今井哲也さんによる『魔法少女まどか☆マギカ』感想

まとめてみました。
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今井哲也 @imaitetsuya

まどかマギカには「情報量に裏打ちされた堅牢な世界観」があるのではなく、一見それがありそうだけどじつはまったくない、っていうのが人気が横に広がったポイントだと思うます

2012-11-02 10:37:59
今井哲也 @imaitetsuya

まどかマギカに出てくるドボクはだから僕はまったく魅力的に見えないんですよね。画面の背景に現れる工場や高層ビル群は、同程度にちょっとカッコイイ直線が得られるなら別に団地でも鉄橋でも何に置き換えてもいい、くらいの感じで作られている気がする

2012-11-02 10:42:44
今井哲也 @imaitetsuya

魔法少女が戦う場所が工場や路地裏であるっていうのは、その背後にある世界観はすごくシンプルでオーソドックスなのだ。なぜならそれは仮面ライダーの戦っている場所そのまま。

2012-11-02 10:56:00
相楽 @sagara1

@imaitetsuya 「「情報量に裏打ちされた堅牢な世界観」があるのではなく、一見それがありそうだけどじつはまったくない」 これ、新房・シャフトの表現の特徴というのと、それ以上に脚本の人(虚淵玄)が基本「世界観」を無節操な引用で作る人だというのが大きいような。

2012-11-02 10:57:43
相楽 @sagara1

@imaitetsuya (銃器周りとか一部を除いて)フェティッシュがないとか、引用しても文脈を(天然か故意かは不明にしても)とにかく無視というか蹂躙しまくってしまうとか、『サイコパス』を観るとより一層というか非常に分かりやすいという……。

2012-11-02 10:58:32
今井哲也 @imaitetsuya

むしろ「衆人環視の中正体バレバレで戦って、その戦いが実際は皆の生活を支えているのに、誰からも理解も感謝されない」みたいなことをやる作品があってもいい。そのほうがよほどチャレンジングだと思うんだ・・・というか実際ときどきあるけど、そういう作品ってなんか「地味な良作」扱いが多いですね

2012-11-02 10:59:54
今井哲也 @imaitetsuya

@sagara1 『サイコパス』は観ていないのですがなんとなく仰りたいことはわかります。以前TLで、「虚淵玄はただのボンクラ映画好きというのが本質だ」というような意見を見かけてなんだかすごく納得しました。新房シャフト演出がそこに妙に意味有りげな感じを与えていますが

2012-11-02 11:03:02
今井哲也 @imaitetsuya

具体的に言うと、たとえばゴーバスターズとか、Kもそういうことをやろうとしている印象がある  あとやろうとしたのかしてないのかどっちにしろ失敗したのが仮面ライダーフォーゼ

2012-11-02 11:04:11
今井哲也 @imaitetsuya

フォーゼは「ライダーが正体を隠さない」「部活を作る」「学校や室内で戦う」っていうのがちょっと新鮮で、ヒーローと社会の新しい関わり方を見せてくれるのかとおもったらご覧の有様ですよ

2012-11-02 11:06:00
今井哲也 @imaitetsuya

忘却の旋律の白夜岬編はとてもよかった

2012-11-02 11:06:41
相楽 @sagara1

@imaitetsuya 例えば「仮面ライダー」からそうして「カッコよさ」を引用し、でもそこにある「正義」の文脈は踏みにじるという態度は"行きて帰りし"な少女の成長物語としての「魔法少女」から「かわいらしさ」「健気さ」を引用して、やはりその文脈は……というのと同じと思えます。

2012-11-02 11:08:03
相楽 @sagara1

@imaitetsuya 例えば『化物語』『絶望先生』(『絶望先生』については原作のあの最後の展開を踏まえた上で。というかアニメは明らかに踏まえている)でもそうでしたが、新房・シャフト演出って「妙に意味ありげ」にする時にとても有効に(?)働いている感じがしますね。

