しばむらさん @siva_yuri ゲーム世界の自律性とユーザー・エクスペリエンスの関係を語る

しばむらさん @siva_yuri が、ゲーム世界の自律性とそれを体験するユーザーの主観的世界の関係について語ります。 テーマ:「ゲームの多くはユーザー体験主導で作ってしまうとゲーム世界の自律性を損なうし、逆に自律性のあるゲームでは必ずしもユーザーの体験主導で作れないという二律背反があると思うのですが、その矛盾を超えてしっかりとした自律世界の中でユーザーを楽しませることは可能でしょうか?」
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三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

ゲームの多くはユーザー体験主導で作ってしまうとゲーム世界の自律性を損なうし、逆に自律性のあるゲームでは必ずしもユーザーの体験主導で作れないという二律背反があると思うのですが、その矛盾を超えてしっかりとした自律世界の中でユーザーを楽しませることは可能でしょうか?

2010-01-09 11:41:17
芝村裕吏 @siva_yuri

ゲーム世界の自律性とユーザーが主観的に体験するゲーム世界の関係性について ですか。 まずは言葉の定義からですね。辞書的には、自律性=ある社会制度が他からの制約を受けずに独立した運営を規定すること。ですが、これは箱庭ゲームとプレイヤーという意味ですかね?

2010-01-08 13:50:33
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

「自律性」とは、ここでは、ゲーム世界が作り込んだデータによって主導されるのではなくて、法則やパラメーターによって動的に変化する、という意味でお願いできますでしょうか?^^ 勿論、これには、おっしゃる通り「これは箱庭ゲームとプレイヤー」という意味を含むのであります!

2010-01-09 11:42:47
芝村裕吏 @siva_yuri

ゲーム世界をリアルタイムなコンピューターシミュレーションで作り上げた場合、ユーザーがどのような体験を得るか。ですか。実験データと予想の二通りがありますが、どっちでしゃべればいいのでしょう。

2010-01-08 13:57:39
芝村裕吏 @siva_yuri

では、ゲーム世界をリアルタイムなコンピューターシミュレーションで作り上げた場合でのうまいやり方。しっかりとした自律世界の中でユーザーを楽しませるためのノウハウについて、少しお話しましょう。#用語の確認から入ってるのは、すみません。なるべく多くの人にわかりやすくするための工夫です

2010-01-08 14:01:47
芝村裕吏 @siva_yuri

まず。リアルタイムな計算なり、モデルをもったシミュレーションで世界を構築した場合、それはユーザーに対して、計算された楽しみを提供できないことを意味します。

2010-01-08 14:06:05
芝村裕吏 @siva_yuri

ここでいう計算というのは、一般での(小説・映画用語から定着した)慣用表現で、厳密にいうならば、それは準備された楽しみ、というべきものです。計算だけなら、シミュレーションでもやってますからね。

2010-01-08 14:06:12
芝村裕吏 @siva_yuri

それはなぜか。動的に計算を続けているシミュレーションモデルの中にプレイヤーをほうりこむわけですから、当然、時期や状況によって、モデルの映し出す写像は変化します。これにたいして、静的な、つまり用意されたデータを渡しても、写像にそぐわないケースがおおくなるからです。

2010-01-08 14:10:07
芝村裕吏 @siva_yuri

これは、時間とともに、そぐわない状態が増えていきます。なんでまあ、一般的に固定コースでチュートリアルなどを用意するとは思うんですが、完全にシミュレーション上にプレイヤーを投げ出すと。まずこのチュートリアルが(時間に応じて)崩壊します。

2010-01-08 14:12:46
芝村裕吏 @siva_yuri

老舗のネットゲームは、この種の問題に一足先にぶつかっていて、これらを解決するために、ある程度有効な手を打ってます。 UOでは限定環境の島をつくりつつ、GMを配置。人間という変化についていけるものを使って、静的部分であるシステム面より先の動的部分のチュートリアルをやります。

