ブーブス・バンド 〜ロックンロール女囚軍団〜

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ツケがめちゃくちゃ溜まってるんだぞ！」ブシェーミじみた風貌のライブハウスオーナーが道を歩いてくる「３日間も好き勝手に飲み食いしやがって！あんまりだ！」「大丈夫よ、アンタは黙って見てなさいな」横に並んで歩くフォクシーは、涼しい顔で言った「今夜、ライブやるからさ……ワッツ！？」　5

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フォクシーが目撃したのは、馬乗りになって男をタコ殴りにするジェーン9だ。その隣ではブロンディがもう一人の男に馬乗りになって、バケツでタコ殴りにしている。「何してンのよ、あんたら？」「何してンの、私たち？」とブロンディ。ジェーン9は殴りながら言う「ファイトしてんのさ！」 6

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ブロロロー。黒い旧型ベンツが、少し離れた場所で止まる。そのフロントに輝くエンブレムはナチス鉤十字！スキンヘッドの男が助手席の窓を開けてライブハウス前の騒動を見る「あれは、ブーブス・バンド！」彼はプロフェッサーK！ナチス服に身を包んだ女助手に命じ、車を発進させる。いやな予感だ。　7

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「奴ら……この街に」プロフェッサーKは右手の白手袋を外し、鉤爪を陽光に光らせた。「おのれブーブス・バンド！もしものために第三作戦を準備させろ」「ジークハイル！」……さて、ブーブス・バンドのベーシスト、ドールハウスは？ 8

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ドールハウスは白黒シマシマのショーツと靴下だけの姿で、ライブハウスの控え室から車道の乱闘を見て笑っていた。彼女は日光に当たると死ぬと思っているので、日中は外に出ない。それにしても形のいいおっぱいだ。外ではいつの間にか、ブロンディとジェーン９が取っ組み合いを始めてしまった。　9

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「何て格好してんのよ、ドールハウス」窓を挟んでフォクシーが立った。ドールハウスは自発的にケータリングしたと思しきチェリーパイを食べながら言った。「わたし機材搬入するの嫌よ」「ハン？そこでノビてる男どもにやらせましょ」「うん、それならいいと思う……さっきの車、見た？」 10

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「車？いっぱい見たわ」とフォクシー。「ええと、違うの、さっき向かいに留まった黒いベンツ。中にピンク色の羊がぎっしり詰まってた」「ハーハン？」フォクシーはすんすんと鼻を鳴らす「ドールハウス、あんたまた、降霊会やってたでしょ？」机の上に置かれたドクロから、神秘的な煙が出ていた。　11

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「降霊会？」ドールハウスは残り煙に顔を向け、深く吸い込んだ。「やったけど、でも本当にピンクの羊なの」「オーケー、ピンクの羊ね」フォクシーはドアを開けて中に入った。「……なにそれ」「買ったの。そこで」壁から吊るされているゴスドレス。「また？」「前世の私の所有物なの。助けたの」 12

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「おい、本当にライブする気あるのか？ビッチどもめ！このライブハウスは十字軍の時代から続いてるんだぞ！俺のいとこはすごく喧嘩が強いぞ！」控え室の戸口で怒るブシェーミ。そこへ帰ってきたブロンディが平手打ち！「アーッ！」情けない悲鳴をあげて倒れるブシェーミ！「私のほうが強いよ！」　13

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ブロンディはブシェーミに馬乗りになり、平手で繰り返しパウンドした。オッパイが上下にユサユサ揺れる。そのたびに濡れたシャツから水がはねてブシェーミに降りかかる。「アーッ！アーッ！」ジェーン9もやってきて、ブシェーミを蹴りつける。「ケンカか？ケンカなのか？アタシもだ！」 14

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「やめな！」フォクシーが一喝した。普段はクールだが、キレると一番怖い「アタシたちはロックンロール・バンドだ！強盗団じゃないだろ！」。ブロンディとジェーン９は攻撃を止め、バツが悪そうにうつむく。ブシェーミも鼻血を流しながら立ち、３人で横一列になってフォクシーの説教を聞いた。　15

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その横を、さっきの中年男二人が泣き面で行ったり来たりし、1962ブルースブレイカーやピンクに塗られたフェンダー・ベースマンを地下へ搬入してゆく。ブーブス・バンドの機材（盗品）だ。「アンタ達はいっつも……ん、ドールハウス？」フォクシーはドールハウスの読むタブロイドを見た。 16

