川端裕人さん動物園・水族館・環境シリーズ感想文
川端裕人『動物園にできること』(文春文庫、2006。単行本1999)読了。何カ月か前に、1/3位まで読んで、あまりに長いので途中で放っていたが、再開したら、種の保存計画から先は無茶苦茶面白くて、一気に読んでしまった。読むコンディション(明日も授業がない、という解放感)も大きいが。
2010-10-30 14:53:10解説の坂本さんも書いておられるが、川端さんのすごいところは、多様な立場の人たちにインタビューし、かつ敵を作らず(書かれてないだけかもしれないが)、「卓越したバランス感覚を保持したまま報告している」こと。アニマルライツ活動家やディープ・エコロジストと共に動物園を訪れ、意見を聞く。
2010-10-30 15:00:23川端さんはモービル・コロンビア・フェローとして1年間アメリカに滞在、35動物園、120人以上の関係者から話を聞いている。まずは、その語学力と交渉能力に脱帽。日本の動物園関係者のバイブル、と聞いていたが、確かにすごい。本の前半がやや退屈に感じられるのが勿体ないかな。
2010-10-30 15:10:17私はアメリカの動物園を見たことがないので、具体的なイメージが沸かなかったのが 展示手法を扱う前半が、読み辛かった理由だと思う。欧州の動物園の広大さや、台北動物園での感動などはあるが、それらとアメリカの動物園の異同が分からないので、前半は書かれている内容の評価のしようがなかった。
2010-10-30 15:18:13一番興味深かったのは、種の保存計画(SSP)の話。繁殖計画を進める上で、遺伝子の多様性を保持するために、どうしても生じてしまう「余剰個体」をどうするか等。自分ちのグッピーで頭を悩ませている問題にもつながってくるので、がぜん、興味津々となった。ゴリラに対する「借り」の問題も強烈。
2010-10-30 15:28:27川端さんの本で唯一残念だったのは、スー・タニクリフ博士の研究の紹介。動物園来園親子の会話を隠しマイクで録音し、分析したというもの。この非告知型来館者調査の倫理的問題点を指摘せずに、調査結果のみを紹介しているのはまずいと思う。
2010-10-30 15:47:42最後に、本題からはずれるが、昔、小説で読んだ「バーナム博物館」というのが、コネチカット州に実在していることを知った。これは、ぜひ、行かなくては~~ NYから、電車で1時間半くらいとのこと。アメリカの動物園も見てみたい。
2010-10-30 15:53:04川端裕人『イルカと泳ぎ、イルカを食べる』(ちくま文庫)が届いた。『イルカとぼくらの微妙な関係』の文庫化。ただし、旧著の2つの章(精神世界を泳ぐ、さよならバイジー)は「紙幅の関係」でカットされているのが残念。どちらも省くべきではなかったと思う。その意味では時事通信社版は貴重だ。
2010-11-29 22:15:08『イルカと泳ぎ、イルカを食べる』のあとがきでは、珍しく川端さんが、自分の立場を明確にされている。『動物園にできること』『イルカとぼくらの微妙な関係』では中立的な立場に立っていた川端さんだが、今回のあとがきでは、水族館でのイルカ飼育を否定的にとらえる方向に舵を切っている。
2010-11-29 22:25:35国内飼育ハンドウイルカのうち、施設内で生まれたもの23頭、他の250頭は野生由来、そのほとんどが太地の追い込み漁で捕獲されたもの、水族館へのイルカ供給が、イルカ漁を経済的に見合うものにしている可能性は充分ある、と。彼は動水協報告書で飼育数や死亡数を確認、太地漁協担当者にも確認。
2010-11-29 22:32:57ちょっと不思議なのは、川端さんが国内の水族館やその関係者を調査対象にしていないこと。いや、調べたり話は聞いているけど、書かなかった(書けなかった?)ということだろうか。この点は非常に気になる。あとがきには、かごしま水族館の水路の話も出てくるし、色々調べてはおられるのだろうと思う。
2010-11-29 22:37:45ちょっと皮肉だと思うのは、動水協が出しているフリーペーパー「どうぶつえんと水族館」2010年秋号に、川端さんの本にアイデアをえた「動物園と水族館ができること」というタイトルで保全活動の紹介がされていること。イルカ飼ってる水族館の人たちは、川端さんのあとがきに何と答えるのだろう?
