雪の象徴について

象徴シリーズ。
9
カタリコ @TreeMaple

雪の象徴について。まず、雪の物語として有名な小泉八雲の「雪女」を取り上げる。あらすじ。二人の木こりが吹雪の中の山小屋で夜眠る。一人がふと目を開けると、小屋の中に恐ろしい目をした白ずくめの美しい女がいた。男の隣で寝ていたもう一人の男に、女が白い息を吹きかけると、その男は凍って死んだ

2012-09-12 10:17:08
カタリコ @TreeMaple

女は目覚めた男にも息を吹きかけようと覆いかぶさるが、しばらく男を見つめた後、笑みを浮かべてこう囁く。「おまえもあの老人のように殺してやろうと思ったが、おまえは若くきれいだから、助けてやることにした。だが、おまえは今夜のことを誰にも言ってはいけない。誰かに言ったら命はないと思え」

2012-09-12 10:18:09
カタリコ @TreeMaple

それから数年して、男は「お雪」という、ほっそりとした美しい女性と出会う。二人は恋に落ちて結婚し、10人の子供をもうける。お雪はとてもよくできた妻であったが、不思議なことに、何年経ってもお雪は全く老いることがなかった。

2012-09-12 10:19:12
カタリコ @TreeMaple

ある夜、子供達を寝かしつけたお雪に、男がいう。「こうしておまえを見ていると、十八歳の頃にあった不思議な出来事を思い出す。あの日、おまえにそっくりな美しい女に出会ったんだ。恐ろしい出来事だったが、あれは夢だったのか、それとも雪女だったのか……」

2012-09-12 10:19:57
カタリコ @TreeMaple

男がそういうと、お雪は突然立ち上り、言った。「そのときおまえが見たのは私だ。私はあのときおまえに、もしこの出来事があったことを人にしゃべったら殺す、と言った。だが、ここで寝ている子供達を見ていると、どうしておまえのことを殺せようか。どうか子供達の面倒をよく見ておくれ……」

2012-09-12 10:20:39
カタリコ @TreeMaple

そういうと、お雪の体はみるみる溶けて白い霧になり、煙だしから消えていった。それ以来、お雪の姿を見たものは無かった。 (小泉八雲の「雪女」の要約より)

2012-09-12 10:21:48
カタリコ @TreeMaple

雪女の昔話は哀れな話が多い。それは吹雪の山で寂しく暮らす子のない老夫婦や山里で独り者といった孤独な者が、吹雪の戸を叩く音から、自分が待ち望む者が来たのではと幻想することから始まった物語が雪女伝承の元だからだといえる。その待ち望んだものと一緒に暮らす儚い幸せの幻想と自然への畏怖。

2012-09-12 10:27:03
カタリコ @TreeMaple

雪女伝説から雪のもつ象徴を考えると、ラストシーンの溶けて消えてしまう「儚さ」命を奪う「残酷さ」などが雪の普遍的象徴に結びつくのではないかと考えられる。 http://t.co/RQAOgFu5

2012-09-12 10:31:37
拡大
カタリコ @TreeMaple

雪は多くの水の象徴と同じく、生と死の両面に関わる。寒さ厳しさと結びつき、すぐに溶けてしまう性質が雪女をはじめとする民話にも反映している。純潔と白、汚れのない美とも関係する。感情面では、厳格、冷淡、かたくな、儚さ、愛の欠如と結びつく。 http://t.co/CgYXxmk9

2012-09-12 10:38:28
拡大
カタリコ @TreeMaple

「氷のように冷淡で慇懃無礼な性格」という表現は普遍的であり、逆にかたくなな心が和らぐことを溶けてゆく氷に例えたりする。西洋の雪の物語としてはたしかアンデルセンの作品だったと思うけれど「雪の女王」が有名。カイとゲルダ。冷酷な雪の女王は雪のもつ象徴性にピッタリのキャラクターだ。

2012-09-12 10:43:58
カタリコ @TreeMaple

一方日本では「雪月花」の言葉にもあるように風流なものの代表格でもある雪。雪の儚さや、すべてを白く浄化する降り積もる雪の風情をたたえたものである。降りつもるというイメージから、西洋では「隠された真実」「秘められた智恵」を意味することもあるという。

2012-09-12 10:50:06