あのダムには何かいた。

Shimizu Daisuke @deez_dai

そうだな。アレは夏にはちょっと早い、ちょうど今頃の話だったと思う。僕ら4人は狭いハッチバックの車にBBQの道具と花火を詰め込んであのダムへ出かけたんだ。

Shimizu Daisuke @deez_dai

夏真っ盛りの時期にはBBQを楽しむグループでにぎわうこのダムの周りも、日が沈むにつれて残ったのは僕らのグループだけ。ひとしきり花火も終わり、後片付けをしている時の事でした。

Shimizu Daisuke @deez_dai

「ねぇ？何アレ？」真っ暗なダムの湖面にヘッドライトに照らされた"何か"がぷかりぷかりと浮いているのです。「なんか、人みたいだね」　そんなわけないと思いながら僕たちは後片付けの手を早め車に乗り込んだのです。

Shimizu Daisuke @deez_dai

「ねぇ？その数字なに？」後部座席の子が車を運転する友人の脇でカウントッダウンを始めるターボタイマーを不思議そうな顔で見ています。

Shimizu Daisuke @deez_dai

（10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0）カウントダウンが0となると同時に車はエンジンを止めました。そんなことある筈ないのに。

Shimizu Daisuke @deez_dai

助手席に座っている僕以外の人達は気がついていませんでしたが、出発以来、ちょうど助手席の真上あたりを誰かが”トントン”というか"ぴちゃぴちゃ"と手のひらで叩く音が聞こえていました。

Shimizu Daisuke @deez_dai

みんな何か考えているようでしたが、車内は無言で、運転の彼は必死にエンジンをかけようとしていました。程なくして無事にエンジンもかかり、僕らは無事に帰路についたのです。そして翌日…

Shimizu Daisuke @deez_dai

運転手だった彼から電話がかかってきました。とにかく車を見てくれと。　洗車しようと車を見たところ助手席の上に無数の手の跡らしきものがあると…。

Shimizu Daisuke @deez_dai

さらにその後日。地方紙の片隅に「○○ダムで水死体」の記事を見つけた時には心臓が止まるかと思いました。彼らにはいまだ内緒にしています。完