太陽磁場の反転は温暖化と関係あるの?

4月20日の各紙記事、太陽の北極と南極にN極、赤道付近に二つのS極が形成される「4重極構造」が現れつつある件について、温暖化との関わりを含めた報道が妥当かどうか、国立天文台の大石先生、京大で温暖化研究をされている五味先生のコメントをまとめました。 春日太一さん @tkasuga1977 と、荻上チキさん @torakare のコメント「<取>りにいくのは、あらかじめ欲しがっている<材>料だけ」問題 を追加しました
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国立天文台の大石雅寿先生のコメント。「新聞見出し」は煽りすぎ?

国立天文台 @prcnaoj

【太陽観測衛星ひので】国際研究チームは、ひのでの観測で、太陽の極域磁場の極性が予想より早く反転しつつあることを世界で初めて捉えました。これまでの太陽磁場の極性反転メカニズムの見直しを迫る重要な結果です。 http://t.co/RMyO3WMj #国立天文台

2012-04-19 16:10:03
大石雅寿 @mo0210

ひのでの例のネタ、記者発表したんだね。「太陽観測衛星「ひので」、太陽極域磁場の反転を捉えた」 http://t.co/eccVnH51

2012-04-19 23:20:52
橋本麻里 @hashimoto_tokyo

【科学】◆産経:太陽、北極で磁場反転か 「温暖化抑制の可能性」 http://t.co/OUhaWfRh ◆朝日:太陽が冬眠? 周期的活動に異変、地球に低温期到来か http://t.co/lCjahSFj 「過去に地球が寒冷化した時期の太陽の状況と似てくる可能性」

2012-04-20 08:33:12
大石雅寿 @mo0210

これ、科学の歴史始まって以来の出来事で、太陽内部でのダイナモ(内部のプラズマ流によって生じる電流)発生機構を理解できるチャンスと太陽研究者は千載一遇の機会と捉えています。温暖化に関連する部分はあくまでも副産物のようなもの。 @hashimoto_tokyo 太陽、北極で磁場反転か

2012-04-20 08:49:50
大石雅寿 @mo0210

この見出しは主要研究結果の内容とはだいぶ違う。太陽の磁場構造についての驚くべき結果が得られたというもの。 -- 太陽が冬眠? 周期的活動に異変、地球に低温期到来か http://t.co/Z3xVzTf7

2012-04-20 09:49:47
大石雅寿 @mo0210

(太陽の四重極磁場構造の件。プレスリリースするとの報告があった時にも、マスコミは温暖化に関連する部分をセンセーショナルに取り上げるから発表方法をよく工夫するように、とのお達しがあった。予想通りの取り上げ方なのが残念。)

2012-04-20 09:52:33
大石雅寿 @mo0210

(そもそも、温暖化 -- 気候変動 -- の原因が何なのか、については諸説ある。二酸化炭素増加説もその一つだし、太陽活動の変化説もその一つ。日本ではCO2説だけが取り上げられており、政治課題化してしまっているのが残念。)

2012-04-20 10:09:20
大石雅寿 @mo0210

@sakura_is @hashimoto_tokyo 太陽の磁場がどうやって発生するのか、はずっと謎でした。ダイナモ説が主流ですが、未だによく分かっていない。その謎の解明ができるかもしれないとすれば、研究者は車力になってがんばろうとします。

2012-04-20 10:12:01
大石雅寿 @mo0210

こちらの見出しはややマトモ。 -- 太陽:磁場が「4重極構造」に…地球、一時的に寒くなる?- 毎日jp(毎日新聞) http://t.co/1aGZLCxb

2012-04-20 23:20:34
大石雅寿 @mo0210

今回の太陽北極磁場の反転記事では、朝日新聞の見出しが最も煽り気味のものだった。毎日、読売、産経は磁場反転を全面に出しつつ「寒冷化?」を副に。担当者の力量の問題か。

2012-04-20 23:25:40
大石雅寿 @mo0210

太陽北極での磁性反転についてのオリジナル発表資料http://t.co/eccVnH51 。マウンダー極小期と似ているのでは、という記述は一番最後にちょっとだけ。常田さんの資料ではちょっと多めに説明している。過去との比較から寒冷化の可能性があると述べているに過ぎない。

2012-04-21 01:26:59
大石雅寿 @mo0210

(300年前には太陽磁場の測定はできていなかった。黒点数の測定は400年前からある。過去黒点数が少ない時期が長く続いた際には平均気温が低かった場合が多い。そういう意味での過去との類似性を指摘している。)

2012-04-21 05:05:58
大石雅寿 @mo0210

(過去数年間は、黒点数が極端に少ない時期だったわけで。)

2012-04-21 05:07:20

温暖化問題の研究者、五味馨先生のコメント

五味馨 @keigomi29

気候モデルによる過去の再現計算では、これまでに観測された太陽活動の変化は当然反映されています。太陽活動を含む自然の要因だけでは20世紀後半の気温上昇が説明できず、人為起源の温室効果気体を考慮すると観測された気温変化との一致が良くなる、というのがこれまでの気候モデルの知見です。

2012-04-20 09:05:48
五味馨 @keigomi29

また、将来予測について、今後太陽活動の低下が予測されるのであればそれを考慮して将来予測をやり直すでしょう。人為起源の温室効果は気温上昇にはたらき、と太陽活動低下は気温低下にはたらきます。気温が上がり続けるか、上昇が止まるか、さらに下降に転じるかはそれぞれの大きさによります。

2012-04-20 09:08:28
五味馨 @keigomi29

なお、いわゆる地球温暖化というのは「地球全体の平均気温」の「長期的な傾向」のことです。ある地域の毎年の気温は上下しますが、全体としてはだんだん上がっていき、実感としては「猛暑の年が多くなる」というような現れ方をします。

2012-04-20 09:12:36
五味馨 @keigomi29

なお、太陽活動(の指標である黒点数)と気温との関係については、国立環境研究所Webサイトに簡単な解説がありますのでこちらをどうぞ。http://t.co/gQHahD0S

2012-04-20 09:15:12
五味馨 @keigomi29

オーストリアの研究者による温暖化の影響研究ではスキー場の経営のことが取り上げられてました。

2012-04-20 09:17:52
五味馨 @keigomi29

自然起源だけだと気温変化を説明できず、人為起源の要因を含めると一致が良くなる、という話について、まずはIPCC・AR4の要約(PDF http://t.co/Mt2YKEc0)より、P11の図 SPM.4.を見て頂くと良いと思います。

2012-04-20 09:24:47
五味馨 @keigomi29

今予測されている程度の温暖化では、地球のすべての地域から雪が消えてしまうというようなことはありませんので、冬山登山が出来なくなるということはないでしょう。

2012-04-20 09:29:41
五味馨 @keigomi29

(仮にそうなったとしても、雪がないだけで山はあるのですから、同じ山に夏装備で登ればいいんじゃないですかね)

2012-04-20 09:30:20
五味馨 @keigomi29

なお付言しておきますと、私が出会った範囲の温暖化研究者(活動家ではなくて研究者です)のほとんどは(全てではありません)、温暖化の「危機」を表現することについてとても慎重でした。オオカミ少年になりたくないからでしょうね。私もそうです。

2012-04-20 09:32:19
𝑷𝑲𝑨 @PKAnzug

マスコミの人は別に専門家じゃなくてもいいけど、相手が自分の知らない世界のことを語っているという認識は持っていてほしい。取材前から方向性を決めておいて、取材対象にそれに近いことを言わせようとする(時には言ってなくても言ったことにする)なんて傲慢の極みですよ。

2012-04-19 10:23:34