theophil21 さんが呟く、ドイツ東西融合の際に知られず、日本で得る機会を失った「難民対策と、中間団体」の話

日本の難民に関する感情や、 NPO などの脆弱さが気になっていたので、 まとめてみました。 特にドイツ東西融合で、あまり知られていない事実が興味深かった。
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theophil21 @theophil21

(1)昨11月9日は何の日か。119番の日であり、カンボジアの独立記念日でもある。しかし、個人的に忘れられないのは、「ベルリンの壁崩壊」の日である。1989年のこの日、東西を隔てていたベルリンの壁が開かれ、翌年10月3日のドイツ再統一までの、ヨーロッパの激動の日々が始まった。

2012-11-10 13:11:54
theophil21 @theophil21

(2)ベルリンの壁が開いた後、当時のソ連ゴルバチョフ大統領のペレストロイカ、グラスノスチの方針に圧されて、東欧諸国はドミノ倒しに共産政権が倒れ、混乱の中でこの1989年から数年間、毎年100万人を超える難民や旧ドイツ領住民が東欧諸国からドイツに押し寄せた。

2012-11-10 13:14:25
theophil21 @theophil21

(3)私は1990年から92年まで、外務省の委託を受けてミュンヘンの日本総領事館で研究生活を営んでいたが、再統一の高揚と、数百万人の東欧からの流入の波への対応とでドイツは大きく揺れていた。その中で明らかに日本のマスコミが伝えなかったことがいくつかある。

2012-11-10 13:16:58
theophil21 @theophil21

(4)一つは、ドイツの外国人排斥運動をことさらにフレームアップして報道し、逆にどのようにドイツが苦闘しながら難民や流入者を受け容れていたかの工夫や取組については全く無視していたこと。ある大新聞は、町を行く若者の群れに「ちょっとハイル・ヒトラーやってみて」と言って写真に撮っていた。

2012-11-10 13:19:52
theophil21 @theophil21

(5)実際には、当時外国人排斥運動に携わっていたのは東地区の若者がほとんどであり、現実に受入れに苦慮していた西側の市民は、日本での報道よりはるかに冷静だった。そして、本当に報道しなければならないのは、むしろそのような平静さや秩序だった対応が、どのように可能だったのか、であった。

2012-11-10 13:22:22
theophil21 @theophil21

(6)日本に例えれば、北朝鮮が崩壊して一挙に100万人の難民が日本に押し寄せたようなものである。それほどの事態に対し、ドイツは政府や自治体だけでなく、教会や労働組合、市民団体など広範な中間団体が活躍してギリギリまで平静に対応し、ソフトランディングを実現した。

2012-11-10 13:24:35
theophil21 @theophil21

(7)ドイツのそうした取り組みに目を向けず、お決まりの「ネオナチだ」「外国人排斥だ」という報道ばかりされていたことにより、日本は、国際人流の中で果たすべき役割を真剣に考える機会を失い、世界の先進国でも極端に難民の受け入れが少ないという状況を改善する分岐点を逃したのである。

2012-11-10 13:27:28
theophil21 @theophil21

(8)1989年からの数年間、ドイツにいて痛感したもう一つの点は、「中間団体」の重要な役割である。前述したように、ドイツにおいて難民や流入者の受け入れを実際に担当した多くの組織・機関は教会やNPOなどの中間団体であった。国家と個人との間に立って連帯を軸とした活動が可能となる。

2012-11-10 13:30:57
theophil21 @theophil21

(9)ドイツでは、たとえばスマトラ沖地震の被害への救援や、バングラディシュの洪水への支援などの場合、政府はこうした中間団体に協力を求め、ただちに派遣する。そして中間団体自体も、日本では想像できない人的・物的実力を有することが珍しくない。それらへの法的整備も充実している。

2012-11-10 13:34:14
theophil21 @theophil21

(10)もちろん、ドイツにおける難民や外国人をめぐる課題も大いにある。しかし、日本がこれからの国際社会にどう対応し、また国内の社会的諸課題にいかに取り組むのかを考えるとき、何を諸外国から学ぶのかを適切に判断することが必要であるのは言うまでもない。20年前の残念な事態は変わったか?

2012-11-10 13:40:47
theophil21 @theophil21

(11)まずマスコミの対応は、「「本当のこと」を伝えない日本の新聞 」(双葉新書、 マーティン・ファクラー )にもあるように未だお寒い限りである。多くの人々が日本の新聞よりはサイトで諸外国の報道機関の記事をよく読んでいるのは十分に理解できる。そして中間団体の確立はどうか。

2012-11-10 13:43:46
theophil21 @theophil21

(12)日本のNPOへの制度的支援は全く不十分であり、また市民の連帯の受け皿となる多彩な組織や団体もいかにも未成熟である。これには、かつて暴力団や院外団など反社会的団体が幅を利かせていた為、第二次大戦後に中間団体の育成をしてこなかった事情もあるが、時代は大きく変わっている。

2012-11-10 13:46:49
theophil21 @theophil21

(13)国、自治体、会社だけが社会的組織ではない。日本において、どれだけ市民の連帯が有効に機能するかは、もちろん意識改革や正確な情報の共有などが不可欠であるが、加えて、広範な層が参加できる多様な中間団体の育成はいっそう重要な課題であろう。

2012-11-10 13:50:34