なぜ村上春樹なのか?

ノーベル文学賞の発表を間近に控え、なぜ村上春樹さんがダントツの有力候補なのかを、蕩尽伝説さんがつぶやいていらっしゃいます。『ねじまき鳥クロニクル』で世界的作家になり、『1Q84』で限界をさらしたという評もさることながら、日本でしか生まれ得なかった村上文学の本質を突いていると思いました。
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蕩尽伝説 @devenir21

ノーベル文学賞は村上春樹以外ありえない。このままだと選考する側の見識が疑われ、賞そのものが信頼性を失うことになる。ヨーロッパ偏重が甚だしい。

2012-10-10 15:08:21
蕩尽伝説 @devenir21

『1Q84』は、この作家の限界を露呈したと思っている。いわば作家として終わった。ノーベル賞を取るにはいい頃合いだ。そもそも世界の他の作家がダメすぎる。西欧近代文学を金科玉条とし、それに媚びている。ハルキにはそんな媚態が無い。その点を私は高く評価する。

2012-10-10 15:12:14
蕩尽伝説 @devenir21

欧米中心の近代が終わり、世界はバラバラになり断片化した。その喪失感を小さな物語で繋ごうと決意したのが村上春樹だった。世界の戦後文学の中では傑出している。欧米の作家なんて、たんに過去の西洋文学の再構築を目論む者ばかり。小さな物語の可能性に賭けた村上文学は独自の道を開拓した。

2012-10-10 16:03:32
蕩尽伝説 @devenir21

『ねじまき鳥』辺りで大作家としての評価は定まった。ハリウッドのちょっと目端の効いた俳優がハルキの名を何かと口にし、映画の中で『ねじまき鳥』に触れたりする。アジアに限らず、欧米のインテリの間でも必読書になっていた。読もうとしなかったのは嫉妬に狂った日本の知識人だけ。醜悪極まりない。

2012-10-10 16:08:42
蕩尽伝説 @devenir21

なるほど日本は世界戦争に敗れた。しかし原子爆弾で無益な民を抹殺することで欧米は果たして勝利を収めたと言えるのか。原爆投下は明々白々たる戦争犯罪だ。自らが言挙げしてきた近代の啓蒙の理念に泥を塗り、世界史に取り返しのつかぬ汚点を残した。

2012-10-10 16:14:46
蕩尽伝説 @devenir21

アウシュビッツの後、ひいては広島&長崎の後で、もはや欧米の啓蒙の物語は成り立たなくなった。大きな物語が失われ、私たちは喪失感に苦しみながら長い余生を送ることになった。村上文学はその空虚を断片的な小さな物語で、なかんずく言葉の力で埋めようとする企てだ。日本でなければ生まれなかった。

2012-10-10 16:19:14
蕩尽伝説 @devenir21

@twit2momo 村上文学の本質は比喩(ないし隠喩)です。世界観などといった大仰なものは彼には無いと思います。

2012-10-10 16:34:33