佐々木隆治氏(マルクス研究者)が『経哲草稿』について語る

新進気鋭のマルクス研究者、佐々木隆治氏が『経哲草稿』についてツイートしています。『経哲草稿』の持つ意義とは何か。
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marx kenkyu @marukenkyu

編集問題で言えば、実は経哲草稿のほうが問題だと思う。ほんらい、抜粋ノートの評注が長くなったものだから、抜粋ノート巻と分離せずに同じ巻に納められるべきだった。ところが現在は経哲は一部、ミル評注は四部ということになっている。これが経哲の性格をわかりづらくしていると言えよう。

2012-04-08 16:16:02
marx kenkyu @marukenkyu

この点に関してはユルゲン・ローヤーンがつとに主張しているところである。最近のローヤーンの文献学的検証についての論文が夏頃出版されるマルクスの抜粋ノートをテーマにした本に収録されるので、ぜひ参照されたい。

2012-04-08 16:18:00
marx kenkyu @marukenkyu

今回、経哲を読み直していて思ったことは、疎外された労働が私的所有を生み出すという着想はたしかに偉大であるが、しかし、なお抽象的な哲学的なシェーマにとどまってしまっているように思える。疎外という概念を使うことで関わりの説明が抽象的なものにとどまっている。

2012-04-11 14:54:05
marx kenkyu @marukenkyu

『経哲草稿』はマルクスの経済学批判の生誕地である。しかし、まさに生誕地であるがゆえに、さまざまな思想が混合しており、のちにマルクスが明確に批判することになる理論との対立に無自覚である。それがたとえばリカード評価の違いなどにあらわれることになる。

2012-04-12 22:15:11