2010-11-30 00:14:23川端裕人さんの『緑のマンハッタン』(文藝春秋、2000)読了。『動物園にできること』の姉妹編ということで、ずっと読まなくてはリストに入っていた本。読みだすと面白くて、一気に読んでしまった。ディープ・エコロジー、アニマルライツ、環境と共同体をめぐるNYの草の根団体のレポート。
2011-04-06 23:50:42毎度ながら、川端さんの行動力、コミュニケーション能力(含む英語力)、文才に感心。ちょっと解せないのは、「ボイコット・ミツビシ!」のデモに参加する一方で、ミツビシ・インターナショナルにも話を聞きに行っていること。参与観察し、両方の言い分を聞くというのは分かるが、それってあり?と。
2011-04-07 00:12:06特に面白かったのは、チンパンジーのニムの話と猫レスキューのシティ・クリッターの話。野良猫を助ける仕事は、ひとたび始めると途中でやめられなくなってしまう。日々追われる仕事だから充足感がなく、ただ、目の前にある「悲惨」に手を差し伸べるだけ、と。程度と状況は全く違うが、身につまされる。
2011-04-07 00:22:01ハドソン川の話とコミュニティー・ガーデンの話は、嫌でも日本のことを考えさせられた。日本でも川や水辺を守る/学ぶ活動をしている団体はたくさんある。コミュニティー・ガーデンは、日本だと行政絡みになるか、我が町内の地縁団体のように強制的活動になるか。世田谷ねこじゃらし公園は、NY的か?
2011-04-07 00:39:01ちょっと気になって、ねこじゃらし公園の冊子(「玉川まちづくりハウスの活動記録 みんなでホイッ!」1996)を引っ張りだして来た。なんと、「コミュニティガーデン」と明記され、玉川まちづくりハウスのメンバーがNYのコミュニティガーデンの日本版をつくれないか、と提案したのがきっかけと。
2011-04-07 00:48:14それから、ふと震災復興計画の一環としてなされた「南芦屋浜コミュニティ&アート計画」のだんだん畑の話を思い出した。http://bit.ly/eHtxnr 『暴力とカスタマイズ』という本のタイトルが強烈な印象だった。http://bit.ly/gHYAMk だんだん畑は今いかに。
2011-04-07 01:00:13川端さんの本のあとがきには、NYの活動家たちの当事者感覚の強烈さが指摘されていた。「社会が気に入らなければ変革に参加できる「当事者」だと知っている」と。日本人は当事者感覚を欠いている、と。今、まさにそこが問われているのだろう。
2011-04-07 01:23:34【自分の本が溜まる→欲しい人いる?1】人に著書をあげるのは、とても申し訳ない行為であると、本を出した始めた初期に気づいた。次ぎにあった時に「すみません、まだ読んでいないんです」と申し訳なさそうな顔をされるのである。実に申し訳ない。というわけで、手元に結構たくさん本が残る。
2012-11-05 21:50:49【自分の本が溜まる→欲しい人いる?2】望む人に渡るのが一番なわけで、例えばこんなのどうか。何かぼくの作品を読んで気に入ってくれて、ブログやTwitterまとめなど後に残る方法でレビューしてくれる。→ぼくに何らの方法で知らせてくれる→別の作品を1冊プレゼント、とか。興味ある人いる?
2012-11-05 21:55:13川端さんの『動物園にできること』『イルカとぼくらの微妙な関係』『イルカと泳ぎ、イルカを食べる』『緑のマンハッタン』の4冊の感想は、Twitterでかなり書いて、Twilogで検索も出来るのだけど、2010年、11年なので、Togetterにまとめる方法が分からないのです。
2012-11-05 23:42:53そして、欲しいのは、この延長線上の新作だったりします。(わがままな読者ですね)。PTA本は、気になっているけど、生々しすぎて、読めないです。あと1年、何とか逃げ切るまでは・・・
2012-11-05 23:45:29@takibata ついろぐのページをとぅぎゃったーに読み込めるので、例えば2010年11月5日のログのアドレスをついろぐに読み込ませて拾っていくんで行けるとおもいますよー。他人の発言を拾うのは至難の業ですが、自分のはわりと簡単です。
2012-11-05 23:51:21@takibata 是非、読みたいので時間のある時にお願いします。川端さんの延長線は僕が書きます!と言ってみます(笑)
2012-11-06 01:30:00