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ドールハウスはトップレスのままタブロイドを開いて示した。『ブーブス・バンドは時代錯誤ロックンロールバンド。アコースティックさが無い』との酷評レビューだ。彼女はもう一部、翌日の同タブロイドを取り出した。『当社オフィスが爆発したので休刊します』ジェーン9が肩をすくめた。「可哀想」17

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ステージ上にはフォクシーとブロンディ。機材の調整だ。「それでね、そいつ、何て言ったと思う？」ブロンディは思い出し笑いをこらえ切れない様子でピザを頬張った「俺、スープの中にビーンズ入れちゃったよ、って！」「これで五回目よ、聞くの」とフォクシー「でも、いい男だったんでしょ？」　18

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「うん、いい男だったけど、バカだったから」とブロンディ。「決定的だったのはキャンプの時ね。彼ったらマッチで火をつけられないんだもん。げんめつ！」「マッチ？」「そう！私が出発前に、全部ちゃんと火がつく事を確かめてから、しまったんだよ？それなのに！」「アーそう」 19

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「そう、また新しいゲームを考えたんだけど」とブロンディ。「ファンタスティック」ワウを踏むフォクシーは上の空で返す。「ラモーンズの写真と名前書いたカードを４枚用意してさ、それで…」「素晴らしく面白そうね」「ええと、どうするんだっけ。ねえ、ドールハウス。あれ……どこ行ったの？」　20

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ズンズン！「壊れた！」ジェーン9がバスドラムのペダルをブシェーミに見せた。「ウチのやつ壊れたから、ライブハウスのやつを頂戴！」「何だと？」……フォクシーはステージそでを見やった。確かにドールハウスがいないのはおかしい……「ギター、これでいいわ」彼女は階段を上がって行った。 21

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ブロンディーは瓶ビールを飲みながら、時計を見た。もう夕方だ。ライブは夜だから、まだ時間がある。彼女のパートはヴォーカルなので、一番簡単だ。何も準備がいらない。暇なのだ。「まだ時間があるし、少しくらいファックしてもいいわよね」ブロンディーは酒瓶を放り投げ、街の酒場に向かった。　22

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一方その頃、ドールハウスは！？プロフェッサーKのベンツのトランクにしまわれていたのだ！猿轡を噛まされ、手足を縛られている。（ンー！ンー！）暴れるたびに車の後ろでボコンボコンと音が鳴るのを満足げに聴いた。「ワーグナーを聴きたい気分だ！」「そうですわね、ヘル・プロフェッサーK」 23

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「見事な色仕掛けだったな、デジー・シュタッデルマイヤー君」「光栄です」ナチス女は無表情に返す。「今度こそブーブス・バンドに邪魔はさせん。ベースがいなければ奴らも解散だ。ブリッツクリーグ、ブリッツクリーグ……！」走り去るベンツ！口をガスマスクで覆ったＫは、ぶきみな声で笑った！　24

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……「ね、ここじゃ外だから虫に刺されちゃうよ！」「シュツルムウントドランク！バカを言うな。もう我慢できない！」軍服を着たドイツ訛りの男がブロンディのTシャツを捲り上げた。すごいオッパイがぶるんと露出した！「ウンダバー！」「素敵！でも、ねえ、ダメよー」「なら俺達のアジトでだ！」25

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男はブロンディを持ち上げた。彼女の両脚を腰に絡ませたまま、すぐそばの廃屋へ駆け込む。入り口にはナチスの旗！「さあ！今ならここは誰もいない！」「アーン！」「我慢できない！」作戦室に踊り込むと、男はブロンディをしがみつかせたまま、ベルトをカチャカチャと外し、ズボンを下ろした。 26

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今まさに二人がファックしようとしたそのときだ！「イジオーット！」作戦室に入って来たのはプロフェッサーK！（フガフガ）そして縛られたドールハウス！「ンま！？」ドールハウスの首輪の紐を持ったデジー・シュタッデルマイヤー！「何をやっておるか貴様ッ！」「ナイン！ダスイストニヒト……」27

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一方その頃ライブハウスでは！ショウの開演があと１時間に迫っていた！「ジェーン９！どこ？」フォクシーが階段から下りてくる。「ここにいるよ」シャワー室から全裸で出てくるジェーン９！「これがドールハウスの部屋に……！」フォクシーが手を開くとそこにはナチスバッジが！「「奴らだ！」」　28

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ジェーン9が素早く下着無しでライダースーツを着込む間に、フォクシーは機材ケースの一つを開き、サブマシンガンとショットガンを手にとった。彼女の気高い瞳に戦闘意志が閃く！「アンタは？」ジェーン9を振り返る。「素手さ！」二人はセクシーな竜巻のように勢いよくライブハウスを飛び出した！29