バロック音楽について。カルロ・フォルリヴェジ氏の講演から。

2012/10/30、京都芸大で氏が『アマリッリ』を題材として、2時間程講義をされました。その内容や雑感など。
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浦方 @k_urakata

今日、大学にカルロ・フォルリヴェジ氏が来られて、中世ヨーロッパ音楽についての講義を受けた。カッチーニのアマリッリの通奏低音譜と、和声付けされた現代譜を題材にして、バロック音楽の演奏法や解釈について2時間程。

2012-10-30 23:30:55
浦方 @k_urakata

アマリッリ、1601年作曲なので、教会旋法から機能和声に完全には移行していない部分があるんだけど、それ故に短調の導音が半音上がっていない部分は、旋法の名残りとも平行調のドミナントとも取れる、っていう話があって、ちょっと感動。

2012-10-31 00:11:15
浦方 @k_urakata

まあでも、機能和声的に見るのは後付けの考え方で、旋法的、非機能和声的に見るのが自然、っていう話だった。因みに半音下がった導音(♭vii)を英語でsubtonicって言うらしい。そして非和声音はdisonance。

2012-10-31 00:19:36
浦方 @k_urakata

通奏低音を和声付けしながら伴奏する時、例えば11度などの非和声音(dissonance)があるときは構成に時間がかかるため、流れに間、つまりagogikを挟むそう。そして間を埋めるために装飾音を入れる。逆に和声が簡単な時は少し速く。

2012-10-31 00:28:08
浦方 @k_urakata

それが結局ダイナミクスをつけることにも繋がる。装飾音やドミナントの部分を豊かに。ハープシコードで伴奏する場合は強弱が殆どつけられないため、長短で表現することになる。歌う時にも、曲のハーモニーを知って歌うことが必要。

2012-10-31 00:32:24
浦方 @k_urakata

また、パリゾッティ版の(いわゆる和声付けされた一般的な)イタリア古典歌曲集では、拍子の変更やバスラインの変更(!)が行われているので、バロック風に歌うには特に工夫が要る、とのこと。例えばアマリッリでは原版の1小節が2小節に分割されているし、バスラインも終止感が強調されている。

2012-10-31 00:38:22
浦方 @k_urakata

これはロマン〜現代の歌い方に適した編曲なのだが、バロックの、あの舞曲風の流れるような音楽とは大きく異なってしまう。パリゾッティ版が縦のラインの音楽であるとすれば、原版は横のラインの音楽である。カストラートが台頭したバロックでは、現代よりもはるかに軽く歌われるのだ。

2012-10-31 00:43:12
浦方 @k_urakata

バロック以後、モダン楽器の発達と共に、楽器全体の音量が大きくなり、歌い手も必然的に大きな声で歌わざるを得なくなった。それもベルカント唱法が途絶えてしまった一因なのではないか。真にバロック風に歌う為には、発声法から見直す必要がある。

2012-10-31 00:48:06