日本政府が水陸両用車両導入を検討するという記事について

標題通り。
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fj197099 @fj197099

水陸両用車両を導入 中国を牽制 陸上自衛隊(http://t.co/JrvINeQs)…この話、基本的に陸自に大規模な水陸両用戦能力は必要ないというのが私の立場だが、それはコストの制約を考慮しての話。米軍の御下がりであるAAV7の調達ならばコスト面での心配はさほどないであろう。

2012-08-27 07:50:38
fj197099 @fj197099

AAV7は1960年代、すなわち半世紀も間に開発された古い水陸両用戦闘車である。米海兵隊は特にその水上における速度の遅さから現代戦における有用性が限定的であるとして後継車EFVの開発に取り組んだが、コスト増のため結局一度断念している。代わりのACVを現在開発中である。

2012-08-27 07:54:12
fj197099 @fj197099

米軍におけるAAV7はやがてこのACVと陸上での輸送を担うMPC、それにAAV7の近代化したもので更新される予定であるが、その過程で幾らか余剰のAAV7が出てくる。その「お下がり」を低価格であることを条件に日本が導入することは、コスト面から言えばさほど問題はないと考えられる。

2012-08-27 07:56:44
fj197099 @fj197099

他方、調達が数台に留まるのは、導入するとしてもまだ実験的段階であり、実際の運用に耐えるか疑問な所も多いからであろう。特に日本は、AAV7の発進拠点となる強襲揚陸艦を持たない。ウェルドックを装備する「おおすみ」型輸送艦からの発進が可能であると見ているのだろうが、実際はどうか。

2012-08-27 07:59:37
fj197099 @fj197099

それに水陸両用車両がそんなに有用なものだとの思い込みも避ける必要がある。AAV7は導入後半世紀近く経つ旧式装備だ。米軍ではベトナム戦争のころから使っている。最大の弱点は水上での速度が遅く、脆弱性が高いことだ。長時間の搭乗は船酔いを悪化させるため、移動距離も短くならざるを得ない。

2012-08-27 08:01:41
fj197099 @fj197099

水上速度を重視すればどうしても軽量化を図る必要が出てくる。しかしそれは装甲を減らすことを意味し、陸上戦闘において制約が出る。水陸の機能を両立させるのは困難で、米軍もそれを志向して高コスト化したEFVを断念した。米軍は水陸で使用する戦闘車両を今後は分ける発想を導入する可能性がある。

2012-08-27 08:04:02
fj197099 @fj197099

南西諸島の特有の地形を考慮する必要もある。水陸両用車両にとって最も望ましい揚陸場所は、遠浅の海岸である。できれば砂浜になっていて、沿岸に岩など多くない場所がいい。南西諸島にそのような場所がどれだけ沢山あるか。数が少なければ敵はそこだけ防御すればいいという話にもなる。

2012-08-27 08:05:53
fj197099 @fj197099

水陸両用車両が南西諸島防衛で有用であるかどうかはシビアな検討が必要だろう。米軍内では今後、敵対国が米国のジャベリンのような高度な歩兵携帯型誘導ミサイルを保有した時、旧式の低速の水陸両用車両の意義は失われると見ている。日本がこれからAAV7を導入してどれだけ有用か。疑問もあるのだ。

2012-08-27 08:07:34