勝川さん出演「復興サポート・三陸から漁業は生まれ変わる~岩手・陸前高田市広田町~」書き起こし・ほぼ完全版

4月22日(日)にNHK「明日へ-支えあおう-」で放送されたものを文字起こししています。 出演:勝川俊雄(三重大学准教授) 迫田朋子ディレクター
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とし @toshihiro36

<ナレーション> ここは三陸の沿岸、太平洋に突き出た広田半島。黒潮の海を臨む陸前高田市広田町です。入江ごとの小さな港で人々は漁業を生業に暮らしてきました。去年3月11日、ここを大津波が襲いました。半島に点在する漁村は波にのまれ壊滅、300を超える家そして50人以上の命が失われた。

2012-04-22 10:33:47
とし @toshihiro36

<ナレーション> あれから1年、現在の広田の町です。道路や住宅の復旧工事が少しづつ進められています。一部の浜ではようやく漁業が再開されていました。養殖のワカメです。沖合いでは毛ガニ漁も始まりました。漁師たちはわずかに残った道具と船を使い、漁を続けています。

2012-04-22 10:39:34
とし @toshihiro36

<ナレーション> しかし、この先漁業で生計をたてていけるのか将来は見えていません。

2012-04-22 10:41:07
とし @toshihiro36

漁師:これから、はたしてこの海がどうなるか。これから私の後を継いで、うちの息子が漁師で生きていけるのか…そこらがやっぱり不安ですよ。

2012-04-22 10:44:08
とし @toshihiro36

迫田:ここは広田町のメインだった漁港ですが、とても使える状態じゃないですね。

2012-04-22 10:46:39
とし @toshihiro36

勝川准教授:そうですね。津波の被害もそうなんですけれども、地盤沈下で土地全体が沈んでしまって満潮のたびに水につかってしまうとかね。そういう場所も少なくないんですね。津波で9割ぐらいの漁船が流されてしまって、今は残った数少ない船と…

2012-04-22 10:51:32
とし @toshihiro36

勝川:あとは日本全国からかき集めてきた中古の漁船を使って、みんなで共同で…少ないものをシェアしながら、なんとか作業をしているような状況ですね。

2012-04-22 10:54:05
とし @toshihiro36

<ナレーション> 三重大学で水産資源の保護や日本の漁業のあり方について研究している勝川俊雄さんです。これまでノルウェー・カナダなど世界各国の漁業の現状を調査、日本の漁業改革についても提言してきました。震災後はいち早く被災地に足を運び、漁師たちの声に耳を傾けてきました。

2012-04-22 10:58:38
とし @toshihiro36

<ナレーション> 最近、勝川さんの元には相談のメールが数多く届きます。その中に広田町からのメールもありました。将来に対する不安、こうした声に応えるため勝川さんは広田町に向かうことにしました。

2012-04-22 11:02:23
とし @toshihiro36

<ナレーション> 漁獲量の低迷や後継者不足などこれまで抱えていた課題が、震災で一気に加速したという勝川さん。しかし三陸の豊かな海がある限り、漁業再生のチャンスはあるといいます。

2012-04-22 11:05:35
とし @toshihiro36

迫田:被災地に全国から智恵を集めて住民たちとの話し合いの場を設け、再生への道を探る復興サポート。今回は陸前高田市広田町です。漁港、作業場、船などの復旧が進まないなか、沿岸漁業や養殖を再開した漁師たちがいます。

2012-04-22 11:10:03
とし @toshihiro36

迫田:しかし、どういう漁業を目指せばいいのか答えはなかなか見つかりません。復興サポート、今回は三陸の漁業のあり方がテーマです。

2012-04-22 11:12:06
とし @toshihiro36

<ナレーション> 3月(25日)広田町の公民館で、勝川さんと漁師たちとの話し合いの場が設けられました。 会場に集まったのは、地元・広田の漁師やその家族、沿岸で漁をしている人、牡蠣やワカメの養殖をしている漁師もいます。

2012-04-22 11:17:59

ここから話し合いの会場

とし @toshihiro36

勝川:私は三重大学で水産の資源管理の研究をしています。ただ、ここ何年かは日本の漁業が衰退しているということで…これをなんとか活気を取り戻してほしいということで、さまざまな取り組みを行っています。

2012-04-22 11:21:53
とし @toshihiro36

勝川:特に津波以降ですね、震災によってこれまでのものを失ってしまった。それでどうせ作るんだったら、未来につながるものをという声が…いままで来なかったものが、僕のところにたくさん来てるんです。そういう意味では漁業を変えたい、漁業を変えようという当事者の声が非常に高まってます。

2012-04-22 11:27:35
とし @toshihiro36

勝川:きっとこのやり方を変えていくことによって、今の漁業をより魅力的なものに変えていくことはできると思うんです。ぜひこの土地の漁業をより魅力的に、そしてよりいい状態で次の世代にバトンタッチできるような形で復興していく。

2012-04-22 11:31:21
とし @toshihiro36

勝川:そのために我々に何ができるかということを、一緒に考えていきたいと思います。

2012-04-22 11:32:54

会場でVTRが流れます

とし @toshihiro36

<ナレーション> 漁業をどのように変えていくのか。勝川さんはまず漁師たちと一緒に現状を確認することにしました。広田町で毛ガニ漁をしている鳥羽喜久男さん(66)です。港から船で1時間、水深200mに入れておいたカゴを次々に引き上げます。この日獲れた毛ガニはおよそ20キロ。

2012-04-22 11:38:01
とし @toshihiro36

<ナレーション> 鳥羽さんは獲れたカニを全て市場に出荷しています。販売はすべて市場まかせです。鳥羽さんは漁で忙しく、自分で売り先を見つけたり販売したりする余裕はありません。ここで鳥羽さんの仕事は終わり。すぐに市場を後にします。

2012-04-22 11:42:07
とし @toshihiro36

<ナレーション> 朝6時、仲買人たちが市場にやってきました。鳥羽さんたちが水揚げしたカニや魚をじっくりと見て品定めをします。 セリが始まりました。鳥羽さんの20キロの毛ガニについた値段は3万円。小さなカニ一匹あたりにすると150円にしかなりません。

2012-04-22 11:48:12
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