルが社会・政治を毒舌で皮肉り、セックスがらみのギャグもある大人向けのシャレたもので実に面白い→

丸山天寿 @tenjumaruyama

ところが、氏は何を考えたのか、この大人向け作品を完全な子供向けのコメディー映画にしてしまった。(日本では所ジョージさんが吹き替えをした記憶がある)これは、アヒルのぬいぐるみが大失敗。可愛くないどころか子供が泣き出しそうなくらい不気味。ホラーではない不気味な子供映画は当たらない→

丸山天寿 @tenjumaruyama

赤字映画が全て面白くないとは限らない。金をかけ過ぎて赤字になった物もある。黒字映画の全てが面白いとも限らない。何となく客の入った作品だってある。映画は個人の好みもあるから、観てみなければ分からない。「ジョン・カーター」。バローズファンの私としては是非観たいと思っている。了