最近の日本SFにおける死の描写

俺得。まどマギから伊藤計劃、円城塔まで。
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吉田隆一/SF音楽家 @hi_doi

まどマギ劇場版後編を観てきた。やはり私は劇場で燃焼されつくして真っ白に。感想は後ほど(クラリス『ルミナス』聴きながら)

2012-10-17 22:23:02
吉田隆一/SF音楽家 @hi_doi

というワケで、魔法少女まどか☆マギカ後編の感想です。が、まだ冷静に感想書ける状態じゃないな。『ルミナス』CD買ってひたすら聴いてるので全くもって落着かない。それにしてもこのCメロ(予告で流れる部分)への転調は強引ですごいな。Cメロ採譜してる時にこのA,Bメロのキイは予想外(続く)

2012-10-18 00:31:44
吉田隆一/SF音楽家 @hi_doi

(続き)前編の印象と同じく、キャラへの感情移入を深まらせる意図がはっきりしている編集でぐいぐい引き込まれた印象。前編のような「カット」ではなく台詞のリテイクや新規カット挿入で、too muchとも言えるレベルだろうけど、完全にヤられちゃったので何も言えません。素晴らしい。(続く)

2012-10-18 00:37:34
吉田隆一/SF音楽家 @hi_doi

(続き)キャラに対する感情移入が増したのと同時に、TV版からカットされたシーンの少なさによって前編で感じなかったSF視点もバランスよく戻ってきて、またいろいろ考えてしまいました(SFっぽい単語が出てきたり、着地点がSF的であるとは別の話)虚淵玄氏の視点はやはり「乾いたSF」(続く

2012-10-18 00:44:08
吉田隆一/SF音楽家 @hi_doi

(続き)例えばこの円城塔氏インタビュー http://t.co/diAtIHWO での伊藤計劃氏評「日本のSFは質が高いと思うけど、日本の文脈に頼っている」「人情ばなしって日本にしか通じないですからね。理屈通った話が書ける人は珍しい」これはそのまま虚淵評にもなるかと(続く)

2012-10-18 00:46:57
吉田隆一/SF音楽家 @hi_doi

(続き)まどマギと『屍者の帝国』がこのタイミングというのもよく分かる。この「乾いたSF」の感覚が、今の『SF夏の時代』の感覚として共有されているものではないか。虚淵氏がSF性を否定しても(そうした定義のできる作家の作品からSFが匂わないはずが無いですし、定義次第でしょう)(続く)

2012-10-18 00:50:00
吉田隆一/SF音楽家 @hi_doi

(続き)TV版まどマギのSF性はやはり否定できないのですが、劇場版は別の視点での物語りであり、SF的語り口ではなくなっていて(TV版のSF性を引き摺ったミスマッチ感も同時にまた魅力的。視点が複雑になり、イイ)コレはコレで…最高ですね。あー冷静に語れません。(続く)

2012-10-18 00:57:43
吉田隆一/SF音楽家 @hi_doi

(続き)あとTV版放映時に言われた「ほむほむの火力があれば実際杏子はワルプルギス戦に必要なかったのでは?」説…私も支持してましたが、あらためて観るとやはり必要だったように思います。使い魔との近接戦闘でほむほむをガードする役割が必要ですもの。コレはまたあらためて(続く)

2012-10-18 01:00:33
吉田隆一/SF音楽家 @hi_doi

(続き)そして帰りにとらのあなでクラリス『ルミナス』CDとハノカゲ版スピンオフコミック買って来ました。このスピンオフ、最高です。マミ杏ですマミ杏。画も内容ももう大満足で、もう何も恐くないです。…このへんで…

2012-10-18 01:04:18
吉田隆一/SF音楽家 @hi_doi

(追伸:あらためて思ったのが、感情とエントロピー云々のQB語り、その感覚は山田正紀SFっぽいなと。虚淵玄/円城塔が神林長平/山田正紀から受け取った何かと、その先に行こうとする気概に共感する世代です。私も)

2012-10-18 01:06:25
相楽 @sagara1

人間全体を囲い込むシステムの変革を描く際のイーガンさん、チャンさん、長谷敏司せんせの三者三様。まず「いや、もうこういう技術出たんだから押し流されてこーなるんだよ」とあっけらかんと突き進んでとっとと「その後」を書きまくるのがイーガン(特に『万物理論』とか)。

2012-10-21 17:17:27
相楽 @sagara1

既にがっつり変革された「その後」の世界の中で人間だか人間の実存だか魂だか、なんだか大変です、ということでとても文学的なのがテッド・チャン(……と適当書いたけど、チャンは三人の中でも相対的に入れ込んで読んでないのでまるでよくわかってない)。

