『死霊解脱物語聞書』読中妄想感想文（上）

TAKASHINA,Tsunehiro @J_for_Joker

『死霊解脱物語聞書』ゲットしました。読むのが楽しみです。五反田のブックファーストで。『オアシスはどこにある？』は置いてませんでした(怒)けど！@KONITASeiji

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6人？ それも次々に死ぬ？ ちょっともうこの時点で疑わし過ぎでしょう、この旦那。『死霊解脱物語聞書』

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これは死んだ菊の母が累の事件を知っていたな。そして自分も与右衛門に殺されると思って菊に断片的な情報を吹き込んだのだろう。菊は未消化なままそれを抱え込んで発症。ってこれは推理小説じゃない！『死霊解脱物語聞書』

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菊の母は、与右衛門の田畑の不作や妻たちの早逝を累のたたりと解釈して伝えたのだろう。『死霊解脱物語聞書』

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目撃者情報をつぶさに知っていたあたりがやはり母から聞き伝えていた印象を強める。『死霊解脱物語聞書』

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さて。ここに至って不思議が生じる。名主・年寄を迎えた菊の態度と受け答えは、堂にいったものだ。テキストをそのまま受け入れるなら、菊はかなり教養があったのか？『死霊解脱物語聞書』

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年齢・性別・知識が元人格とかけ離れているところを見ると多重人格の症状も思わせる。あっ。菊は与右衛門に虐待を受けていたのか?!『死霊解脱物語聞書』

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回復した菊に村中の人々があれこれと聞くシーンは直前に読んだカリール・ジブラーンの『ザ・プロフェット』にそっくりで面白い。ただし菊は弘経寺との比較と、弘経寺で聞いたらしい法話（『往生要集』）以上の情報は言わない。つまり実際にはあの世体験はしていない。『死霊解脱物語聞書』

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さらなる妄想だが、地獄絵図のサディスティックな描写は、ひょっとすると弘経寺での法話（浄土宗だから『往生要集』の引用は多いだろう）ではなく、それをベースにさらに脚色して菊に聞かせたものがいるかもしれない。それは、例えば菊を虐待した者が虐待しながら言ったのかもしれない。

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だとすると、虐待中に解離を起こして、その体験を他の人格にゆだね、菊の基本人格は「自分はそれを他人が体験した地獄絵図として眺めた」と解釈しているのなら、ここでも本人は嘘をつく気はなく語っている可能性もある。『死霊解脱物語聞書』

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聞き書きの主体である残寿の飛び入りもとても面白いのだが（この人も菊が語るいささかセクシャルな妄想に刺激されてマゾヒスティックな秘孔を衝かれてしまったに違いない）、話がややこしくなるので残寿のことは後回しにする。『死霊解脱物語聞書』

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ありゃりゃ。せっかく綺麗なストーリーを書けたのに、菊はどうも注目を浴びることに味を占めてしまったらしい（無意識だろうけれど）。日が経つにつれ忘れられて行くことがたまらなくなり、「忘れられない仕掛け」を欲して、再び累を呼び出してしまった。『死霊解脱物語聞書』

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「石仏を立てろ」という累の要求はつまり「私の記念碑をつくって」という菊のおねだりに他ならない。内心、筋が通らんと思いつつ、前回の事件をそのまんま受け入れてしまった名主・年寄は理詰めで談判する。このくだりはかなり滑稽味がある。累（＝菊）うまくいかないとキレるし。『死霊解脱物語聞書』

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さあ、ヘンなことになってきた。石仏を作って回向もするが、村人を納得させるために名主・年寄コンビが思いついたのは、「じゃああの世の親族の消息を教えてもらうってことで人集めしよう」というプラン。集客プランとしては絶妙だったが事態はどんどんスラップスティック方面に。『死霊解脱物語聞書』

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「うちの親はどうしている？」と聞く村人に「〜〜地獄」「〜〜地獄」とやる気なさそうに返事をする累（＝菊）。ふざけんなと怒り出す村人。うまく交わす累（菊）。このテクニックは占い師と同じで言われた人は自分の（ここでは自分の親の）ことを言い当てられたと感じるのだ。『死霊解脱物語聞書』

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このやりとりを通じて累（＝菊）は石仏どころではない自らのポジションを見つけ出す。あの世に通じている者、地域の宗教的指導者だ。ジャンヌ・ダルクだ。というところで上巻に相当する部分が終わり。前篇の終わり方としても絶妙。おいしいインターミッション。『死霊解脱物語聞書』