「ゼロリスク志向は避けるべき」ということについて
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ゼロリスク志向(Zero-risk bias)について社会心理学的に詳述したのは1999年のGowdaらにより、その後、心理学における意思決定のバイアスとしてBaronらが調査結果とともに記して以来一般化されています。
2012-06-14 13:34:15・リスクの割合を1%から0%にするのにかかるコストは、100%から10%にするコストよりはるかに高いが、人はコストを度外視してでもゼロリスクを求める非合理な意思決定をする傾向がある。
2012-06-14 13:34:36・人は相対的なリスクの絶対量を考慮せず、小さなリスクの割合を大きく下げることを求める傾向が有る。また人は100のリスクを10にすることよりも、1のリスクを0にすることを求める傾向が有る。
2012-06-14 13:35:08・「リスクを減らそう」とする行為は、その目標がゼロに近づくほど弊害(コストなど他のリスクの増大)が増え、結果として全体の"救える人"を減らす。その極型が Zero-risk bias(ゼロリスク志向)である。
2012-06-14 13:35:51つまり目標を「合理的に達成可能な数値」ではなく「ゼロ」とする行為は、結果として全体の"救える人"を減らす危険性があり、その危険性はゼロに近づくほど増すということです。手段が目的化し、他のリスクの上昇を招くのです。
2012-06-14 13:36:42健康のため、感染のリスクをゼロにしようとして、予防的に抗生剤を濫用し、耐性菌によるリスクは増加したといえるでしょう。経済発展や生活の豊かさのため、電力の安定供給リスクをゼロにしようとして、原発のリスクが増加したとも言えるでしょう。
2012-06-14 13:37:34人はすべてのリスクを認識はできません。一つのリスクをゼロに近づければその過程で、他のリスクの増大に注意せねばなりませんが、そのリスクに必ず気付くことができるとも限らないのです。
2012-06-14 13:38:12これは「リスクを受容せよ」というのではなく、いわば被害やリスクを下げる際の注意点です。これを考慮しないと結果として全体の救える人(こと、もの)が減ってしまうから、です。だから対象がなんであれ「ゼロリスク志向は避けるべき」と言えるのです。
2012-06-14 13:39:04