創作者を目指す人への、山本貴嗣さんの助言

「創作に人生勉強は必要か」という問に対する、漫画家山本貴嗣さんの回答。過不足のない素晴らしい回答と思い、まとめさていただきました。
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山本貴嗣 @atsuji_yamamoto

先日創作に人生勉強は必要でしょうか、というようなお尋ねをいただいて、少し考えてみました。少なくともマンガには有意義だと思います。ただ何を人生勉強と言うか。要は世間知らずの反対になることかと。ただ十代でデビューするマンガ家などどうしても勉強不足で(私は19歳でした)描きながら(続く

2012-09-17 18:43:57
山本貴嗣 @atsuji_yamamoto

続き)学ぶしかない。若くしてデビューしたまま大作家な方もいれば歳とって出てきてすぐ消える人も。中大漫研の同期だった河合単氏は一度就職して銀行員になってましたがどうしてもマンガ家になりたくて退職、経験を生かして銀行マンガを描いてた時期があったと思います。でも永遠にネタが続きは(続く

2012-09-17 18:45:58
山本貴嗣 @atsuji_yamamoto

続き)しません。最近はグルメマンガ家として活躍してます。会社勤めなどは貴重な体験ですが、必須なわけではない。それよりもふだんの人間観察が大事じゃないかと。家庭で学校で職場で、好きな人からムカつく人全部が参考資料です。自分が人生で会う悲劇も喜劇も全部宝。一旦マンガ家になると(続く 

2012-09-17 18:50:48
山本貴嗣 @atsuji_yamamoto

続き)仕事が忙しくて世界を見る機会は減りますが、出会いは広げていく必要があります。映画や小説やノンフィクションや、自分以外の人生や作品を見るのも必須。あとこれは個人的な意見かもですが、どれだけ世界を愛せるか色々な人を好きなれるかがポイント。描けるキャラのバリエーションは(続く

2012-09-17 18:54:42
山本貴嗣 @atsuji_yamamoto

続き)そこにかかっているように思います。嫌いな人も敵役で使える、というかもですが、どこかに愛がないと薄っぺらい色眼鏡で見た人物にしかなりません(不穏当な例ですが反日映画に出てくる日本兵とか)。私にもどうしても好きになれない人がいっぱいいますが、そこをどこまで越えていけるかが(続く

2012-09-17 18:58:26
山本貴嗣 @atsuji_yamamoto

続き)一生の課題だと思っています。そしてもう一つ大事なことは自己分析。人の心を理解するには自分の心を理解しないと始まりません。どんな悪人も善人も自分の中にある。あいつはオレとは関係ないと思っている限り人間は描けない。「さげすむな、あれも自分、ひがむな、あれも自分」がモットーです。

2012-09-17 19:01:07
山本貴嗣 @atsuji_yamamoto

追記:人間ってマイナスもプラスに転化する力があるんでなにが有利かは決められない。たとえばすばらしい友人がいれば確信を持って友情が描けるし、いなければ憧れの理想の友情を描ける。どっちが読者の心をつかむかは毎度ですが神の味噌汁ですwただどっちにしても人間観察は大事だと思います。

2012-09-17 19:14:04