第32回日本心理臨床学会秋季大会(2013年)において事例研究の口頭発表がなくなることに関する斎藤清二先生の見解と提案

15
斎藤清二 @SaitoSeiji

日本心理臨床学会第32回秋季大会の案内が来た。事例研究の口頭発表がなくなるという。これについては色々な意見・議論だろう。私自身は、医学の世界にはほとんどない、2時間以上にわたる事例研究が臨床家にとってどれほど有益な体験であるかについては理解しているつもりである(続)。

2012-11-14 15:34:26
斎藤清二 @SaitoSeiji

河合隼雄は、「臨床心理学の研究においては、事例研究が極めて重要である。そのことは臨床心理の実際に従事している者にとっては自明に近いことである」(臨床心理学vol1 巻頭言:2001)と述べているが、臨床心理学の創世記において、これは必ずしも自明のことではなかったはずである(続)

2012-11-14 15:37:52
斎藤清二 @SaitoSeiji

近年「臨床心理学における研究は事例研究に偏りすぎている」という批判が、臨床心理学以外の心理学の分野、あるいは臨床心理学の内部からも聞こえてきていた。今回の秋季大会における口頭事例研究の消滅は、このような批判が一つのクライマックスに達したということなのだろう(続)

2012-11-14 15:40:43
斎藤清二 @SaitoSeiji

臨床心理学を志した時点ですでに事例研究の重要性が自明なものとして受け入れられていた世代の者にとって、その自明性から一度脱同一化し、事例研究の意味・意義を再構築しない限り、このような批判や疑問にたいして説得力をもって反論することは難しいと思われる(続)。

2012-11-14 15:43:03
斎藤清二 @SaitoSeiji

そういう意味では、今回の大会での発表形式変更は、そのような事例研究の重要性を対象化してとらえなおし、説得力のある「事例研究に関する理論」を構築するための、良い機会ではないかと思える。幸い大会主催者は、大会シンポジウムのテーマについて一般会員から意見を募集している(続)

2012-11-14 15:45:43
斎藤清二 @SaitoSeiji

私としては、「理論研究に関するシンポジウム」のテーマとして、「事例研究理論の再構築」をとりあげることを希望する。このテーマが採用されたら、一般会員の多数が応募し、シンポジウムの壇上とフロアを巻きこんだ、十分な討論が行われることを期待する(続)

2012-11-14 15:50:47
斎藤清二 @SaitoSeiji

私がもう一つ、「理論研究についてのシンポジウム」のテーマとして取り上げてほしいと思っているのは、「『心理学におけるエビデンスにもとづく実践』の再吟味」である。こういったテーマは主催者が想定している「理論研究」とはずれているかもしれないが、とても重要なテーマだと思っている(続)

2012-11-14 15:56:45
斎藤清二 @SaitoSeiji

大会シンポジウム発表テーマ募集は、A4の紙に書いてFAXすれば良いだけのようなので、早速わたし自身FAXしようと思っている。もしご賛同いただける方がおられたら、ぜひ同じようなテーマを大会事務局あてにFAXしていただければと思う。

2012-11-14 15:58:27
斎藤清二 @SaitoSeiji

第32回日本心理臨床学会秋季大会の大会シンポジウム発表テーマとして、以下の応募をFAXで事務局に送付しました。 種類:理論研究 希望するテーマ:1)「心理学におけるエビデンスに基づく実践」の再吟味。2)臨床心理学における事例研究法理論の再構築。

2012-11-15 09:54:38