被曝によるがん死亡リスクの増加についてもうちょっと考えてみた

以前リーフレインさんがまとめて下さったまとめhttp://togetter.com/li/321967 のコメントにも書きましたが、ここでの考えたことでどーも自分の中でも不明確な部分があったので、その間違えが何であったかを考え、更にもう少し先まで考えてみました。  で、MAKIRIN1230氏のブログが修正(というか改竄)後も相変わらず間違っているということが別の形で示されたので、それについてもあわせてまとめました。 続きを読む
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このまとめでは(生物系の)統計、疫学の専門的な式が出てくるので、最初に全体の骨子をまとめておこうとおもいます。
 小難しい式を知っていることをひけらかすことは個人の自己満足にはなるかもしれませんが、専門家集団で議論をしていない限りは、それ以上の意味はほとんどありません。数式は、あくまで概念を表現するツールに過ぎず、それを使った方が専門家にとっては理解や議論が容易になる、といった程度のものです。
 そんなことより、むしろ全体の考え方を貫く論理構成と、それにより言えること、言えないことがどこにあるかを理解することの方がはるかに重要です。
 ですので、私としては式云々よりもむしろ玉の個数のたとえの方が多くの方に理解していただくうえではるかに重要と思っています。

数式についてまとめると、こういうことになります。
http://twitpic.com/aibol6 

LARは数式の定義上、リスクの総和が1を超えてしまう、あるいは「被曝をした非被曝群」という矛盾した前提を許容しないといけない若干無理のあるものになっています。もちろん、それを以てLARは出鱈目だ、などと主張するものではありません。
LARはあくまで放射線の影響を評価するための一つの簡便な指標、ということに過ぎないわけで、その利点と限界を理解し、同じく利点と限界を有する他の指標と補完しながら総合的に考えていかななければならない、ということです。

地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

リーフレインさんが私のツイートをまとめてくれたまとめhttp://t.co/rH6Cxa6 をもとに、もうちょっと被曝によるがんによる死亡リスクの上昇について考えてみましょう。

2012-08-07 21:38:46
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

MAKIRIN1230氏の間違った記載を含むブログ。http://t.co/Nnn33Zv

2012-08-07 21:39:30
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

このブログはもとはhttp://t.co/v1KA0wnと記載されていたが、http://t.co/lgIHc4Aやhttp://t.co/nsP5qnb でのやり取りを経てこう改変された。http://t.co/P2N4QwF

2012-08-07 21:39:47
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

で、結局「ここでのリスク上昇が0.05というのはリスクが0.5%上乗せされるのではなく、1.05倍になるという意味です。」は改められていない。なお、彼が論拠としているリンクhttp://t.co/qoedoq4 には以下に引用するように記載されています。

2012-08-07 21:40:45
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

リンクからの引用:「慢性被曝の場合には、放射線の総量は同じでも急性被曝の場合より影響が少ない(1/2 あるいは1/1.5)とする考えがあります。この考えに従うならば、約100 ミリシーベルトの慢性被曝による生涯のがんリスクの増加分は0.5%-0.7%ということになります。」

2012-08-07 21:41:00
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

で、修正(というより改竄)後のブログでも、相変わらずこのように書いています。 (引用)「リンクされている放影研の資料に基づく計算では、実効線量1Svの被曝をしたとき、リスクが1.5倍になるので、「1Svの被曝で、がんで死ぬ確率が26%から39%に増加する」ということになり」

2012-08-07 21:41:35
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

更に、彼はそれを正当化するためにこのような理屈を出しています。。http://t.co/7wn8yHe つまり、自分の主張を正当化するためには他の考え方をデタラメと書いて印象操作することが正当化されるということですね。

2012-08-07 21:41:56
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

というか、MAKIRIN1230氏が必死になってまとめているまとめをわかって書いているなら、それは彼自身のブログの記載内容が誤っていることを主張しているものになるのですが。

2012-08-07 21:42:20
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

それとも彼は未だそれをわかっていないから、あのような中途半端なブログの修正(というより改竄)を行ったのでしょうか。それとも、それを認めると彼が中川氏のブログを「でたらめ」と非難する根拠自体が間違っていたことを認めざるを得ないからでしょうか。

