磯前順一氏著『宗教概念あるいは宗教学の死』に関する島薗進氏の呟き

磯前順一(国際日本文化研究センター)『宗教概念あるいは宗教学の死』について、宗教学者 島薗進氏が連続ツイートしました。 カテゴリーに「宗教」または「信仰」がないのは、困ります
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島薗進 @Shimazono

1磯前順一(国際日本文化研究センター)『宗教概念あるいは宗教学の死』東大出版会から7/31付け刊行る4千円。チャールズ・テイラーのA Secular Ageも論ずるように「宗教」と「世俗」の概念の検討が現代思想の核心に関わる世界の現状。 http://t.co/rKfYNFh3

2012-08-05 21:59:49
島薗進 @Shimazono

2ドイツの脱原発を決めた倫理委員会で宗教者が複数いたがEUでは宗教の公共機能が増大。「ポスト世俗主義」の時代の現れと捉えられてる。ハーバーマスのような哲学者がこの問題に積極的に関与。現ローマ法王との共著『ポスト世俗化時代の哲学と宗教』参照http://t.co/csScDkFc

2012-08-05 22:01:39
島薗進 @Shimazono

2ドイツの脱原発を決めた倫理委員会で主導的役割を担ったウルリッヒ・ベックの『〈私〉だけの神』 http://t.co/wNxrn4I9 も宗教に大きな期待。ベックもハーバーマスも宗教音痴を自称しつつ宗教こそグローバルな市民社会で連帯や普遍主義的なモラルの基盤を提示できるとする。

2012-08-05 22:03:35
島薗進 @Shimazono

3一方早くから西洋社会における「宗教」とともに「世俗」概念の歴史の検討の必要を説いてきたタラル・アサドの『世俗の形成』はそうした見方の背後に西洋的な宗教概念の偏りを見る。政教分離=世俗主義はどの社会でも自明に成り立つことではない。 http://t.co/hInc6L4g

2012-08-05 22:08:44
島薗進 @Shimazono

4フランスでも国是というべきライシテ(政教分離=世俗主義)の意義が問い直されている。学校のヴェール着用問題はのどにひっかかった刺。たとえば、ルネ・レモン『政教分離を問いなおす―EUとムスリムのはざまで』http://t.co/GwOz1QVk 工藤庸子・伊達聖伸氏による解説有益。

2012-08-05 22:11:00
島薗進 @Shimazono

5磯前順一氏の見方は西欧の学者ほど楽観的でなく、ポスト植民地主義的な視点を宗教論に展開してきたアサドらのそれに近い。『宗教概念あるいは宗教学の死』では近代日本の宗教概念や宗教学の成立をどう捉えるかと問うている。宗教学だけでなく哲学、政治学、文化人類学、歴史学に関わる仕事(了)

2012-08-05 22:13:21
島薗進 @Shimazono

山脇さんの論も大いに参考に。@naoshiy 私も http://t.co/UHm4TUjN … の第2章で取り上げました。RT @私:ハーバーマスも…ベックも、宗教音痴を自称しつつ宗教こそグローバルな市民社会で連帯や普遍主義的なモラルの基盤を提示できるとする。

2012-08-05 22:17:53