磯部先生による太陽観測衛星「ひので」運用解説

京都大学宇宙総合研究ユニットの磯部洋明先生が、ひので運用の実際を紹介してくれました。 とても興味深いツイートだったので、まとめさせて頂きました。 磯部先生のWebページ http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~isobe/ 続きを読む
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磯部洋明 ISOBE Hiroaki @isobehiroaki

今日からひのでの観測当番なので新幹線の中で太陽の様子と今週の観測計画をチェック。黒点、数はたくさんあるけどしょぼいのが多く、当面は一番大きな11532がターゲットになりそう。 http://t.co/ljvOljUC 

2012-08-02 07:29:35
磯部洋明 ISOBE Hiroaki @isobehiroaki

(半年に一回のひので運用解説)「ひので」には可視光望遠鏡、X線望遠鏡、極端紫外線撮像分光装置の3つ望遠鏡が搭載されています。 http://t.co/7x3eoQZb 各望遠鏡に一人ずつCheif Observer(CO)と呼ばれる週代わりの観測当番がつきます。

2012-08-02 10:11:49
磯部洋明 ISOBE Hiroaki @isobehiroaki

【ひので運用解説】COの仕事は、予定されている観測計画や太陽の状況を見ながら衛星にアップロードされる観測プログラムを作ることです。観測プログラムとは、何時何分にどんな観測をせよ(視野、波長、露出など)という命令の羅列です。こんなかんじ http://t.co/81EEnc1J

2012-08-02 10:17:53
磯部洋明 ISOBE Hiroaki @isobehiroaki

【ひので運用解説】太陽は一つだからずっと同じ観測をしたらいいと思うかもしれませんが、「ひので」は非常に細かく分解した観測ができる代わりに視野が狭いので、太陽の一部しか見られません。一番狭い可視光望遠鏡の視野だとこの図の赤い四角くらい。 http://t.co/ujZjTEK7

2012-08-02 10:20:20
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磯部洋明 ISOBE Hiroaki @isobehiroaki

【ひので運用解説】おまけに太陽面の状況は刻々と変わります。フレアを狙う観測ならフレアが起きそうな大きな黒点を狙うし、プロミネンスなど面白い現象が出ていればそこに視野を向けることもあります。今は黒点が沢山出ていてこういう時は迷います。 http://t.co/ljvOljUC

2012-08-02 10:22:04
磯部洋明 ISOBE Hiroaki @isobehiroaki

【ひので運用解説】「ひので」の観測提案は世界中から受け付けていますが、例え観測計画があっても大きなフレアが起きそうな黒点が出ればそちらを優先することがあります。最終的にどういう観測をするかの権限はCOにはあります。「ひので」は日米英欧の共同プロジェクトなので、

2012-08-02 10:25:06
磯部洋明 ISOBE Hiroaki @isobehiroaki

【ひので運用解説】COは米国や欧州の人も担当します。大学院生も多く参加してますので、大学院で太陽物理を専攻すれば、宇宙研に来て「ひので」の観測当番をやる機会があります(というか多分「COやらない?」とリクルートされる)。会議が原則全て英語なのでそこがちょっと大変みたいですが。

2012-08-02 10:27:45
磯部洋明 ISOBE Hiroaki @isobehiroaki

【ひので運用解説】僕は年に2回くらい、可視光望遠鏡のCOをやっています。というわけでひのでの広報業務をやってみました(ボランティアですよこれは)

2012-08-02 10:29:10
磯部洋明 ISOBE Hiroaki @isobehiroaki

明日衛星にあげる「ひので」のプログラム。今回はキャリブレーション用の観測が複数あり、結構作成がめんどくさかった。中身は見ても意味不明と思いますが、雰囲気だけでも見たい方はどうぞ→ http://t.co/37VETgX0

2012-08-04 02:27:19
磯部洋明 ISOBE Hiroaki @isobehiroaki

【ひので運用解説】前のツイートでアップした観測プログラムは正確にはひのでの3つの望遠鏡のうち可視光望遠鏡のものです。上から下に時間が流れ、左側に望遠鏡がやること(フォーカスの調整、観測開始、観測停止など)が書いてあります。真ん中のグレー/黒のグラフは取得するデータ量の推定です。

2012-08-04 15:41:21
磯部洋明 ISOBE Hiroaki @isobehiroaki

【ひので運用解説】科学目的のためには、できるだけ広い視野、短い時間間隔でデータを取得したいのですが、現状では衛星から地上のアンテナに転送できるデータ通信の量で取得できるデータの上限が決まります。科学目的ごとに最適なデータの取り方は違うので、そこがCOの工夫のしどころです。

2012-08-04 15:45:33
h_kasa @h_kasa

@isobehiroaki ありがとうございます。COという役割の存在も初めて知りましたし、プログラム例も興味深かったです。フレアなどは突然発生するので、COさんの予想も大切なのですね。プロミネンスなどが発生したら、急いで変更コマンドを送るのでしょうか。応答時間など気になります。

2012-08-04 17:33:18
磯部洋明 ISOBE Hiroaki @isobehiroaki

@h_kasa ひのでにコマンド送れるのは、内之浦のアンテナから可視になる時だけで、日に3回程度です(データのダウンリンクは世界中のアンテナ使います)。通常は観測プログラムは2日に1回程度しか送りません。どうしてもという時は予定外の運用することもありますが。

2012-08-04 21:36:46
磯部洋明 ISOBE Hiroaki @isobehiroaki

@h_kasa 実際には太陽面の状況が刻々と変わるので、リアルタイムに微調整したいという欲求はもちろんあります。「ひので」の次の太陽観測衛星では、静止軌道において専用アンテナも設け、リアルタイムに衛星にコマンドを送るようにしたい、といった議論も出ています。まだ全く未定ですが。

2012-08-04 21:38:33