松浦晋也が語る『原発事故と、逃れられぬ命の天秤』

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松浦晋也 @ShinyaMatsuura

「命を守る以上に大切なことはないのに、なぜ原発を稼働するか」と考える人は、原発の稼働がすでに「どの命を救うか」というカルネアデスの板的な選択になっていることに気づいてほしい。原発の過酷事故が実績として40年に一回として、電気が止まればこの夏にも確実に何人か何十人かは死ぬ。

2012-06-18 02:26:15
松浦晋也 @ShinyaMatsuura

交通事故で人が死ぬのと同じく、停電も人は死ぬ。もちろん原発事故でも死ぬ。頻度と事故の深刻さのかけ算の問題だ。どの部分を救うか、と考えた瞬間に切り捨てる対象(死を容認する対象)が発生する。そのような選択からは逃げられない。特に政治は逃げるべきはない。

2012-06-18 02:29:45
松浦晋也 @ShinyaMatsuura

僕らは「命の選択の結果として、切り捨てられて死ぬ自分」を想像できる必要がある。「原発が稼働すればすべてオーケー」と同じぐらいに、「原発が廃止できればすべて解決できる」ってのは幻想だ。その狭間でぎりぎりまで考えて、選択していく以外、方法はない。しかも選択の結果が正しい保証もない。

2012-06-18 02:34:20
松浦晋也 @ShinyaMatsuura

交通事故では、僕らは意識せずに「便利さ」と「年間一万を超える悲嘆」とを天秤にかけた。福島第一の事故以降、原発では意識せずに天秤にかけることはできない。それだけのことだ。命の大切さをいうなら、今までもへらへらと重要なことを意識せずに選択してきたということを自覚しなくっちゃいけない。

2012-06-18 02:41:02
松浦晋也 @ShinyaMatsuura

2011年3月に福島が事故を起こした、と聞いた時、はっきり意識したのは、自分の住む場所が逃げねばならないとなると、とてもじゃないが交通がパンクするということだった。「となると、どうなろうと年齢的に自分は逃げるべきではないな」と思ったのである。

2012-06-18 02:43:58
松浦晋也 @ShinyaMatsuura

続けて「自分の代わりにもっと若い誰かを逃がさねばならんな」と考えたのだが、では誰を、と思った瞬間「ああ、こういう選択を強いられるのか」と思ったのであるよ。

2012-06-18 02:45:14
松浦晋也 @ShinyaMatsuura

なんというか、ル・グインの「オメラスから歩み去る人々」だよなあ。

2012-06-18 02:47:23
松浦晋也 @ShinyaMatsuura

ル・グインはオメラスから歩み去る人々がどこにいくかを明示していない。できなかったのだろう、ただ「彼らは知っているらしい」と書くしかなかった。おそらくは、「選らんじゃった人」は「選べなかった人」からは「あいつ知ってるんだ」と見える、ということをル・グインは描いたんだろうね。

2012-06-18 02:51:16
松浦晋也 @ShinyaMatsuura

「オメラスから歩み去る人々」はこの本で読むことができる。「きょうも上天気 SF短編傑作選」 (角川文庫) http://t.co/xFX8xggj 今検索して知ったが、マイケル・サンデルが「オメラスから歩み去る人々」を使って講義をしているのか。

2012-06-18 03:11:45