トンデル先生の本音
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その「妥当なものさし」を自分で判断する際には、やはり「正しい」知識が必要で、その際に私は安斎氏の著作が重宝した、という意味で薦めたかったのです。何が「正しい」かの判断が人によって異なるの点は、結局、色々な意見に触れ、それぞれの根拠を自分で判断していくしかないかな @buvery
2012-04-22 20:44:46@kono_chiha @buvery 「リスクがある」ということと「リスクが大きい」ということは違う話ですので、仮にリスクが有意であったとしても相対的に小さなリスクかもしれない。だから、他の要因を天秤にかけた上で行動を決める。トレードオフの中での最適化は経済学でも基本テーマです
2012-04-22 21:05:15@kono_chiha @buvery 「問題は量でしかも閾値がないって、判断難しいから」という部分に共感します。どう人に伝えるか、理解を手助けするか、という点で皆さん苦労されているのですね。私はなかなか役に立てませんが。
2012-04-22 21:08:03一般的な話として、「リスクがある」ということと「リスクが大きい」ということは違う話ですので、仮にリスクが有意であったとしても相対的に小さなリスクかもしれない。だから、他の要因とそれとを天秤にかけた上で行動を決める。トレードオフの中での最適化は経済学でも基本テーマです。
2012-04-22 21:12:18「有意かどうか」と「インパクトの大小」ですが、実証で有意な結果が出て「やったー」と喜んで指導教官に報告したら「インパクトの大きさは?」と問われ、実は非常に小さかったという経験が何度かあります(笑)。この点は2ヶ月ほど前にトンデルさんと昼食をした際にも話題になりましたが後で書きます
2012-04-22 22:44:09国立社会保障・人口問題研究所の『海外社会保障研究』という雑誌【特集:スウェーデンの社会保障―グローバル化経済の中での苦悩と挑戦―】で、「1990年代以降の労働市場政策の変化と現在の課題」というレポートを書かせてもらいました。最新号に掲載されています。
2012-04-23 19:16:381)3月にマーティン・トンデル氏と食事した。ヨーテボリ大学医学部(サールグレンスカ大学病院)労働環境医学科の研究者だが、この大学は各学部が街中に散らばっているため、私と同じ大学とはいえ会う機会は全くなく初対面。私の名前はスウェ大使館から聞いたらしく、私の翻訳本が一部欲しいとのこと
2012-04-24 07:09:372)昼食を食べながら、彼の論文の統計手法について話が弾んだ。面白かったのは疫学研究で使う用語と経済学で使う統計手法(計量経済学)の用語がかなり違うこと。例えば私がSDの大小の話をすると彼が「CIの広さのことね」とか。逆にconfounding factorは計量経済学では別の用語
2012-04-24 07:11:393)バズビー氏のことも当然ながら話題にのぼった。研究を勝手に利用されていることはトンデル氏も知っており、相当怒っていた。バズビー氏は彼を自分の活動に関与させようと何度か接近してきたが、興味は全くなくその都度断ったという。私が「彼を研究者だと思うか?」と尋ねると大笑いしていた
2012-04-24 07:12:424)ただ、トンデル氏は日本で自分がバズビーの政治活動と同一視されていることまでは考えが及んでいなかったようで、かなり驚いていた(私自身も恥ずかしながらそれを認識したのは昨年末)。今年1月の日本への招待に応じたのは日本そのものと震災後の状況に関心があったからとのこと
2012-04-24 07:13:525)彼は「日本での講演では、自分の研究結果はあくまでスウェーデンに妥当するものでそのまま福島のケースに当てはめて××人の被害者が出る、とは言えないことを強調した」と言っていた。また「私の研究をもとにバズビーが何か言っていても、それは彼に尋ねて欲しい」とも言っていた
2012-04-24 07:15:176)現在は2004・2006年の論文のフォローアップとして新たな論文を書いているとのこと。低線量の疫学研究が抱えるジレンマは「影響があったとしてもオーダーが小さいので膨大なサンプルが必要となるが、逆にサンプル数が多いと個別のデータの質が落ちCIが大きくなってしまう」ことらしい
2012-04-24 07:16:317)「低線量でも影響がある!という結論を得るのが目的ではなく『影響がない』という結果になってもそれでよい。スウェーデンに詳細なデータがあることを生かして、まだ良く分かってない低線量の影響を実証するのが私の関心」と。私が「有意であることとインパクトの大小は別問題だし」と言うと同意
2012-04-24 07:18:118)私が彼の論文を最初に読んだ時に気になったのは、人口密度を加味したときにCIが大きくなるのは、人口密度が比較的高い沿岸部での沈着が偶然多かったために地表汚染と人口密度という2つの説明変数の相関が高いから(多重共線性)ではないかという点。彼は否定はせず。(相関係数を聞きそびれた)
2012-04-24 07:19:399)日本講演で彼が「ガン以外の低線量の影響調査はスウェでされていない」と言っていたので、3人の経済学者の論文Almond, Edlund & Palme (2009)を知っているか?と訊くと「Working Paperの段階で読んだことはある」と。(Palmeはストックホルム大)
2012-04-24 07:22:0010)しかし、2009年にQuarterly Journal of Economicsに掲載されたことは知っていなかった。(QJEは経済学ではトップクラスの雑誌) 分野が違うのでPubMedでカバーされていないかららしい。
2012-04-24 07:25:5311)以上がトンデル氏との昼食の報告。私は何も彼を擁護したいとか、そういう訳ではありません。それ以前に会ったこともなかったし、共通の利益があるわけでもないし。ただ昨年4月に彼の論文を読んでから、研究者としての彼に少し興味は持っていた。結果は私の予想通りで、それ以上でも以下でもなく
2012-04-24 07:27:0812)ちなみに、彼の研究結果はまだスウェーデンのリスク評価には使われていない。しかし、彼もそれは当然だと考えており、「リスク評価というのはたった一つではなく複数の研究結果を根拠にすべきだから。まだ頑強性(robustness)が試されたわけではない。他の要因の影響も排除できない」
2012-04-24 07:28:4213) トンデル氏は「だから継続した調査研究を続ける必要がある。日本での今後の調査にも関心がある。できるなら協力したい」とも言っていた。
2012-04-24 07:30:0214)チェルノブイリ事故のためにガンによる死者がどれだけ増えたかについてスウェーデン放射線安全庁の公式推計は約300人。一方、トンデル氏の研究結果に基づくと1000人強だが放射線安全庁は懐疑的。(私の翻訳本も彼の研究に言及していないが、それは原書が02年でトンデルの研究以前だから
2012-04-24 07:31:3415) とりあえず、これで終わりにします。今振り返ると、間違いが一つ。2)でSDと書いたのはStadard Errorの誤りです。Standard Deviationではありません。ごめんなさい。
2012-04-24 07:35:08@glasscatfish レスポンス、ありがとうございます。そうなんですよ。ごく普通の、研究活動に真摯な40代半ば(←確かではないけど印象はそんな感じ)の研究者、という印象でした
2012-04-24 08:00:14【補足追加】標準誤差と標準偏差の使い分けかた(ブログ記事) http://t.co/GCrBqqmM 標準偏差(SD)は観測データの散らばりを意味、記述統計を行う場合に使用。標準誤差(SE)は標本の散らばりを意味、母数を推測する際のずれとして推測統計を行う場合に使用。
2012-04-24 08:40:58@yoshisatose トンデル先生関連のツイートですが、すでにまとめが一つあるのも拝見いたしましたが、どうも単独であったほうがよいように感じたので、まとめさせていただきました、よろしいでしょうか?http://t.co/fsW15aZE
2012-04-24 08:32:22