信頼できない語り手と叙述トリック
映画の「叙述トリック」
小説の方もそうだけど、『探偵映画』で書いた「映画の叙述トリック」っていうことの意味がいまいち分かってない人も多そうなので、「叙述トリックを使った映画」をちょっと思い出しつつ並べてみます。(ミステリ映画が多いけどそうとは限らないので注意)
2012-04-29 22:50:20【叙述トリックを使った映画】『悲愁』『追いつめられて』『マッドマックス2』『サン・ロレンツォの夜』(この辺は『探偵映画』にも書いた)『悪魔を憐れむ歌』『アフタースクール』『アヒルと鴨とコインロッカー』
2012-04-29 22:55:48なんでこんなことを書いてるかというと『ファイト・クラブ』を叙述トリックと思ってる人をネットで見つけたせい。以前ある人が『向日葵の咲かない夏』を「叙述トリック」と書いてたのだけど、同種の間違い。というか言葉の「誤用」と言うべきか。→
2012-04-29 22:59:25→割と多くの人が「物語を根底からひっくり返されること」≒「叙述トリック」と呼んでるふしがあるが、そうではない。「叙述の仕方」にトリックがなければ叙述トリックでないのは当然。『ファイト・クラブ』は「ウソ」の映像があるわけで叙述(撮影)で騙してるわけではない。『向日葵』も同様。→
2012-04-29 23:05:42→もちろん、「これは叙述トリックではない」なんていうのは作品に対する批判・批評ではないし、面白いか面白くないかとは別の問題。「密室トリック」なんか出てこないのに「密室トリックが素晴らしい」って書いてあったら読者は首をひねるだろ、という話。
2012-04-29 23:10:35@sukiyapotes はて、そうかしら。小説でも一人称叙述だと地の文の「嘘」はあり、それを使った仕掛けは「叙述トリック」だと認識してますが。「言い落とし」「語り落とし」はOKだけれども、「嘘」になるとダメということかな。「嘘」と「誤認識による虚偽の記述」の差異は?
2012-04-30 00:16:27@sukiyapotes ……というわけで、「嘘」というひと言を切り口にして分類するのは少々分かりにくいのでは、と。じゃあどう定義する? と訊かれたら、「ちょっと考えさせて」になっちゃいますが。
2012-04-30 00:19:01先ほど「ウソを書くのは叙述トリックとは言わない」と書いたのは三人称客観描写において事実と異なる描写をした場合の話です。映画においては明確なサインがない限り基本的には常にそれは神の視点であり「現実」のはずなので後から「あそこは主人公の妄想でした」というのは叙述トリックとは言えない。
2012-04-30 00:23:21ぐちゃぐちゃにするだけでひっくり返さへんがな!RT @toriotoko010: (もんじゃ焼きがよかったのかな…) RT @sukiyapotes: 何でやねん!無理矢理名前つけんでよろし。RT @toriotoko010: お好み焼きトリックって呼べばいいですか。
2012-04-29 23:30:36『ユージュアル・サスペクツ』は叙述トリックではありませんが、映像のウソをついてないので(彼の「説明」は映像化されていますが、それが事実だとは言ってないので)『ファイト・クラブ』とは違います。RT @ujino8888: ユージュアル・サスペクツ とかもファイトクラブ側ですよね?
2012-04-29 23:25:29だからそれが誤解なんです。『ファイト・クラブ』同様『パーフェクト・ブルー』は「叙述トリック」ではありません。妄想を現実と一緒にしているからです。RT @ya1212: アニメで今敏「パーフェクト・ブルー」が今までに観た「叙述トリック」の映画で一番素晴らしいとおもいました
2012-04-29 23:36:51すみません。もう十年以上も前のことで、ぼくの読解ミスかもしれません。幻覚と現実の区別があったのなら「ウソ」とは言えないかもしれません。RT @ya1212: 「パーフェクト・ブルー」に「主人公が幻覚を見るシーン」はあっても観客にウソをついているシーンがあるとはおもいません
2012-04-29 23:54:25平たく言うと、小説であれ映画であれ「叙述トリック」というのは「いかにウソをつかずに読者(観客)に間違ったイメージを植え付けるか」という「テクニック」であって「プロット」ではないのです。同じプロットでも、明確なウソをついてしまったらそれは「叙述トリック」とは言いません。
2012-04-29 23:40:16そういうことです。RT @obuken2nd: 映画などで、主人公とその主人公が妄想で見ている人物が一緒に映っているようなシーンは「嘘」なので叙述トリックではない、という事でしょうか。
2012-04-30 00:39:36回想部分が「証言」であるものは、観客は最初から嘘がある可能性を考えているので、「映像の嘘」ではありませんし叙述トリックでもありません。RT @numasaki: ユージュアルサスペクツや閉ざされた森のような回想系の視点でのごまかしは叙述でしょうか?
2012-04-30 01:44:56『フラクション』『アナモルフォシスの冥獣』は極めて珍しい「叙述トリック漫画」ですね。RT @captain_more: そういう意味では駕籠真太郎の『フラクション』なんかは「静止画しかない」という漫画の特徴、情報の欠落を上手く使った「漫画の叙述トリック」と言えるかもしれませんね。
2012-04-30 15:13:11「シックス・センス」は難しいですね。あれは超常現象を肯定した上で、嘘をつかないよう気を使っています。RT @Konkonmura: シックス・センスは叙述トリックだと思いますが、これを読んで少し混乱しました。でもあれは三人称客観描写ではないのですから、該当しませんね。
2012-04-30 13:28:58「アザーズ」とか「シックスセンス」、「アイデンティティ」あたりは線引きが難しいですかね。文章より映像向きのネタだとは思うんですが。
2012-04-30 15:00:49@aspirin_child 「アザーズ」「シックスセンス」は叙述トリックと言ってもいいような気はする。「アイデンティティ」入れると夢オチ全部叙述トリックに入れないといけなくなるような気が……。
2012-04-30 15:04:33@sukiyapotes 「アイデンティティ」は「病院から到着が遅れてる」といった、一応現実と精神世界を視聴者に混同させようという工夫があるので、部分的には叙述的なテクニックが使われているという印象です。
2012-04-30 15:09:20@aspirin_child 「混同させようという工夫」じゃなくて、「嘘をつかずに誤導する」方の工夫がない、ということです。「頭の中でした-」と「夢でした-」は同じだから。
2012-04-30 15:15:57いくつかの「叙述トリック作品」を読んで驚いた後、同種の驚きを与えてくれた作品のことを「叙述トリック」と呼びたくなる気持ちは分かるのです。原作を読んでいないので分からないのですが、『ファイトクラブ』を観たとき、「もしかしたら小説は叙述トリック使ってたかも?」と思ったりもしました。→
2012-04-30 14:49:09