10~20mSvの胎内被曝で相対リスクが1.47になることを示した「オックスフォード小児癌調査」
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関連まとめ
論文紹介
Pre-natal irradiation and childhood malignancy: a review of British data from the Oxford Survey. Br J Cancer 1975. http://t.co/MnC7AQW6
2012-10-15 12:42:54(1)この論文は1953~1967にイギリスで死亡した8513人の小児癌を対象とした、胎内被曝との関連性を調べた研究に対するレビュー。小児癌のケースと、その他の条件が一致する健康な子供との間で、胎内被曝歴を比較している。
2012-10-15 12:43:46(2)相対リスクは1.47であり、癌の種類や死亡年齢、性別による違いはほぼなかった。階級、母体年齢や健康状態、地域といった疫学因子の違いではこのリスクを説明できなかった。撮影されたレントゲンのフィルム枚数と発癌リスクには比例関係が認められた。
2012-10-15 12:44:03(3)時代とともに相対リスクは下がってきているが、これは検査に伴う被曝線量が徐々に低下してきているため。将来的にこの分野でこれほどはっきりした発癌リスクを証明することは困難になるであろう。
2012-10-15 12:44:22(4)表を中心に紹介。「ケース」は小児癌の子供の照射グループ、「コントロール」は健康な子供の照射グループ。見やすくするためX線照射率と95%信頼区間は省略しましたが、論文の方にはきちんと記載されています。
2012-10-15 12:44:35(5)【表Ⅱ:腫瘍の種類による分類】骨腫瘍でリスクが少し低いが、15歳以降に発症する可能性がある。 http://t.co/Qo4V57Gc
2012-10-15 12:45:44(6)【表Ⅳ:死亡年齢による分類】12歳以上でリスクが下がるのは、この年齢層が少人数の追加調査であることも影響している。 http://t.co/MZm5Oe8L
2012-10-15 12:46:07(8)【表Ⅵ:何番目の子供かによる分類】5番目以降リスクが上昇するのは、コントロール群のX線照射率が下がるためと予想。(原文参照) http://t.co/MvPZ6ywm
2012-10-15 12:46:53(9)【表Ⅶ:母親の出産年齢による分類】45~54歳でリスクが低いのは、このグループのサンプル数が少ない事による誤差?(記載なし) http://t.co/RoTCMy9w
2012-10-15 12:47:29(11)【表Ⅸ:居住地域による分類】多少ばらついているが、移住などの追跡が難しいとの事。 http://t.co/Z9vmCi6r
2012-10-15 12:50:01(12)【表Ⅹ:母親の持病による分類】持病の評価が雑なため多少ばらついているが、各グループ間の放射線相対リスクには有意差なし。 http://t.co/ik4xVawG
2012-10-15 12:50:38(13)【表ⅩⅠ:フィルム枚数による分類】発癌リスクの線量依存性が見事に証明されている。 http://t.co/MyIAcGxE
2012-10-15 12:51:00(14)【表ⅩⅡ:照射時期による分類】妊娠初期にリスクが大きいのは被曝線量が大きいから。中期と後期では有意差は認められない。(後期が危ないように見えなくもないが・・) http://t.co/omLc9RyM
2012-10-15 12:51:34(15)【表ⅩⅢ:照射理由による分類】相対リスクはばらついているが、撮影枚数と相関関係が認められる。 http://t.co/Zhb4aE3U
2012-10-15 12:51:52(16)分類条件を変えてもほぼ同じ相対リスクが得られる「再現性」と、撮影したフィルム枚数に比例してリスクの上昇が認められる「線量依存性」が示されている事より、非常に信頼性の高いデータであると考えられます。
2012-10-15 12:52:08(17)最後にLNTの事にも触れている。すなわち低線量でこれだけ明確なデータが出ているのだからしきい値は存在せず、いかなる線量の放射線にも発癌リスクは存在すると考えるのが妥当であろうと結んでいます。
2012-10-15 12:52:21(18)日本産婦人科学会もオックスフォード小児癌調査をふまえて、妊婦さんへのX線照射を控えるようガイドラインで注意喚起しています。 http://t.co/GfuVNVm6
2012-10-15 12:52:35(19)BEIR(米国科学アカデミー)もLNTモデルを支持する根拠として、オックスフォード小児癌調査を重要視しています。 http://t.co/Qlh4azLO
2012-10-15 12:52:49ゴフマンの「人間と放射線」第21章でも取り上げていました
(20)1956年、英国の内科医で研究者でもあるアリス・スチュワート博士が、胎児の場合には1~2ラド(10~20mSv)の医療被曝でも幼児期のガンや白血病の発生を約50%増加させるという論文を発表した。
2012-10-15 12:53:05