2012-10-21 17:17:46
相楽 @sagara1

≪変革はどうあるべきか、そしてどう受け入れられるべきか≫を何個も仮説を出して潰しを繰り返して、最後はその闘争を広く世界に大公開して投票みたいになり、それでシステムの大変革が決まって終わるのが長谷敏司せんせ(『円環少女』『BEATLESS』)。

2012-10-21 17:17:53
相楽 @sagara1

……で、何が言いたいかというと。『魔法少女まどか☆マギカ』の概念まどか様に対して「いや、あれはないだろ」と思う人は。なんとしても、『円環少女』を読むべきなんだよ!(⊙皿⊙)/(続く)

2012-10-21 17:19:46
相楽 @sagara1

『魔法少女まどか☆マギカ』でやってるようなことは大概『円環少女』でもやってる!その上、しっかりシステムも変わって、その際の合意の取り付け方、手続きとしてのあり方が素晴らしいから、概念まどか様に不満を持った人ほど『円環少女』が好きになる……はず!

2012-10-21 17:19:54
相楽 @sagara1

うーん……まどマギに絡むSFな話について、勢いでもう少し、やらかしてみよう……。

2012-10-21 18:41:40
相楽 @sagara1

@hi_doi 虚淵玄が描く刃傷話な任侠話も一種の人情話なわけで。ウェットさでは梶尾真治の叙情系作品や菅弘江作品あたりと変わらないのでは。きっちり通される理屈はあるけどそれは情感を際立たせるための道具立てで、突き放すのもそれでかえって読者の中の情を刺激する手法だという共通性。

2012-10-21 18:44:28
相楽 @sagara1

@hi_doi あくまで個人的な理解ですが。円城インタビューにいう「理屈が通った話」「突き放しかた」って。始点・核心にガチに現実のそのまんまのヤバさがあり。それと既存の人間の常識とがぶつかってそこでの人情話……とせずにヤバさをヤバさのままに突き詰め、突き放すことだと思います。

2012-10-21 18:44:58
相楽 @sagara1

@hi_doi 例えば『ハーモニー』。始点として、今の科学が辿りついた「意識(⇒自由意思)」というものについての認識こそがとんでもない。ただ、あの作品は、そのとんでもなさに基づいたボンクラな未来社会での息苦しさと怒りという人情が主題「ではなく」。(続く)

2012-10-21 18:45:12
相楽 @sagara1

@hi_doi そんな情も何もかも蹂躙しヤバさを理屈として突き詰め、突き抜けるところを描いたところに凄味があるわけです。それが円城インタビューにいう「理屈が通った」であり「突き放しかた」ということかと僕は思います。

2012-10-21 18:45:32
相楽 @sagara1

@hi_doi まどマギだとそもそもQBが突きつけるあの世界の条理、システムの厳しさは本物の世界の厳しさそのもの……「などではない」。今のところ、世の中はまるごと極道な世界なんかにはなっていないわけです。特に、先進国に生まれた場合は。

2012-10-21 18:45:44
相楽 @sagara1

@hi_doi 最初にボンクラに捻じ曲げた条理を置いて、理屈を通すといってもそれはあくまでそこから。しかも主題はその条理と人情がぶつかっての任侠な情念であって、概念まどか様の救済もその情念に対するもの。それは円城インタビューにいう「突き放しかた」とは真逆と思います。

2012-10-21 18:45:58
相楽 @sagara1

@hi_doi なお、円城作品はいつだって題材としてぶちこむものを変なものとして描いてるのでなくて、科学が辿りついた、常識的には認め難いんだけどどう検証してもそうであるらしいという変なものを、アレでもどうにかくだいてわかりやすく物語じみた何かにして見せているのであって…

2012-10-21 18:46:14
相楽 @sagara1

@hi_doi 変だと感じるなら、それは作品でなく世界が実際に変だから。キャラクターだ人情だなんだはわかりやすく、とっつきにくくするための修飾でしかない。科学が理屈として辿りつき、つきつける風景そのものがヤバい。頭からしっぽまで、身も蓋も無く理屈づけのヤバさに満ちています。

2012-10-21 18:46:38
相楽 @sagara1

@hi_doi ただ、最近の円城作品では(「これはペンです」&「良い夜を持っている」、『屍者の帝国』エピローグ)は随分と「情」が「とっつきにくくするための修飾」とはいえないレベルにわかりやすく露出している感があり、なんだかいろいろ面白いな、と思ったりします。

2012-10-21 18:46:48