2012-08-07 21:42:39
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

被曝により、がん死亡率がどのような値になるかは現在のがん死亡率に相対リスクをかけたものでも、絶対リスクを足したものでも、LARを足したものでもない、ということはこれまでに説明した通りです。

2012-08-07 21:43:18
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

で、LARは日本語に訳せは「生涯寄与リスク」で、これはある集団が観察期間内に全員死亡したときに、そのうちのリスク因子に曝露を受けたことに起因する死者の比率です。http://t.co/qckASAU

2012-08-07 21:43:32
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

例えば、リスク因子曝露によるLAR=10%というのは、ある同一生年の集団が全員死亡したとき、うちの10%がリスク因子曝露が原因の死亡ということです。

2012-08-07 21:45:03
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

このように考えてみましょう。「箱の中に300個の赤玉、700個の白玉が入っている。箱から無作為に100個抜き取り、かわりに100個の青球を箱に入れた。このとき箱の中の赤玉+青玉の個数のはどうなるか?」。

2012-08-07 21:45:36
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

もとのがん死亡率が30%(赤玉)、リスク因子曝露によるLARが10%(青玉)とした場合のリスク因子曝露群の生涯がん死亡率はこの値と等しくなります。リスク因子の曝露を受けた人全体に無作為にリスクが上乗せされるということが確率的影響の意味です。

2012-08-07 21:46:18
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

このときの箱の中の赤玉+青玉の個数の期待値は300×0.9+100=370になり、当然400個になりません。

2012-08-07 21:46:36
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

で、私の躓きのもとになったのがhttp://t.co/m1CpQpVに記載されていたLARの式。これについてはMAKIRIN1230氏のまとめを参照→http://t.co/tqMkX1Y で、書いてあることは正しい(彼が意味がわかっているかどうかは不明)。

2012-08-07 21:46:52
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

結局、生涯寄与リスクの定義に従えばよかったわけです。つまり、私が描いたこのグラフhttp://t.co/hQQ8peQで被曝群も累積死亡者数はグラフ右端で被曝群の累積死亡者数と等しくなる、とすべきでした。

2012-08-07 21:47:11
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地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

この式(2.2-1)は問題が多そう。ちなみに、私が描いたグラフに対するMAKIRIN1230氏の批判は全く的外れ。これについては本題と関係ないので後におまけで説明します。ちなみに、式(2.2-1)は別にLARの定義ではなく、ここではこのように求めましょ、というだけのことです。

2012-08-07 21:47:31
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

変だと思ったのは、この式にあるS(a)/S(e)。これは、もし被曝群における被曝が原因の死者を推定するなら分母はS(a)ではなく、S(d,e,a)でないと変です。これでは被曝線量も被曝時年齢もそのa年後の生存率に影響を及ぼしていないことになります。

2012-08-07 21:47:47

↑ああ、ここにも誤記があったorz
「分母」ではなく「分子」ですね。

地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

そこで大事なのは「LARがREIDの近似」ということです(REIDについてはあとで説明します)。このリンクにも書いてありますが、http://t.co/jOVuabb 低線量域であれば影響は小さいので計算簡略化のためLARでよい、ということだそうです。

2012-08-07 21:49:08
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

この方法で得られるLARの数値自体はあくまで「予測値の近似値」。もともとLARは生涯の死亡に対するある死因の比率なので、被曝の影響を評価するのであれば正しくはREIDを用いるのが正しいわけです。

2012-08-07 21:49:29
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

なお、S(e)で割っているのは、被曝時の年齢での生存者数対して規格化するという意味です。もし分母にこれがなければ出生時の人口に対する比率、ということになります。以後は分母のS(e)は略します。

2012-08-07 21:49:51
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

で、REIDとは何だろう、ということで調べてみました。これは被曝誘発死亡リスクということで、要するに被曝群における被曝が原因の死亡率の寄与分になりますhttp://t.co/mae3KjP

2012-08-07 21:55:54
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