ICRP publ.103 甲状腺の名目リスク係数について

ICRP publ.103での組織荷重係数を設定する際の第1ステップである甲状腺の名目リスク係数についてまとめてみました。 「低年齢時の甲状腺被曝による生涯発癌リスクの増大について」 http://togetter.com/li/302060
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MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

ICRP publ.103では、 http://t.co/ASOWpkpN の表の値について、約30ページにわたって解説されている。

2012-05-09 06:59:12

名目リスク係数によるリスクの見積もり

MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

http://t.co/ASOWpkpN 全年齢集団における甲状腺の名目リスク係数は33だが、就労年齢集団(18~64歳)ではその値は9となっている。これは18歳未満の子供についてはその値は100程度になることを意味する。またこれらの値はDDREFを2として算出されている。

2012-05-06 11:18:43
MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

https://t.co/jvDTIAeO 名目リスク係数が100というのは、その臓器の被曝量(等価線量)が100mSvの人が1万人いる場合、生涯でその臓器のがんを発症する人が10人増えるような値です。

2012-05-06 14:58:19
MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

1MBqのI131を5歳児が経口摂取したとすると、その甲状腺等価線量は2.1Svになります。http://t.co/09h6uj8b p.21 子供の甲状腺の名目リスク係数を100とするなら、生涯で甲状腺がんを発症する数が1万人当たり210人も増えるような線量です。

2012-05-06 20:24:37
MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

1MBqのI131を成人が経口摂取したとすると、その甲状腺等価線量は0.43Svになります。http://t.co/09h6uj8b p.21 その甲状腺の名目リスク係数を9とするなら、生涯で甲状腺がんを発症する数が1万人当たり約4人増えるような線量です。

2012-05-07 20:51:08
MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

https://t.co/jvDTIAeO https://t.co/7O0oFeco https://t.co/7QBVWP54 幼児と成人では同じBq数のI131を経口摂取したとしても、生涯の甲状腺がんの発症リスクは前者のほうが後者より50倍程度大きくなることがわかる。

2012-05-07 21:00:07

名目リスク係数の算出ステップ

MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

ICRP publ.103での名目リスク係数の算出ステップ ①放射性関連がんについて、生涯がん罹患リスク推定値を決定する。14の臓器又は組織に対して、男性と女性の生涯過剰がんリスクをERRとEARの両モデルを用いて推定し、ついで、男女にわったって平均した。

2012-05-09 07:09:39
MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

ICRP publ.103での名目リスク係数の算出ステップ②線量・線量率効果係数(DDREF)を適用する。生涯リスク推定値は、DDREFを考慮して2倍だけ下方に調整された。

2012-05-09 07:13:25
MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

ICRP publ.103での名目リスク係数の算出ステップ③リスク推定値を集団間で転換する。各がん部位についての放射線リスクを推定するため、ERRとEARによる生涯リスク推定値の加重を定め、ベースラインの異なる集団で一般化するために合理的な根拠を提供した。

2012-05-09 07:17:22

(甲状腺の場合、ERRモデルとEARモデルによる生涯リスク推定値の加重は100%:0%とされているので、ERRモデルの推定値がそのまま採用されたことになる)

MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

ICRP publ.103での名目リスク係数の算出ステップ④これらの重み付けされたリスク推定値は、7つの西欧人とアジア人の集団に適用され、平均化され、 http://t.co/ASOWpkpN に示される名目リスク係数を提供した。

2012-05-09 07:28:18

名目リスク係数を算出する際に用いられたERRとEARについて

MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

名目リスク係数を算出する際に用いられたERRとEARは、男女それぞれについて被曝年齢と到達時年齢の関数とし、被曝時年齢に対しては指数関数で、到達年齢に対してはべき乗関数でフィッティングされている。 ERR(性、被曝年齢、到達年齢)、EAR(性、被曝年齢、到達年齢)。

2012-05-09 18:35:04
MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

ICRP publ.103 甲状腺がん罹患率に基づくERRモデルにおける係数: 30歳での被曝による70歳での1Gy当たりERR 男0.53 女1.05、被ばく時年齢10年増加ごとのERRの変化 -56%、ERRが到達年齢の何乗で変化するか 0.00、女性と男性での比 2.00

2012-05-09 15:41:21
MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

同 甲状腺がん罹患率に基づくEARモデルにおける係数: 30歳での被曝による70歳での1万人当たり年当たり1Gy当たり過剰数 男0.69 女2.33、被ばく時年齢10年増加ごとのEARの変化 -24%、EARが到達年齢の何乗で変化するか 0.01、女性と男性での比 3.36

2012-05-09 15:38:30
MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

甲状腺の場合、ERRは到達年齢0.00乗で、EARは到達年齢0.01乗で変化するとなっているので、いずれも到達年齢にはほぼ依らないとされている。

2012-05-09 18:39:46
MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

https://t.co/GtOQ8Rwf 被ばく時年齢10年増加ごとのERRの変化が-56%なので、20歳での被曝による70歳での1Gy当たりERR 男1.19 女2.39、10歳での被曝による70歳での1Gy当たりERR 男2.71 女5.42 となる。

2012-05-09 15:52:01
MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

https://t.co/UPxLUJHV 同様に、20歳での被曝による70歳での1万人当たり年当たり1Gy当たり過剰数 男0.91 女3.07、10歳での被曝による70歳での1万人当たり年当たり1Gy当たり過剰数 男1.20 女4.03 となる。

2012-05-09 16:02:04

ERRモデルによる甲状腺被曝時年齢が0歳の場合の1Gy当たり10万人当たり年当たりの甲状腺がんの発症数の見積もり

MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

アジア人男性の年齢別の甲状腺がん罹患率(10万人当たり1年当たりの症例数) 0歳から49歳まで5歳間隔では、 0.00、0.02、0.23、0.59、0.74、0.99、1.16、1.67、2.15、3.17

2012-05-09 20:24:29
MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

アジア人女性の年齢別の甲状腺がん罹患率(10万人当たり1年当たりの症例数) 0歳から49歳まで5歳間隔では、 0.00、0.18、0.55、1.54、3.26、3.84、5.74、6.78、10.45、13.31

2012-05-09 20:27:41
MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

アジア人男女平均の年齢別の甲状腺がん罹患率(10万人当たり1年当たりの症例数) 0歳から49歳まで5歳間隔では、 0.00、0.10、0.39、1.04、2.00、2.42、3.45、4.23、6.30、8.24

2012-05-09 20:34:35
MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

ERRモデルでは、 0歳での被曝による70歳での1Gy当たりERRが 男6.15 女12.3。それぞれhttps://t.co/Ip5WU978 https://t.co/8ZuFaBJc にかけることで、1Gy当たり10万人当たり年当たりの過剰な甲状腺がんの症例数が見積もれる。

2012-05-09 20:50:38