茂木健一郎（@kenichiromogi）さんの連続ツイート第７２９回「安酒の酔いよりも、文化交流を」

茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ！ ぷれいりーどっぐくん、おはよう！

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村上さんのエッセイ、朝日新聞デジタルの会員じゃないと全文が読めないようになっている。公共性、意義を考えて、誰でも読めるようにして欲しかった。少し残念。RT 村上春樹さんが、朝日新聞に寄稿。「領土問題、文化への影響憂う」　http://t.co/HW42X7KP

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連続ツイート第７２９回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、今朝の朝日新聞に寄稿された、村上春樹さんのエッセイについて。

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やぶ（１）今朝の朝日新聞一面に村上春樹さんの写真があるからどうしたのだろう、と思ったら、領土問題を巡って朝日新聞に寄稿されたのだという。一面にリード記事があり、三面にエッセイがある。今この時こそ、多くの人に読まれるべき文章だと思う。経緯はわからないが、朝日も良い仕事をした。

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やぶ（２）村上さんは、書く。「国境線というものが存在する以上、残念ながら（というべきだろう）領土問題は避けて通れないイシューである。しかしそれは実務的に解決可能な案件であるはずだし、また実務的に解決可能な案件でなくてはならないと考えている。」

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やぶ（３）村上さんは、書く。「領土問題が実務課題であることを超えて、「国民感情」の領域に踏み込んでくると、それは往々にして出口のない、危険な状況を出現させることになる。それは安酒の酔いに似ている。安酒はほんの数杯で人を酔っ払わせ、頭に血を上らせる。」

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やぶ（４）村上さんは、書く。「人々の声は大きくなり、その行動は粗暴になる。論理は単純化され、自己反復的になる。しかし賑（にぎ）やかに騒いだあと、夜が明けてみれば、あとに残るのはいやな頭痛だけだ。」

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やぶ（５）村上さんは、書く。「そのような安酒を気前よく振る舞い、騒ぎを煽るタイプの政治家や論客に対して、我々は注意深くならなくてはならない。一九三〇年代にアドルフ・ヒトラーが政権の基礎を固めたのも、第一次大戦によって失われた領土の回復を一貫してその政策の根幹に置いたからだった。」

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やぶ（６）村上さんは、書く。「今回の尖閣諸島問題においても、状況がこのように深刻な段階まで推し進められた要因は、両方の側で後日冷静に検証されなくてはならないだろう。政治家や論客は威勢のよい言葉を並べて人々を煽るだけですむが、実際に傷つくのは現場に立たされた個々の人間なのだ。」

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やぶ（７）村上さんは、書く。「安酒の酔いはいつか覚める。しかし魂が行き来する道筋を塞いでしまってはならない。その道筋を作るために、多くの人々が長い歳月をかけ、血の滲むような努力を重ねてきたのだ。そしてそれはこれからも、何があろうと維持し続けなくてはならない大事な道筋なのだ。」

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やぶ（８）村上春樹さんは、さらに、エッセイの中で、「ノモンハン戦争」をモチーフとした自作『ねじまき鳥クロニクル』に触れ、現地を訪れて、「どうしてこんな何もない不毛な一片の土地を巡って、人々が意味もなく殺し合わなくてはならなかったのか？」という思いを抱いたと書かれる。

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やぶ（９）村上さんの言われるように、国境紛争をめぐる安酒の酔いよりも、地道な文化交流を続けるべきだろう。村上春樹さんの小説が広く読まれることで、どれだけ中国や韓国における日本のイメージが良くなったか。安酒に酔う人がやるのは破壊だけだ。建設は時間がかかるが、私たちの生命に資する。

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以上、連続ツイート第７２９回「安酒の酔いよりも、文化交流を」でした。村上春樹さんのエッセイの全文は、http://t.co/sZ1ojPeE　で読むことができます。朝日新聞、ありがとう。