Studygift一連の騒動に対する佐々木俊尚さんの見解まとめ

Studygift一連の騒動に対して佐々木俊尚さんが連投していたのでまとめました。
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佐々木俊尚 @sasakitoshinao

Studygift問題について再度投げます。一連の議論を見ていて思うのは、個別包摂と社会包摂がごっちゃになってしまっていませんか?ということ。

2012-05-26 11:09:56
佐々木俊尚 @sasakitoshinao

社会包摂とは生活保護などの公的扶助をはじめ、誰もが平等に享受できるセーフティネット。個別包摂は、個人的なつながりの中でのセーフティネット。

2012-05-26 11:10:12
佐々木俊尚 @sasakitoshinao

隊長の「就学希望児童助成を軽いノリでやるな」という記事もそのひとつで、社会包摂としてはこの視点はそうだろうと思う。しかし個別包摂にまでそれを求めるのか?ということ。/家入一真さんの例の件で願うことなど: やまもといちろう http://t.co/DN4MTIyU

2012-05-26 11:10:26
佐々木俊尚 @sasakitoshinao

個別包摂なんて、親戚のおいちゃんに金出してもらうのと同じレベルで、単にそれをネットのオープンな場所でやってるだけ。だから「出したい人が出せばいい」と私は書いたわけです。そういう家族単位、知人単位、ソーシャル単位の個別包摂集合体が、社会包摂を補完していく可能性があるから。

2012-05-26 11:11:33
佐々木俊尚 @sasakitoshinao

だから個別包摂で、後から「なんだお前退学してたのか!」「男女関係からんでんじゃないの?」とかそういう話が出たとしても、おっちゃん(支援者)と姪(被支援者)の間で話せばいい話。「ほんまに復学する気があるのか?」「おまえ結婚しても学業続けられるんか」みたいな、そういうレベルの話。

2012-05-26 11:11:47
佐々木俊尚 @sasakitoshinao

そしてこの社会的包摂と個別の包摂の混同は、実のところ河本準一氏の生活保護騒動にもつながっている。「息子が支援(個別包摂)できるのに生活保護受ける(社会包摂)のはけしからん!」と。

2012-05-26 11:12:05
佐々木俊尚 @sasakitoshinao

河本氏にあなたは個別包摂を利用せよと求めている。だったらなぜStudygiftの坂口さんには個別包摂によって支援を受けることを許さないのか? 二つの問題はの根っこは、ここで実はつながっている。

2012-05-26 11:12:14
佐々木俊尚 @sasakitoshinao

Studygiftは皆が見える場所でやってるからけしからん、目に入らないところでやってくれという意見もあるだろう。まるで全員に門戸が開かれてるように誤解させるのはどうか、と。だがこうした個別包摂でさえも可視化されてしまうのがネット時代の恐ろしいところだ。

2012-05-26 11:12:39
佐々木俊尚 @sasakitoshinao

この可視化時代に、妬みや誹りや恨みの対象となるありようはそこらじゅうに可視化されている。今までは知らないで済んでいたことが、全部見えてしまう。これはある意味たいへん苛烈な時代だ。

2012-05-26 11:12:49
佐々木俊尚 @sasakitoshinao

しかしこのような個別包摂の試みは今後も次々出てくるだろう。個人間送金が簡単になればさらに加速する。私はその多様化は社会包摂を補完するありかたとして否定すべきでは無いと思う。今回のStudygiftは拙速なのは事実だが、そういう試みの最初の小さな一歩にすぎない。

2012-05-26 11:13:58
佐々木俊尚 @sasakitoshinao

ネットを活用した個別包摂のセーフティネットに対して「うまくやりやがって」「詐欺だ」と怒る人たちは今後も増え続けるだろう。それは避けられない。たとえばこの記事などが典型だ。/仮に僕膣と学籍詐称が無くてもstudygiftは駄目だよな http://t.co/9Y0Ia9ce

2012-05-26 11:14:15
佐々木俊尚 @sasakitoshinao

無償のリスペクトが応酬されているだけの評価経済社会に留まっていれば、問題は起きなかっただろう。だが評価経済と貨幣経済が結びつくことで、評価=カネということが実現してきている。これは大きな波紋を投げ掛ける。

2012-05-26 11:14:27
佐々木俊尚 @sasakitoshinao

すべての人々が平等に包摂されるような時代は最早やってこない。そういう包摂は戦後社会でも平等幻想でしかなかったが、その幻想さえも剥ぎ取られる時代になってきている。

2012-05-26 11:14:40
佐々木俊尚 @sasakitoshinao

だからこの手の問題への怨嗟は今後もなくならないだろう。しかし怨嗟としてでなく、社会的包摂とは何かということをもう一度考えなければならない時期に来ている。

2012-05-26 11:15:05
佐々木俊尚 @sasakitoshinao

自らを助ける者が助かるだろう。しかもその「助かる」有り様は見えてしまっている。だったら自らを助けられる者だけが助かればいいのか? そして、自らを助けられない者をいったい誰が助けるのか?

2012-05-26 11:15:21
佐々木俊尚 @sasakitoshinao

これはコミュニタリアリズムとリバタリアニズムの対立にも繋がってる。だからここから本当に真っ当な政治哲学的な議論が始まるのかもしれない。そう期待したいけど。

2012-05-26 11:15:32