2012-11-02 11:17:00
相楽 @sagara1

@imaitetsuya 《とても鮮やかな仕掛けであり仕込みであり、定型に対する悪意ある反転なのだけど、フェティッシュや堅牢さを決定的に欠いた実はとても薄っぺらいもの》を、なんだかとても含蓄のある深いものに偽装してみせる演出です。

2012-11-02 11:17:19
相楽 @sagara1

でも、薄っぺらさを偽装して偽装して偽装し抜くことって、凄いと思う。それをとことんやることを以て「真」と為してやるぞ、という感じで。なんだか連城三紀彦「戻り川心中」と、その主人公、苑田岳葉を連想したりする。

2012-11-02 11:22:05
今井哲也 @imaitetsuya

@sagara1 そうですね。もうひとつまどかマギカの脚本部分についていうと、そもそもあのストーリーは「『少女』を描くことにはそんなに興味がない」と僕は思っていて、そのあたり、「定形に対する悪意ある反転」を計算でやっている部分と天然の部分が混じっていてそれはそれで好感がもてます

2012-11-02 11:26:18
相楽 @sagara1

仮に同じことを主張するにしても、やはり「誰が」ですごくその意味も価値も変わるよなあ。この発言 https://t.co/IjRmQuG4 は『ぼくらのよあけ』であの団地を描いた今井哲也のものだからこそ、重いし、凄い。

2012-11-02 11:27:49
相楽 @sagara1

※参考「まちがいなく2011年最高の団地マンガ『ぼくらのよあけ』」(「住宅都市整理公団」別棟)http://t.co/8DtzaGBA

2012-11-02 11:28:09
今井哲也 @imaitetsuya

@sagara1 なので、総じてまどマギのストーリーに対する僕の感想は「良くまとまった面白いエンタメ」なのですが、新房演出がそこに乗っかって意味ありげな感じを匂わせることで、なにかもう一回り大きな得体のしれない怪物に見えている(けど実際はそんなことない)のかな、と

2012-11-02 11:29:28
今井哲也 @imaitetsuya

@sagara1 そこで新房監督の「実は意味のないものにすごく意味がありそうな感じを出す」という手腕ですが、たしかにすごいんですがよくみるとそれは「まどマギという作品のために練られたものではない、その作品自体に踏み込んではいない」ように思える点で僕はあまり好きではありません

2012-11-02 11:34:41
相楽 @sagara1

@imaitetsuya  そのお話、当人は「虚淵玄「プロットラインとしては完全にヤクザものなんですが、少女をメインに置くことで任侠とはひと味違う物語を産み出せたなと思っています」(同人誌『BLACK PAST』掲載の対談)と《言ってはいる》のですが……

2012-11-02 11:39:22
相楽 @sagara1

@imaitetsuya 各所で言われる通り、少女があまりにも背中が煤けたおっさんに互換可能なんですよね。参考1:「「男たちの挽歌」が「まどマギ」に見えるわけがない」http://t.co/WbOov7wt

2012-11-02 11:39:45
相楽 @sagara1

@imaitetsuya というわけで概ね「描けてないじゃん」が感想なのですが、美樹さやかに関しては群を抜いてとても「少女」に描写されてる(多分、アニメという共同作業における脚本以外の要素の影響がとても大きい)のが面白いです。もしさやかがいなければ……と考えると怖いですね。

2012-11-02 11:41:48
相楽 @sagara1

@imaitetsuya 「幽霊の正体みたり枯れ尾花」なところは、まさにその点で『新世紀エヴァンゲリオン』ととても重なって、やたらに比較対象として持ち出されるのもそれだからなのかもしれませんね。>「なにかもう一回り大きな得体のしれない怪物に見えている(けど実際はそんなことない)」

2012-11-02 11:47:23
相楽 @sagara1

@imaitetsuya ただ「だから「得体のしれない怪物」のイメージなんてくだらない!」でなく「これだけ多くの人が「得体のしれない怪物」と観てしまう」ことがメディア論としてとてもとても重要なんだよ、という話が大変面白い、と思えたりしています>まどか☆マギカを巡る言説・論考

2012-11-02 11:48:39