「災害弱者と情報弱者」著者による補足解説(2012/7/23)
o0( ちょっとここ数ヶ月は尋常でない有様で、呟くヒマも無いのではありますが、いい加減に呟かないといかんので連投。
2012-07-23 01:11:31ということで)すっかり遅ればせながらの御報告ですが、@r_shineha @ki_chiro さんとの共著で、筑摩書房さんから次のホンを出させて頂きました。:『災害弱者と情報弱者: 3・11後、何が見過ごされたのか』 http://t.co/YTEtug4V 以下、補足解説。
2012-07-23 01:17:25今回のホンは、筑摩選書さんということもあり、学術よりの新書、くらいの位置づけ。また、敏腕編集者のIさんからお聞きした主要読者層は「50代〜の知的好奇心が強い層」で、またそれらの読者層は「震災後、『ネットの中にこそ真実がある!マスゴミはオワコン!』」と考えている方も多いとのこと。→
2012-07-23 01:21:15→なので、問題の切り口や書き方も、そうした方を意識しています(まぁ、高校生くらいのマスゴミ論を唱え始めたあたりの方にも適合するかも知れませんが)。逆に言うと、想定層でない方はフラストレーション感じることもあるかも。でも、そのあたりは仕方が無いので、ある程度割り切っています。→
2012-07-23 01:23:53→切り口については、同じ問題を捉えるうえでも、如何様にも切りようがあるわけで、そのあたりは著者の中で合宿もしながら議論していました。最終的にああいう形に落ち着きましたが、もちろん多くの反省や、アレで良かったのかな、と思う点もあります。新聞礼賛に捉えられたら困るなぁ、とか。→
2012-07-23 01:25:34→そして、本書がウリにしているデータ分析にしても、やってる本人達が、不定形の怪物のようなデータを生煮えで出すことに関し、巨神兵を見るクロトワさんのような焦燥感を抱きつつも、いや、いま出さなきゃいかんだろう、と、エイヤっと出したという部分もあります。→
2012-07-23 01:30:36→「思想・理論家はすぐにやってきて、もっともらしいことを根拠無く語る」、「データ分析屋は遅れてやってきて、まことしやかに誤りを正してみせる」的な流れは致し方がないとはいえ、そこを繋ごうという試みはもっとなされなければならないだろう、と考えていた…と言うとカッコつけすぎですが。→
2012-07-23 01:34:15→ですから「選書なので数式とか統計的な検定結果を余りしつこく書けなかった」という言い訳を差し引いても、まだまだ甘い部分があることは痛感しています。現在も私たちは、より精緻なデータの収集・分析を続けていますが、他の方々にも検証を重ねて頂き、どんどん修正を上書きして頂ければ幸いです!
2012-07-23 01:40:29o0( ホンに書ききれなかった背景、みたいな部分はこれくらいでしょうかね。何かあれば補足いただければ: @r_shineha さん・@ki_chiro さん
2012-07-23 01:43:18(ちょっと反省文になってしまったので、ウリの部分も)第一章で標葉さんがやっている分析は、データ・ジャーナリズムの実践に近いことがらです。この分野に興味がある方は、ぜひご覧頂きたいと思います。(内容については、このウラで @r_shineha さんが呟いているのでそちらを参照あれ)
2012-07-23 01:51:26第二章は間章的な位置づけですが、ここに指摘している「情報格差(digital divide)」という問題は、これからの議論の大きなキーワードになると考えています。この章で扱った内容については、多くの研究が出続けていますが、盛り込みきれなかったのが残念なところ。ここはまたいずれ。
2012-07-23 01:54:54第三章については、恐らく多くの方がもやもやと感じていただろう「震災後の情報空間の混乱」を、定量的な指標で測定し、それぞれのメディアの長短所の議論に繋がるデータを提出した、震災後・初の試みだろうと思っています。(このデータの導出に苦労した私のラボの皆さん、お疲れ様でした!)
2012-07-23 01:58:54.@J_Steman さんに連ツイしてくださった 『災害弱者と情報弱者: 3・11後、何が見過ごされたのか』の補足について更に補足をいたします。 http://t.co/5IK4q4S2
2012-07-23 01:43:57これは本の本文中にも書いてある事柄ですが、この本で指摘させて頂いた主たるメッセージはおおよそ次のようなものになります。(地震・津波・原発事故が多方面に様々な甚大被害をもたらした/もたらしているという前提の上で) (続く)
2012-07-23 01:45:55(承前) ①被害には格差がある、②被害を受けた地域においても地域ごとに様々な違い(とりわけ産業構造・経済的な差異など)がある、③3.11という複合的災害をめぐり「情報」をめぐる格差があった、④「情報」を巡る格差には二つの意味がある (続く)
2012-07-23 01:49:02「情報をめぐる二つの格差」⇒(1)「個々人の情報入手/利用環境の状況に付随する情報環境格差」、(2)「メディアにおいて取り上げられる/関心を持たれる情報・トピックスの格差」、⑤これらの状況を踏まえた上で、我々には「情報」をめぐる責任と権利がある (続く)
2012-07-23 01:50:43(承前) そして、何よりも、急速に「忘れられて」いく震災という現実から議論をスタートする必要があります。そして、地震・津波という話題は「原発事故」に呑まれてしまったのですが、その「原発事故」ですら、マクロに見た場合急速に話題に上らなくなっているという事実があります。 (続く)
2012-07-23 01:53:16(承前)こういった事柄について、ひとまず手に入るデータを元に、まずできる分析をした、ということになります。ただ、勿論、色々な限界や弱点があります。例えば、第1章における被害と経済のデータは、より詳細に検討するためにはより小さい区分での地域メッシュデータの検証が不可欠ですが(続く
2012-07-23 01:56:33(承前) そういったレベルでの分析は出来ていません。また、例えば第2章以降に行っているテキスト分析や内容分析についても、アプローチ上・手法上の決まりごとや限界(そこには長所も短所もあります)があり、筆者らの説明力量不足から、違和感を感じる方もいらっしゃるかと思います。(続く)
2012-07-23 01:58:23(承前) そして、なによりも、今回我々が採用した方法ゆえに落としてしまう、様々なミクロな文脈、語り、個別の体験(そして悲劇)がたくさんあります。そういったものを、全て切り捨てた乱暴な分析であるという誹りは免れないものです。(続く)
2012-07-23 02:00:15(承前)残念ながら、そういった限界、そして問題、前提があるモノでありますが、今後の震災・原発事故をめぐる批判、検討、議論の素材にしていただければ幸いです。そして、なにかしらの議論の土台の一助になるようでしたら幸甚であります。
2012-07-23 02:02:54