ジョゼ・ボヴェ氏の問う非暴力直接行動の正統性

以下もご参照下さい。 『市民的不服従をめぐるやりとり』 http://togetter.com/li/331119
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Hideyuki Hirakawa @hirakawah

さっきからの市民的不服従の議論で思い出すのは、十年ほど前に来日して各地で講演したジョゼ・ボヴェhttp://t.co/YpC3UWeZ というフランスのオルタ・グローバリゼーション運動のリーダー的人物のこと。彼が常々言ってたのが「非暴力直接行動」とその「正統性」だった。

2012-07-02 00:40:17
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)ボヴェの経歴はhttp://t.co/YpC3UWeZ によくまとまっている。市民的不服従をまさに生きている人で、有罪経験も多数。直接話をすると優しい目をしたちょっと(いや、かなり)インテリな農家のオッサンである。

2012-07-02 00:46:07
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)ボヴェが非暴力直接行動で問うたことの一つは、世界貿易機関(WTO)に象徴される自由貿易体制の妥当性。99年のマクドナルド「解体」事件は、欧州が米国産ホルモン肥育牛肉の輸入を禁止したことに米国が報復として、仏産ロックフォールチーズに制裁関税を課したことへの抗議として行われた。

2012-07-02 00:51:13
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)ロックフォールチーズはボヴェが住んでる地域の特産なのだが、ただし、この抗議行動は、単にチーズに対する報復行為に怒ったものではない。経済最優先の自由貿易体制への抗議であり、だからこスローガンは「報復関税を止めろ」ではなく「世界は売り物じゃない」となった。

2012-07-02 00:56:49
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)そして、「世界は売り物じゃない」というスローガンに、世界中でそれぞれグローバル化の歪みや暴力と直面していた人々が共感し、99年WTOシアトル会議での巨大デモを経て加速した反(またはオルタ)グローバル化運動全体のスローガンとしても共有されていくことになる。

2012-07-02 01:00:58
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)その後ボヴェは、仏大統領選に出たりとか、あれこれあったあとで、現在は欧州議会議員となり、EU欧州委員会の農業・農村開発委員会の副委員長を務めるに至っている。http://t.co/dMUGXLVs

2012-07-02 01:06:14
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)で、最初に書いた「非暴力直接行動と正統性」に関するボヴェの話に戻ると、これを聞いて最初に思ったのは「日本人には分りにくい話だよな」ということ。「非暴力」といいつつ、その行為は法的には違法性を問われ、現に有罪判決も受けてるわけで、日本的には「非暴力」と見るのは難しいのでは、と。

2012-07-02 01:09:44
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)そこで重要なのがボヴェが再三強調してた行為の「正統性」。自らの行為の正統性を、法を超えて政治的な意味で世界に問い、仮に法的には有罪となろうとも承認を獲得する。そういう正統性をめぐるリスキーな行為を「非暴力」として「違法だが正統」と認める政治文化は日本では希薄すぎる。

2012-07-02 01:14:01
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)日本だとどうしても、そういうリスキーな行為領域の存在自体を認めず、主張・行為の意味が何であれ違法なものは違法であり、正統性も認めないという空気が支配的だと言える。実際、自分が司会をやった京都での講演会でも、「それって非暴力なんですか」という質問があったのだった。

2012-07-02 01:17:28
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)それに対するボヴェの答えは、「だからこそ正統性が大事なんだ」ということだったと思う。しかし、市民的不服従あるいは非暴力直接行動という正統性と合法性の狭間で行われるリスキーな行為領域を認めない日本の政治文化では、この解答自体が意味が通らないというかすれ違いだったように思う。

2012-07-02 01:20:42