2010-01-08 14:15:53
芝村裕吏 @siva_yuri

まあ、機械が出来ないところは人間で。というのは、アナクロですが、有効な手段です。それが同じプレイヤーだったりすると、管理コスト面では、なおよい結果を生みます。

2010-01-08 14:18:09
芝村裕吏 @siva_yuri

では、少しはなれてチュートリアル以外を見ると、ここでもやっぱり、そぐわない現象が、おきてしまいます。

2010-01-08 14:20:19
芝村裕吏 @siva_yuri

一番ありそうなのが、動的に計算を続けているシミュレーションモデルが、プレイヤーのニーズにあわない計算結果を出すケースです。 たとえば、悪の軍勢が世界を征服してしまった場合などですね。

2010-01-08 14:20:27
芝村裕吏 @siva_yuri

極論すればそれも面白さの一つですし、あるいは動的なシミュレーションなんだからしょうがないところもあるんですが、これはユーザーサービスである以上、「つまんないという」致命的な状況を引き起こします。

2010-01-08 14:22:47
芝村裕吏 @siva_yuri

これに対して、問題を解決する手法はあるのかというと。実はこれも先駆者が有効データをだしておりまして、基本的にシミュレーションまかせだけど、時間を(それなり短く)区切って世界をリセットする方式で、チュートリアルの誤差修正や、極端な結果でのケースでの救済などをおこなってます。

2010-01-08 14:25:25
芝村裕吏 @siva_yuri

この方式のいいところは、短時間でダイナミックな変化もみせられるし、不都合があっても期間をまてば復活するという保障をユーザーに与えますので、それで待つモチベーションができる、ところです。

2010-01-08 14:27:11
芝村裕吏 @siva_yuri

弱点は、ラッシュといいまして、超序盤にリスク最大で駒数増やして全面攻勢して、勝負をきめてしまう戦術に、打つ手がないことです。世界をリセットした直後は初期値にそうわけですから、この時このタイミングに限れば究極的な解法(攻略)が成立しえます。 まあ、こうなるとゲームの死ですね。

2010-01-08 14:29:22
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

データとは?経験ということでしょうか?何か、研究が…?

2010-01-09 11:46:51
芝村裕吏 @siva_yuri

@miyayou 私は世界中の全てのゲームを遊び、データ化し、モデル化してるんですよ。 ゲーム業界一の暇人として

2010-01-08 14:30:03
芝村裕吏 @siva_yuri

では、それらを回避するために状況的にリセットを減らしつつ、ユーザー満足度をあげるためにどうすればいいかというと、世界の終了条件をつけることなんですが、これはこれで、ある日神が降りてきて、はい世界終わり、またあそんでねーとかやられると、没入するヘビーユーザーほど、怒ります。

2010-01-08 14:32:33
芝村裕吏 @siva_yuri

では、どうしたらいいか。当然そこは芝村です。誰のデータも理論もないなら、自らつくるまで。 ということで、選び抜かれたユーザー1000人とともに、実際に実験しました。 今から3年ほど前の話です。

2010-01-08 14:34:25
芝村裕吏 @siva_yuri

さて。データ取りの結果、一つの事実がわかりました。ゲーム製作側が、ゲームの中で、プレイヤーの一員とすて動的シミュレーションにかかわるという、解決法なら、ゲーム製作側が魅力的で有能である限りにおいて、有効に機能するという点です。

2010-01-08 14:40:46
芝村裕吏 @siva_yuri

箱庭ゲームの究極の形の一つは、製作者自らが箱庭の住人として、プレイする。そんな形です、システム的に解説すると、要するにゲーム内でのシミュレーションとしての、納得いく介入や終末なら、まだ我慢も出来うるというわけです。

2010-01-08 14:42:39
芝村裕吏 @siva_yuri

分かりやすく言えば、動的なシミュレーションをプレイヤーに楽しい形で提供するには、今のところ変化する写像にあわせた柔軟な動きをするパーツがいる、ということです。将来的にはそのパーツはAIで埋められるのですが、現状では人間をつかう原始的な方法が、もっとも高い成績をあげています。

2010-01-08 14:44:44
芝村裕吏 @siva_yuri

将来のPS4や、現行機ならPS3やXBOX360でのスタンドアロンなRPG全般では、完全に動的なシミュレーションを指向しつつも、スタンドアロンであるがゆえに、そこまでいかない、いうならば限定的に動的なレベルで、この20年蝸牛の歩みを進めています。

2010-01-08 14:47:03